「リアル・スティール」感想 | 新・狂人ブログ~暁は燃えているか!~

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 リチャード・マシソン原作の短編小説「四角い墓場」を、「ナイトミュージアム」ショーン・レヴィ監督、「ウルヴァリン」ヒュー・ジャックマン主演で映画化。
 近未来、ロボットボクシングの隆盛により戦う場所を奪われた男と、10年ぶりの再会を果たしたその息子が、捨てられていた一体のロボットとの出逢いにより、家族の絆を取り戻していく。


 はっきり言って、この映画は卑怯だ。原作があるとはいえ、「ロッキー」「チャンプ」といった過去の名作パターンを分析・吸収し、最小公約数的とでも言うべき感動ストーリーを意図的に構築している。
 ゴミ捨て場から拾ってきたポンコツロボットが、最新鋭のロボットに実力で拮抗する等、ご都合主義としか言いようのない展開も多分に含まれ、あくまで観客の涙腺を刺激する事を最優先とするような、あざとさすら見える。

 いつもなら、即刻斬り捨て御免に違いない。

 が、しかし、悔しい事にこれが面白い(笑)。あざといと分かっていながら、こんなものはパターンだと理解していながら、ラストカットの頃には嗚咽を洩らしていた。
 常々「エンタメは面白いか否か、金払う価値があるかどうかが唯一にして最大の基準」と公言して憚らない小生だが、これはさすがに「マイッタ」と言う他ない。

 人間の代わりにロボットが戦う、未来のボクシングを題材にしながら、内容自体は大時代から続く、実にベタな男親子モノ。意外性こそほとんどないが、それだけにヘタな小細工なし、直球勝負の人間ドラマを見せてくれる。
 また、登場するロボット達が、我々ヲタクから観ても「分かってる」カッコいいデザインで、そちらも高評価。一昔前まで、アメリカ映画に出てくるロボットと言えば、日本のアニメのザコメカよりカッコ悪かったりしたものだが、主人公ロボのアトムをはじめ、フィギュア何体かほしいかも、と本気で思ってしまった。
 アレをWiiリモコンKinectで操縦できるゲームがあったら、さぞや楽しいに違いない。むしろやってみたい(笑)。

 ロボットにリングを奪われ、それでもなお戦いとファイトマネーを求めてロボットボクシングに身を投じる元ボクサー、ヒュー・ジャックマン演じるチャーリーがまた良い。
 連敗とロボット代で借金を重ね、息子の親権すら金に替えようとするパーフェクトダメ親父が、ダコタ・ゴヨ演じる息子マックスと、旧型ロボット・アトムとの出逢いで徐々に奮起していく姿を好演。
 例えば作中、「Watch me(オレを見ろ)」というフレーズが3回出てくる(実は吹き替えで観たので、正確にこのセリフだったかどうかは分からないのだが、似たニュアンスの言葉である事は間違いないと思われる)。
 一回目は冒頭、マックスが自分の親権についてチャーリーに尋ねる場面。2回目は後半手前、マックスのためを思い、里親の下に帰るよう説得する場面。いずれの場合も、チャーリーは本心を隠し、マックスから目を逸らせる。
 おそらく、前者は保身と面倒臭さから。後者は芽生え始めた親心と自分のふがいなさから。
 しかし3度目、アトムに自分の動きをトレースさせ、宿敵ゼウスに立ち向かわんとするチャーリーは力強く、真っ直ぐにアトムを見つめて叫ぶ。それはまさしく、そばにいるマックスに、そして何より自分自身に対して向けられた魂の雄叫びであり、この瞬間、チャーリーは男としての真のプライド、父親としての誇り、ファイターとしての勇気を完全に取り戻したのだと、アリアリと感じた。

 その息子であるマックスも、負けてはいない。
 反抗的で生意気だが、大人顔負けのメカニック技術と、頭の回転の速さ。一見して典型的ご都合キャラだが、本当は誰よりも愛される事を欲し、その孤独を埋めるためには賢しくならざるを得なかっただろう暗い心の影が、うっすらと窺える。(あくまで推測だが)
 彼がアトムにこだわったのも、単に命の恩人だからというだけではなく(それも多分にあるだろうが)、自分が世話なり整備をし、面倒を見てやる相手=自分を必要とする相手を欲していたからに違いあるまい。あくまで邪推だが、実は彼が自分で語っているほど、幸せで愛情溢れる家庭環境ではなかったのではないだろうか。

 戦う場所を失った男と、必要とされる事を望む少年。我ながらベタな表現だが、ゴミ捨て場から世界のリングへと駆け上がっていくアトムの雄姿は、まさにそんな二人の象徴であり、同時に二人を結びつける最高の架け橋と言える。
 つまり、この3人(?)だからこそ、本作は成立する物語であり、他のいかなる形もありえなかったと断じておきたい。


 確かに、金あるんだからあのぐらいロボットいくらでも大量生産できるだろ、てか普通にアレより頑丈なロボット作って元プロボクサーでも雇えばいいじゃん、とか、そもそも捨ててあったロボット勝手に持って行ったらダメじゃん、一応ああいうのって処理施設の所有になるんじゃね?とか、ツッコミどころは山ほどある。
 第一、ロボットボクシングが全盛になったところで、本当に人間同士のボクシングが廃れるとは、どうも考えにくい。
 しかし、それでもいい物はいい。つい昨日「フィクションだからこそ説得力が云々」と吐いておきながら何だが、そんな些細な事より、とにかくドラマが素晴らしい。コレに勝る説得力はない!!(笑)

 男なら、特に息子さんを持つお父様方なら、少なからずグッとこみ上げてくるモノがあると確信。さあ、お正月は親子揃って映画館へGO!!

 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、 

 ☆☆☆★★+++

 でも一番感動したのは、スタジアムの広告に「XBOX720」って書いてあった点(笑)。10年ぐらいしたらもう1周するのか?!星3つプラス3つ!!





(違)




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