ちょっと、自分の知識では足りないため偽装請負について調べてみた。
偽装請負とは請負契約もしくは業務委託契約(以下,請負契約)でありながら,開発・運用担当者を実質的に「派遣」として働かせて利益を得る行為のことをいう。
例えば、以下のような状況は偽装請負である。

1.労務管理上の独立性
例)現場でお客さんより直接指示を受ける等

2.労働時間管理上の独立性
例)タイムカードなどで時間による管理がされている等

3.秩序の維持,確保,人事管理上の独立性
例)ユーザー企業が要員を直接面接するなどの方法で,請負企業からの労働者を選定すること等

※例は必ずしも正しいとは限りません。(法的知識があるわけではないので、ご了承ください。)


なお、この偽装請負は大抵において両者が合意の上行われることが多く問題が表面化されにくい。
・・と考えるとあまり問題が無いように思える。

しかし、この問題は派遣法あるいは職業安定法違反にあたるそうです。
(職業安定法64条1項9号,44条:労働者供給事業を行った者(請負企業)だけでなく,供給された労働者を指揮命令して労働させた者(ユーザー企業)も,1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる)

で、実際我々としてはどのような不利益を被っているのだろうか?
ちょっと考えてみる。

【偽装請負のメリット】
・仲介業者が増え仕事が受けやすくなる。
・高度な技術的専門性を持たない場合にも仕事に付く事ができる。
・派遣法で禁止されている多重派遣のような形態がとれ、人材確保が容易になる。

【偽装請負のデメリット】
・技術者に替えがきき、もののように扱われる場合がある。
・高度な技術的専門性を持たない人が増え業界全体のレベルの低下を招く
・多重派遣による賃金の低下
・多重派遣における賃金支払いの遅延
・安全管理の責任が曖昧になる


本来はデメリットである安全管理の責任が問題となり、内部告発により偽装請負が発覚するのだがIT業界では安全性が問題になることは殆ど無い。
(そもそも、現場で事故が起こるケースが殆ど無い)
そうするとメリットとデメリットの帳尻が取れてしまうのかもしれない。

しかし、客観的に見れば随分デメリットは大きいと思う。
偽装請負によって多重派遣が常習化されている今では、本来必要である技術者の確保が難しくなり頭数は揃うが技術レベルが揃わないという事が起こる。
こうなると技術レベルが高い人に仕事が集中したり、必要な技術者が集まらずにプロジェクトが破綻してしまうだろう。
こう考えると、偽装請負に歯止めをかけて欲しいのはユーザー企業のはずなのだ。

また、将来的に見てもデメリットは大きいと思う。
偽装請負によって相場と言うものが決まってきてしまい、自分の力量よりも世間の枠に捕らわれ正当な賃金を貰う事が難しくなります。
そして、この風習の中で働く人の一部は技術が無くても報酬を得られる事に気づき業界全体のレベルが低下していきます。




こう考えると、非常にメリットが少なく感じます。
だからといって、

偽装請負は全て法律で罰します!

なんて突然言われたらたまったものではない。
ユーザー側も我々も路頭に迷ってしまうだろう。
この問題はデリケートな問題であり、突然の解決は出来ない事なのだろう。

だからこそ、これから起業する方は偽装請負を頼ったビジネス展開をしてはいけないと思うのです。
起業する人はお金儲けを目的とするのではなく、自分の夢を実現するために起業をして欲しいと思うのです。
(余計なお世話でしょうけれども・・・)
と言っても、私自身が斡旋してもらってる自分には説得力が無いのですが・・・。

ところで、斡旋業と偽装請負の関係ってどうなのだろうか?
仕事だけ紹介してもらって、紹介料だけを払って自分で契約をすれば偽装請負には当てはまらないでしょう。

しかし、事務代行と称されて請求処理とかをしてくれている企業はどうなのだろうか?
この企業(斡旋業者)を法人格と見なさない法律が出来れば良い気もするんだけどどうでしょうか?

例えば、月に固定の手数料をとって営業代行や請求代行をしてもらえるなら法律的に偽装請負になってもデメリットはそこまで大きくない気がする。
(現状は固定の金額が高いですが、現在落ち着きつつある気がする。最終的に月2~3万に落ち着くんじゃないかな。そして、仕事を斡旋した月は仕事斡旋料が別途かかれば良いのではないだろうか?)

P.S.
ちなみに、報酬によって手数料が上がっていくのは腑に落ちない。
手間は変わらないのに何故手数料があがる?


※注意点
偽装請負は偽装と言う名前とは裏腹に請負契約だけに適応されるという事ではないです。
委任契約にも適用されます。
(もちろん、派遣には適用されません。派遣は派遣法が適用されます。)
これは、労働者派遣法や職業安定法違反になるかどうかの基準で判断されるそうです。

請負や委任と言うのは契約内容の話であって、労働者を保護するための法律である労働者派遣法や職業安定法違反には当てはまらないそうです。
(参照:労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準

委任契約だから関係ないというわけではなく、十分関係ありますので関係者の方々は十分注意してください。

参照文献:
知っておきたいIT法律入門
IT業界のタブー「偽装請負」に手を染めてませんか


【アンケート】
偽装請負についてどのように思いますか?

恩恵に授かっているので賛成する
恩恵に授かっていないので反対する
業界の未来を考えて賛成する
業界の未来を考えて反対する
この記事を読んで賛成する
この記事を読んで反対する
他の理由で賛成する
他の理由で反対する