第70期名人戦7番勝負/第4局・一日目「動と静。封じ手は羽生二冠」
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△森内名人: なし
森内俊之名人に
羽生善治二冠(棋聖、王位)が挑戦する第70期名人戦7番勝負。
ここまで3局を消化し
全て先手番が勝利をおさめるかたちで森内名人の2勝1敗。
本日より注目の第4局が
静岡県は静岡市「浮月桜」にて開幕いたしました。
第4局の先手は羽生二冠。その初手▲7六歩をみて
森内名人は先手に戦型選択を問う2手目△8四歩と返します。
これで今シリーズ開幕から4局連続で▲7六歩~△8四歩の出だしに。。
羽生二冠は3手目に▲6八銀と返答。
今シリーズ3度目、羽生二冠が先手では初となる「将棋界の純文学」
「矢倉」が明示されました。
16手目△5八金右。
▲羽生二冠: なし
△森内名人: なし
森内名人も先手に追随し「相矢倉」模様で進行。
第3局では上図16手目の局面で、羽生二冠が△7四歩とし
「急戦矢倉」を仕掛けました が、森内名人は△5八金とし
がっぷりと「矢倉」を組み合う意思を示しました。
この手をみて
羽生二冠の次の手はこだわりの▲7七銀(17手目)。
自ら角道を完全に塞ぎ、相手の出方にかかわらず角を7九に引き
アングルを変えますよと強気の宣言。。
20手目△3一角。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△森内名人: なし
羽生二冠の17手目▲7七銀をみて
森内名人も同じく角道を封鎖する18手目△3三銀。
そこから▲7九角~△3一角と歩調を合わせます。。。
32手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△森内名人: なし
開始から1時間と2分で
双方の玉が矢倉囲いの中に入城を完成。
42手目△2四銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△森内名人: なし
羽生二冠は現代矢倉の本流「4六銀3七桂」型に構え
森内名人は2四銀とし、いずれ訪れる▲2五桂を先受け。
羽生二冠の43手目は香車を角の当りからそらす▲1八香。
ここまでは定跡通りの進行であり、今シリーズ開幕戦と同じ模様に。
しかし、次の44手目。。
44手目△9五歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△森内名人: なし
開幕戦/第1局で後手・羽生二冠が△8五歩とした局面で
森内名人は手を変え、端歩を伸ばす△9五歩を採用。。
森内名人は飛車先を決めて、来るべき反撃時の下準備をするよりも
「4六銀3七桂」型のやはり主流である先手の「穴熊」を警戒しけん制。。
(開幕戦 では43手目△8五歩をみて
▲9八香~▲9九玉と早々に「穴熊」に玉を潜伏させた森内名人が勝利 )
49手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△森内名人: 歩
森内名人の43手目△9五歩を見てなのか
あるいは最初から「穴熊」を掘る気はなかったのか
その辺りは定かではありませんが
羽生二冠は「穴熊」を放棄し▲6五歩~▲5五歩~2五歩と
アクティブに歩を突き、先に模様を細かく動かしました。。
上図49手目の局面でお昼休憩に。
【 お昼のメニュー 】
羽生二冠: 桜海老の春キャベツのスパゲッティ・ぺペロンチーノ
(オイル系ソース)と前菜盛り合わせ
森内名人: するが牛のミートスパゲッティ・ボロネーゼ(トマト系ソース)
53手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂
△森内名人: 桂、歩2
午後開始の一手は
森内名人の50手目△2五同桂。そこから▲同桂~△同銀~と進行。
一日目の午後開始直後から一気に開戦となりました。
桂馬交換の後
羽生二冠は上図53手目に飛車先の歩を突き合わせ
57手目▲3五飛。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂、歩
△森内名人: 桂、歩4
△3五同歩~▲9五歩~△同歩~▲3五飛~の進行で
森内矢倉の陣形を崩し、飛車、角、銀の攻撃陣の視界が開け
前途洋洋。。。?!
59手目▲3九飛。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂、歩
△森内名人: 桂、歩4
かき回すだけかき回し
羽生二冠はスッと飛車を自陣最下段に引き下げました。
60手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂、歩
△森内名人: 桂、歩3
羽生二冠にいいように攻め込まれたようにみえた森内名人。
しかし鉄板流は微動だにせず、先手が荒らした3筋に歩を補充し
静かに流れを均します。。
羽生二冠の61手目は貴重な持ち歩を投入して▲3五歩。
この手をみて森内名人は長考。慎重に読みを入れます。
62手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂
△森内名人: 桂、歩3
45分考えてから
森内名人が放った62手目は、飛車先を決める△8五歩。
もう自玉側の先手の攻撃は押さえられると踏んでいるかのように。。。
今度は羽生二冠が長考に、沈みます。。
1時間半以上考え、終了時刻が近づきます。
そのまま羽生二冠が次の63手目を封じて一日目は幕を閉じました。。
羽生二冠が動き、森内名人が受ける
両者の棋風と今シリーズの流れそのままの展開となった第4局一日目。
思わしい手が無い中での長考では。。との声も聞かれましたが、難解。
羽生二冠の「封じ手」やいかに。