第68期名人戦第1局を振り返ろう
名人戦棋譜速報
羽生名人が先勝 第68期将棋名人戦第1局
羽生、押し切り先勝 名人戦第1局
■羽生名人の話■
気がついたら悪くなっていて、負けだと思って指し続けていました。
でも、8三飛成(92手目)を見つけて、もしかしたら面白くなったかと思いました。
■三浦八段の話■
終盤は勝ちと思いましたが
いろいろ誤算があって、決め手を見つけられませんでした。
もう少し中終盤の精度を上げて、第2局に臨みたいと思います。
第1局終局直後のインタビュー
羽生善治名人に
三浦弘行八段が挑戦する、第68期名人戦7番勝負。
第1局は後手番・羽生名人の勝ちとなりました。
しかしながら
終局後のインタビューからも垣間見える
三浦八段の前向きさは、今後の展開でも要点となる気がします。
どのような展開になろうとも。。
4手目の局面△8四歩。
振り駒の結果
先手となりました三浦八段は初手▲2六歩とし
事実上、横歩取りを注文する出だし。。。
羽生名人はいつものように
相手の注文をそのまま受けて立ちました。
25手目の局面▲3三角成り。
お互いに飛車で歩を2枚ずつゲットして
先手・三浦八段から角交換へ。。
34手目の局面△9三桂。
そして今度はお互いに桂馬の活用。
羽生名人の桂馬は9筋にポジションを取ります。
▲7四歩~△同歩と
7筋の歩を突き捨ててから
37手目▲7二歩。
7筋に味をつける三浦八段。
実はここまで、両者の最も最近おこなわれた直接対決
(2月23日・王位戦白組/1回戦)と同じ進行。。
ちなみにこの時は
ちょうど100手までで、同じく後手番だった
羽生名人が勝利しています。
ここでお互いに
相手の出方をうかがった後
三浦八段は7二の歩を成り捨てて
43手目▲8二角。
狙いの一手か、角の打ち込み。
この局目で羽生名人はしばし長考に耽り。。
そのまま封じ手となり
一日目は終了となりました。
44手目△8一飛車。
一夜明けまして
羽生名人の封じ手は8一飛車。
ひらりと角がかえって馬となる
▲5五飛車成りを見取った羽生名人
46手目△7六角。
思いもよらない角の打ち込み。。
ここで
二日目開始3手目ながら、三浦八段は長考に入ります。
昨年度の挑戦者・郷田九弾ばりに
その長考は2時間を越えました。。。
考えに考え抜いた末に
選んだ一手は強気の一手。
47手目▲7三歩。
再び7筋に歩垂らし攻め合いも辞さずの姿勢を
明確に宣言する三浦八段。
50手目△6八角成り。
ならばその宣言すらも受けて立つ
羽生名人は飛車を走らせ、角が6筋で馬となり
王手飛車獲り。。
しかし
三浦八段長考後に描かれたこの模様。。
「プロの将棋は王手飛車をかけた方が負ける」
の諺もありますが。。
59手目▲7一角。
中段で
躍動する羽生飛車ではありますが
この間に馬を作られ
銀を取られて、金も王から離れ孤立。
一見すると盤面向かって左側から
大きく崩されたように感じる羽生陣営。。。
さらには
6五に構える飛車の頭に香車も配備され
(61手目▲6六香)
65手目▲6三香成り。
完全に盤面右側を押さえ込まれ
王の逃げ場も狭くなった羽生名人。。
ここは三浦八段、チャンス到来。
しかし
ここから羽生名人は反撃に転じ
粘り強く攻め手をつなげていく展開へ。
73手目の局面▲5一銀。
三浦陣営の一段目に
二枚の飛車(一枚は龍に)を配置した羽生名人。
しかし逃げ場の無さこの上ないのは羽生王の方。
うかつに駒を渡すわけにも行かず、攻めてが続くなら
三浦八段の方が早そうですが。。
