宮城県大崎市古川小野の休園中のレジャー施設「化女沼レジャーランド」(後藤孝幸社長)が、施設と土地の年内売却を目指し、購入者を募っている。廃虚マニアの聖地ともなっている場所で、9月以降、十数件の問い合わせがあったという。

 化女沼レジャーランドは1979年、大崎市民の憩いの場である化女沼の東岸に開園。約15万平方メートルの敷地内に遊園地やゴルフ練習場、室内ゲートボール場、コテージなどが立ち並び、最盛期は年間20万人が利用した。バブル崩壊後は客足が遠のき、2001年10月に休園した。
 遊園地の観覧車やメリーゴーラウンドなどは解体されずにさび付き、近年の廃虚ブームで全国からマニアを呼び寄せている。後藤社長の許可の下で撮影会などが開かれている。
 「化女沼を一大観光地に」との夢を忘れられず、後藤社長は施設や土地の切り売りを拒んできた。しかし今年6月、転倒して膝を骨折し、つえを手放せなくなった。後藤社長は「私も85歳。いいかげんに我を折りなさいという照夜姫(化女沼の主とされる伝説上の女性)のご意思かもしれない」と思い、売却を考えるようになった。
 9月にテレビ番組で売却の意思が伝わると、北海道や関東地方、中部地方などから問い合わせがあった。
 視察に訪れる人からは「敷地内から湧く温泉を生かし保養施設を造る」「廃虚のテーマパークにしたい」といった提案が出ているという。後藤社長は「この土地を活用してくれるなら喜んでお譲りする」と話す。
 化女沼の環境美化に取り組む市民団体の代表は「東北自動車道の長者原スマートインターチェンジや東北新幹線の古川駅から近い。自然環境とマッチした施設に生まれ変わってほしい」と話す。