朝五時にバイクで乗り出した。まるで梅雨が終わったようなさわやかな晴れ空の下で、むせ返るような緑の中を走りながら、、旅に出た遠方の友人のことを思った。

昨日、空港から、「まもなく出発します」とメールが入った。

彼女が告げた予定の通りに旅が進めば、今頃は異国の夜の空港に降り立って、あるいは今夜の宿に向かっていることだろう。

家族にせよ友人知人にせよ、会えなくとも実在を信じていられる人への思いは、心に浮かべるだけで親しさを再生できる。
もういないと分かっている人々への思いは、懐かしく心に浮かんでも、なにやら悲しい。