上図での持ち駒
▲三浦八段: 歩2
△羽生名人: 桂、歩6
じりじりと間合いを計り合い
77手目の局面▲3二銀。
間合いがつまってきました。
羽生陣営の速度計算やいかに。。
いや、攻撃は最大の防御なり。
この局面から
4六桂打ち~▲同歩~△同桂と
桂馬の連続モーションで連続王手を放つ羽生名人。
83手目の局面▲3四桂。
銀を渡したものの
三浦玉の上部は見晴らし良好。。
ゲットした桂馬をすかさず打ち込み
羽生王の頭上にはビッシリと重い厚みが築かれました。
88手目の局面△3四銀。
三浦八段に
やすやすとは主導権を握らせない羽生名人。
三浦玉がスルスルと上部に脱出を図る中
先ほどの桂馬を銀で払います。
92手目△8三飛成り。
中盤以降
三浦八段の方が早そうな、押している展開に見えた本局。
事実、羽生名人も「負けだと思って」指し続けていたそうですが
その羽生名人が
「もしかしたら」と、思ったという運命の92手目
8三飛車成り。。。まさに、事実として。
100手目△7四龍。
あれほどの厚みを築きながら
閉所にいる羽生王への踏み込みに迫力を欠いた
三浦八段。
玉も龍の睨みの前に
少しずつ後退をよぎなくされます。。
しかし、それにしても。。
投了図102手目△5四角。
ここで三浦八段は投了。
まさかの、というのか。。いさぎよく、というのか。
ギリギリに思えた終盤を
粘り強くしのぎきった羽生名人が放った
魅惑の妙手・8三飛車成りは、実は急所を打ち抜く一撃で
投了図以降
▲6五金打~△同角~▲同銀~△8五金~▲8七玉~△8六香以下で
先手玉には明確に詰みが発生しているとのこと。
連続防衛にむけ、まずは大きな大きな開幕戦白星を
いかにも羽生名人らしい逆転劇で飾り
今年の名人戦の幕が、パッと
華やかに開きました。
羽生名人が先勝 第68期将棋名人戦第1局
羽生、押し切り先勝 名人戦第1局
■羽生名人の話■
気がついたら悪くなっていて、負けだと思って指し続けていました。
でも、8三飛成(92手目)を見つけて、もしかしたら面白くなったかと思いました。
■三浦八段の話■
終盤は勝ちと思いましたが
いろいろ誤算があって、決め手を見つけられませんでした。
もう少し中終盤の精度を上げて、第2局に臨みたいと思います。
第1局終局直後のインタビュー
羽生善治名人に
三浦弘行八段が挑戦する、第68期名人戦7番勝負。
第1局は後手番・羽生名人の勝ちとなりました。
しかしながら
終局後のインタビューからも垣間見える
三浦八段の前向きさは、今後の展開でも要点となる気がします。
どのような展開になろうとも。。
4手目の局面△8四歩。
振り駒の結果
先手となりました三浦八段は初手▲2六歩とし
事実上、横歩取りを注文する出だし。。。
羽生名人はいつものように
相手の注文をそのまま受けて立ちました。
25手目の局面▲3三角成り。
お互いに飛車で歩を2枚ずつゲットして
先手・三浦八段から角交換へ。。
34手目の局面△9三桂。
そして今度はお互いに桂馬の活用。
羽生名人の桂馬は9筋にポジションを取ります。
▲7四歩~△同歩と
7筋の歩を突き捨ててから
37手目▲7二歩。
7筋に味をつける三浦八段。
実はここまで、両者の最も最近おこなわれた直接対決
(2月23日・王位戦白組/1回戦)と同じ進行。。
ちなみにこの時は
ちょうど100手までで、同じく後手番だった
羽生名人が勝利しています。
ここでお互いに
相手の出方をうかがった後
三浦八段は7二の歩を成り捨てて
43手目▲8二角。
