これぞ現代のビリー・ホリデイ! エリカ・バドゥ4年振りの来日公演で大興奮 | SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ

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ジャズ専門誌「スイングジャーナル」のスタッフによるオフィシャル・ブログです。取材,編集などに追われるジャズ三昧の日常の中で遭遇した,興味深い出来事をお伝えしていきます。

1997年に『バドゥイズム』でデビューし,ジャズとR&B~ヒップホップをミックスした“ネオ・ソウル”というジャンルを世界に知らしめたディーバ,エリカ様(「別に…」の人ぢゃありません&アメリカでは「現代に甦ったビリー・ホリデイ」といわれているそうです)が新作『ニュー・アメリカ・パート・トゥー(リターン・オブ・ザ・アンク)』のリリースに合わせて,東京“Zepp Tokyo”で4年振りとなる来日公演を行いました。

昨今のR&B~ヒップホップは(たぶん2000年以降),エンタテインメント性が強くなり,メッセージ性のある歌詞,過去の偉人に敬意を払ったクールなサウンド作り(サンプリングなどで)が失われつつある様な気がします。
PVを観てもお尻プリンプリンのおねーちゃんと「宝石何個入っとんねん!」というブリンブリンをこれでもか! というほど身につけて,エコとは対極のアメリカン・オールド・カーに乗っているものばっかり。
しかし,エリカ様のPVはアーティスティックでメッセージ性が強い。
同じお尻をプリンプリンさせるのでも,彼女の場合はJFK暗殺現場でやっちゃうんですから。
ニュースにもなって全米中で話題になったあれですね。

さて,久しぶりの来日にエリカ様が登場する前から会場は熱気ムンムン。
外人さんもかなり多いです。
まずバック・バンドが登場し,グルーブを作り上げると,トレンチ・コート姿のエリカ様が登場。
「エリカー!! エリカー!!」の絶叫にも応えることなくクールに,且つ丁寧に歌い始めました。
その場で踊り歌うというよりも,何かの儀式を行っている様な雰囲気を醸し出すエリカ様に観客は恍惚の表情。
単にハッピーなステージではなく本物のディーバだけが持つ独特の空気がありました。
バックのメンバーも秀逸で,互いに顔を見合わせることなく,エリカ様の両手が指揮者のタクト棒のように動くのに合わせてキメのフレイズやらカット・イン,カット・アウトをバシバシとキメていきます。

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そして中盤にさしかかった所で,出ました! テルミン(↑写真右端の箱&アンテナ)。
両手を巧みに使い,呪術的なアナログ・シンセ音でステージを効果的に演出。
その後はマイケル・ジャクソンの<オフ・ザ・ウォール>をさりげなく自分の曲に入れこんでカバーしたり,ラップトップ・コンピュータを操作しロバート・ジョンソン風のデルタ・ブルース曲をプレイして,それにあわせて口(くち)パクで歌ったりと,エリカ・ワールド全開。
 
約2時間,つまらないMCで現実世界に連れ戻されることなく,エリカ様のディープな世界を堪能させて頂きました。
これはやみつきになりそう。
海外では様々なジャズ・フェスで公演を行っているので,ぜひ日本でもどこかのジャズ・フェスに出てくれればな~と思ったわけでした。

(編集部・あずきざわ)