『チチを撮りに』クスリとおかしくて ちょっとせつなくて | 湘南ダック ~神奈川・東京 ランチグルメ~

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『チチを撮りに』

14年前 女を作って出て行った父。
末期がんで死の床にあるとの連絡に
母は娘二人に見舞いに行き 
父の顔写真を撮ってくるよう依頼する。 
「見たいの おかあちゃん。
あの人がどんな顔をして死んでいくのか」 

向かう場所は足柄。駅に着いたとき伝わる父の訃報。
戸惑う姉妹を迎えに来たのは まだ小学生の弟。
葬式に参加することになったふたりは 父とのつながり 母の思いに気付いていく。

そして姉妹がする決断とは・・・


主人公の姉妹。
20歳 フリーター キャバクラバイト中の姉 葉月(柳英里紗)
17歳 高校をサボってばかりいる妹 呼春(松原菜野花)
普通すぎる雰囲気。本当の姉妹のように自然な演技。

ストーリーにも不自然さはなく 淡々と進んでいく。
その間にはさまれる 「乳と父」「マグロ好き」「生涯一度の万引き」など
クスリと笑え あとでじんわりくるキーワード。

焼かれるお棺に向かって あわてて手を合わせる姉妹
「感謝もしないけど 恨んでもないから じゃあね」と姉 葉月。
「マグロ。わたしもずっとマグロ好きでいるから。バイバイ」妹 呼春。
そう「男はつらいよ」にも似た 古き良き日本映画のエッセンスが詰まってる。

ただ「寅さん」との大きな違いは 母の佐和(渡辺真起子)の存在。
強くて悲しくて優しいが 女としての生々しさと潔さを併せ持つ。

ラスト近く。姉 葉月が「人生2度目の万引き」で持ち帰った父の指の骨を手にして
「これじゃ笑えないじゃん・・・あの人の匂いがする」と泣く母。
そして しばらくして「ねぇ これ おかあちゃんの好きなようにしていい」と言い
骨を川に投げて「おとうさん・・・なんて魚に食べられてしまえ。あぁ スッキリした」
登場シーンは長くないが大きなインパクトを与える演技でした。

時間も74分。おかしくて せつなくて 最後には ほのぼの感が残る作品。
自主映画出身の中野量太監督。次回作が楽しみです音譜

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