狙いの一手か、角の打ち込み。
この局目で羽生名人はしばし長考に耽り。。
そのまま封じ手となり
一日目は終了となりました。
44手目△8一飛車。
一夜明けまして
羽生名人の封じ手は8一飛車。
ひらりと角がかえって馬となる
▲5五飛車成りを見取った羽生名人
46手目△7六角。
思いもよらない角の打ち込み。。
ここで
二日目開始3手目ながら、三浦八段は長考に入ります。
昨年度の挑戦者・郷田九弾ばりに
その長考は2時間を越えました。。。
考えに考え抜いた末に
選んだ一手は強気の一手。
47手目▲7三歩。
再び7筋に歩垂らし攻め合いも辞さずの姿勢を
明確に宣言する三浦八段。
50手目△6八角成り。
ならばその宣言すらも受けて立つ
羽生名人は飛車を走らせ、角が6筋で馬となり
王手飛車獲り。。
しかし
三浦八段長考後に描かれたこの模様。。
「プロの将棋は王手飛車をかけた方が負ける」
の諺もありますが。。
59手目▲7一角。
中段で
躍動する羽生飛車ではありますが
この間に馬を作られ
銀を取られて、金も王から離れ孤立。
一見すると盤面向かって左側から
大きく崩されたように感じる羽生陣営。。。
さらには
6五に構える飛車の頭に香車も配備され
(61手目▲6六香)
65手目▲6三香成り。
完全に盤面右側を押さえ込まれ
王の逃げ場も狭くなった羽生名人。。
ここは三浦八段、チャンス到来。
しかし
ここから羽生名人は反撃に転じ
粘り強く攻め手をつなげていく展開へ。
73手目の局面▲5一銀。
三浦陣営の一段目に
二枚の飛車(一枚は龍に)を配置した羽生名人。
しかし逃げ場の無さこの上ないのは羽生王の方。
うかつに駒を渡すわけにも行かず、攻めてが続くなら
三浦八段の方が早そうですが。。
上図での持ち駒
▲三浦八段: 歩2
△羽生名人: 桂、歩6
じりじりと間合いを計り合い
77手目の局面▲3二銀。
間合いがつまってきました。
羽生陣営の速度計算やいかに。。
いや、攻撃は最大の防御なり。
この局面から
4六桂打ち~▲同歩~△同桂と
桂馬の連続モーションで連続王手を放つ羽生名人。
83手目の局面▲3四桂。
銀を渡したものの
三浦玉の上部は見晴らし良好。。
ゲットした桂馬をすかさず打ち込み
羽生王の頭上にはビッシリと重い厚みが築かれました。
88手目の局面△3四銀。
三浦八段に
やすやすとは主導権を握らせない羽生名人。
三浦玉がスルスルと上部に脱出を図る中
先ほどの桂馬を銀で払います。
92手目△8三飛成り。
中盤以降
三浦八段の方が早そうな、押している展開に見えた本局。
事実、羽生名人も「負けだと思って」指し続けていたそうですが
その羽生名人が
「もしかしたら」と、思ったという運命の92手目
8三飛車成り。。。まさに、事実として。
100手目△7四龍。
あれほどの厚みを築きながら
閉所にいる羽生王への踏み込みに迫力を欠いた
三浦八段。
玉も龍の睨みの前に
少しずつ後退をよぎなくされます。。
しかし、それにしても。。
投了図102手目△5四角。
ここで三浦八段は投了。
まさかの、というのか。。いさぎよく、というのか。
ギリギリに思えた終盤を
粘り強くしのぎきった羽生名人が放った
魅惑の妙手・8三飛車成りは、実は急所を打ち抜く一撃で
投了図以降
▲6五金打~△同角~▲同銀~△8五金~▲8七玉~△8六香以下で
先手玉には明確に詰みが発生しているとのこと。
連続防衛にむけ、まずは大きな大きな開幕戦白星を
いかにも羽生名人らしい逆転劇で飾り
今年の名人戦の幕が、パッと
華やかに開きました。