「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン　THE MOVIE」感想

　毎年恒例のスーパー戦隊VSシリーズに、伝説の特撮ヒーロー「宇宙刑事ギャバン」が殴りこみ。ゴーカイジャーとの強力タッグで、地球を魔空空間に引きずり込もうと企む悪に、戦いを挑む。

　３０年の時を越え、あのギャバンがスクリーンに登場。しかも、演じるのは当時と同じ大葉健二さんとくれば、もうそれだけで特撮ファンには感涙モノに違いあるまい。
　四半世紀以上経っても、まったく古さを感じない銀色のコンバットスーツと、漢臭さ全開のダイナミックなアクション。何より、正義と勇気を体現したかのようなオーラ纏うその立ち姿に、お父さん世代はもちろん、チビッコ達もシビレまくる事ウケアイ。
　この雄姿を拝むためだけに、１２００円払う価値は充分にあると断言してしまいたい。

　肝心のストーリーは、いわゆる典型的な勧善懲悪もの。冒頭のゴーカイジャー逮捕劇、和解もまもなくギャバンのピンチ、救助に向かうゴーカイメンバー、そして共闘と、基本をはみ出さない堅実な作り。

　敵役には、まさかの佐野史郎氏を起用。顔出しの尺こそ短いものの、演じる獄長アシュラーダの底知れぬ冷酷さと、ギャバンに対する憎しみを念を秘めた声で、その存在を遺憾なく発揮。
　ガイアーク三大臣や風のシズカ等、懐かしの敵幹部も多数ゲスト出演し、さらにバトルケニアにデンジブルー、新戦隊のゴーバスターズも緊急参戦。
　もちろん、メンバーそれぞれの個性を前面に出しつつ、オブジェクトを駆使したド派手なアクションも健在。まさにスーパー戦隊３５周年の集大成にふさわしい豪華且つ熱のこもった内容で、思わず心が奮えてしまった。

　作中、キャプテン・マーベラスが子供の頃、ギャバンに助けられたというエピソードは、単なる感動劇に止まらず、例えば父から子へ、上の世代から下の世代へ連綿と受け継がれていく魂の具体であり、未来永劫潰える事なく、また潰えさせてはいけない正義の系譜の体現であると感じた。
　しつこいようだが、ヒーロー番組とは教育番組である。こういう素晴らしい作品をたくさん観せ、その精神に触れさせてあげるのも、立派な教育ではないかと小生は思うが、いかがだろうか。

　欲を言えば、最後のロボ戦はもう少し尺があっても良かったし、できれば電子星獣ドルとの豪快合体、もっと言えばギャバンの大いなる力なんてのも欲しかったところ。
　それから、他２名の宇宙刑事と、ギャバンの知り合い（という設定）であるドギー・クルーガー（デカマスター）にもご登場願いたかったが、それはまた、来年の楽しみにしておこう、ウン。

　とはいえ上記したように、この２１世紀の世にもう一度ギャバンの雄姿、それもスクリーンで観られただけでも大満足。オマケに最後には、特撮ファンなら思わずニヤリとしてしまうサプライズ演出もあって、もはや至れり尽くせり。
　無論あくまで子供向けなので、一般的なアクション映画と比べればツッコミどころも多く、物足りなさを感じる人もいるかもしれないが、入場料大人一枚１２００円、上映時間も１時間少々と短めなので、少しでもスーパー戦隊、あるいは宇宙刑事シリーズを観た事がある人なら、是非ともご鑑賞を。

　あばよ涙、よろしく勇気！！

　そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

　☆☆☆★★＋＋＋

　大葉さんのあまりのかっこ良さに、オマケの星３つプラス３つ！