閉鎖的で変化に乏しい島に灯台守として一人の若者がやってくる。この若者は、自分の世話をしながら指導してくれる先輩の燈台守の家に寄宿する。

やがて、この先輩の灯台守の美しく貞淑な妻とやってきた心優しい若者は、お互いに心を惹かれあう。

恋愛物語の定番のシチュエーションから、話は定番どおりに進むが、ありふれた恋の話なのに見終わった後私の心にはなにやら震えるものが残った。


失うもののない恋は恋ではない。この映画を見ていると、そんな気がしてきた。

美しい妻と優しく魅力的な若者の恋は二人だけではなく周りの人々にも大きな波紋を広げ、痕跡を残して終わりを告げる。

普通の物語はこれで終わるが、現実にはどのような恋であれ恋の終わりは新しい物語の始まりであり、登場人物にはそれぞれその後の人生を、否応なしに紡がなければならない。

ネタバレになるのでこれ以上かけないが、私はこの恋人たちではなく、妻の恋に直面した夫に深く心を揺さぶられた。