こちらは猫好きが高じた美花が思いつくまま書いた、『猫って可愛いよね!』と言うだけのお話です☆


タイトルは某先生の短編よりお借り致しました。大好きなお話です!

子猫を拾う話ですので『敦賀さんもキョコたんも、そんな無責任なことはしないわよ~!』と言う方は読んではいけませんよう。


そんな話もたまにはよし!と言う方は、どうぞ♪


***


「? 羨ましい?何かそちらに、素敵なものでもありました?」
『いや、コーンが羨ましいなって言う話だよ』
「コーンがですか?あ、ああ、そうですね!寝るのがこの子のお仕事みたいなものですから、確かに、これは羨ましいお話ですねえ」
『…うーん、そう来るか…君の難関ぶりは、本当に相変わらずだね』
「な、難関ぶり??」

蓮の言っている言葉の意味が分からなくて『?』マークを頭に浮かべていると、すぐに向こう側から苦笑する気配が伝わって来て。

『なんでもないよ、気にしないで。そうそう、今夜の便で帰るから、それまでちゃんと部屋にいてね?夜帰られるのは本当に心配だし、お土産もちゃんと渡したいし。君の好みに合っていると思うから』

そう穏やかな調子で簡単に言うから、キョーコは1人リビングで困ってしまう。

そうやって心配をされると、勘違いをしてしまう。
お土産の好みの確認なんてされると、ひとりでに嬉しくなってきてしまう。

優しくされているのだと、自分は特別扱いされているのだと…

勝手に心が、思い違いをしてしまうのだから。

誰にでも優しいことは残酷なことにもなるのだと、思わず蓮に、このまま今の気持ちを伝えてしまいたくなってくる。

…それはキョーコの、勝手な思い込みだというのに。

「…もう、あんまり私になんて、手間をかけないでいいんですからね…?朝御飯のご用意をしてお待ちしてますから、気を付けて帰って来て下さい」
『うん、朝御飯楽しみにしてる。ああでも、ちゃんと寝ていてね?君は、そこにいてくれればいいから。早めに帰れるようにするからね』

そうして、「じゃあ、またね」と言った蓮との通話が、互いの挨拶の言葉の後にそっと途絶えて…

キョーコはコーンを膝に乗せたまま、堪らずソファーの背にどさりと身を預けてしまう。

その動きに目を覚まし身を起こしたコーンが、キョーコが頭を乗せたソファーの背もたれに身軽な様子で飛び乗って、上から繁々とその顔を覗き込んで来る。

コーンの碧い瞳を見上げて、キョーコは思わず問い掛けてしまう。

「ねえ、コーン…敦賀さんはこんなこと、後輩なら誰にでも言うのかしら…?あなたを拾ったのが私じゃなくても、こんな風に、誰にでもするのかしらね…?」

嬉しい気持ちと苦しい気持ちが混ざり合って、感情の上り下りの幅が大きくて…

胸に渦巻く小さな嵐を抑えるのに、酷く手間取ってしまう。

「好きな人が、ちゃんといるくせにね」

人の気の知らないで、残酷なことを平気でしてくれるのだから…
ぷくんと頬を膨らませたキョーコは、八つ当たり半分に蓮の美貌を思い浮かべる。

自分の行いに、キョーコが一喜一憂していることなんて、蓮はまったく気付きもしないだろう。

独り相撲をしている自分が分かるから、ぬか喜びを繰り返す自分が余計に虚しく感じられた。

「…敦賀さんは…お土産の確認を、私と同じように『キョーコさん』にもするのかしら…?」

どれを上げたら喜んでくれるのだろうかと想像して、幸せな気持ちになったりするのだろうか。

…自分で言った言葉に、想像に、自分で酷い衝撃を受けたキョーコは…


これまで縁のなかった嫉妬と言う感情を胸に抱えて。

頬に擦り寄ってくるコーンの柔らかな額の感触を感じながら、長く長く、ソファーから動けないままでいた。



≪5に続きます≫


ジェラシーキョコたん。

そしてその頃、ウキウキとキョコたん宛のお土産をお買い物中な敦賀さん。
ちょ…もう、敦賀さんたら…!

曲解思考のキョコたんと攻めの詰めが甘い敦賀さん…
そりゃあ、なかなか上手くもいきませんねえ…愛すべき困った人達ですね!

続きはまた明日。ではでは♪