東京キャリアアップハローワークでの対応について | 借家人権利向上委員会

東京キャリアアップハローワークでの対応について

厚生労働省が12月12日に発表した、雇用促進住宅に入れるということをうたった施策が話題になっています。

厚生労働省の発表
「ハローワークにおいて、社員寮等の退去を余儀なくされた方々への住宅確保のための相談支援を開始します」

で、他の支援者の方と当事者と一緒に、昨日12月18日に新宿ハロワに行ってみたところ、実態としては現状ではぜんぜん使えない制度であるという感じでした。

理由を2点述べます。

理由1:都内の雇用促進住宅はほぼ使えない。

すぐに入居したいと希望しても、都内の雇用促進住宅はほとんどすでに空室がない状態でした。
潮見の物件を1件紹介されましたが、家賃が86000円ほどで高すぎ。八王子の物件も1件紹介されましたが、来年の1/6から入居可。
埼玉の物件も調べてもらいましたが、基本的に家賃が5.6万円で、安い物件は秩父とか相当遠くて、これからの就職活動に支障が出るのは目に見えていて使えない。それに来年から入居可という案内が多かったです。
それから、入居時に初期費用として当月の日割りの家賃と次月の家賃が必要で、手持ちがないと入れない。ただ、あとでHPの連絡先に電話で問い合わせたら、翌月支払いも応相談だそうです。その場では説明されませんでしたが。

といっても下記貸付とは併用がその時は無理と言われたので、下手に遠い雇用促進住宅に入ってもそこからどうやって仕事を見つければいいのか。初期費用は払えたとしても、仕事も見つけられず、いずれは家賃が払えなくなって出ざるを得なくなる方が大勢出てくる可能性があります。6ヶ月の定期借家契約ということも懸念されます。
ただ、貸付に関しては、今日になって、雇用促進住宅との併用が可能になったらしいです。
日々刻々と制度が変わっています。

理由2:資金の貸付は手続きが相当面倒で即日は無理。

雇用促進住宅への入居以外に、もう一つの制度として「住宅入居初期費用、家賃補助費、生活・就職活動費の資金の貸付」というのがあります。
詳細は昨日もらった資料をPDFにしたので、こちらを読んでいただきたいですが、まず審査期間があるので、即日の貸付は無理です。いま申請したとしてもいつから貸付が開始できるかも不明ということです。職員は年内は無理で年が明けるかもとか言っていました。なんで、手持ちがなくて待ったなしの人にとっては使えません。
手続きにしても、雇い主であった事業者からの証明が必要で、すぐさまその場で申請というわけにはいかず、しかも住んでいる場所の近くのハロワから申請しろと言われました。他にも資料をご覧いただければわかる通り、不動産屋に制度のことを説明して証明書に記入してもらわねばならなかったり、相当面倒な手続きが必要です。

こういった運用で本当に貸付を利用できる人がいるのか、相当疑問です。
あと、貸付利率にしても一昨日は3%でしたが、昨日の資料では1.5%になっています。
こういったことからも、現場も混乱している様子が見て取れました。

当初発表された際には、これは!とか思いましたが、想定されたものよりも制度の運用が柔軟ではないようなので、これからもっと監視して「使える制度」にしていく必要があると思います。