こちらは猫好きが高じた美花が思いつくまま書いた、『猫って可愛いよね!』と言うだけのお話です☆
タイトルは某先生の短編よりお借り致しました。大好きなお話です!
子猫を拾う話ですので『敦賀さんもキョコたんも、そんな無責任なことはしないわよ~!』と言う方は読んではいけませんよう。
そんな話もたまにはよし!と言う方は、どうぞ♪
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『あ、最上さん?今、大丈夫かな?』
手にした携帯の向こう側から蓮の声が聞こえて来て、キョーコは慌ててソファーから起き上がる。
「は、はい、敦賀さん!こ、こんにちはっ」
綺麗に晴れた翌朝。
キョーコはせっかく晴れたのだからと、泊まったゲストルームと蓮の寝室の布団を干したり部屋の掃除をしたりと、朝から細々と動いていた。
勝手に寝室の踏み込むなんて、やっぱり、関係性を超えた差し出がましい行為だとは分かっているのだけど…
この晴天を逃すのは勿体無かったし、早朝に疲れて帰ってくるだろう蓮に、ふかふかの布団で眠って貰いたい気持ちのほうがずっとずっと強かったのだ。
ぼんやりして休みを過ごすことが性に合わないキョーコは、昼食を挟みつつ、キッチン周りやお風呂場を磨くことにも精を出していた。
そしてリビングで1人遊びを続けていたコーンに抱っこをせがまれ、ソファーで構っているうちに、午後の穏やかな雰囲気とコーンの温かな体温に誘われて、思わずのんびりしてしまっていたところだったのだ。
人様のお宅で寛いでしまうなんて、しかもそこは大人気の『敦賀蓮』のリビングだなんて…物凄く、いけないことだと思う。
自分を戒めつつ膝の上を見下ろせば、コーンが丸まったまますやすやと眠っていた。
「どうしました、敦賀さん。お仕事の合間ですか?」
気持ちよさそうなその様子に瞳を細め、小さな頭を撫でながら問うと蓮の声が返ってくる。
『うん、こっちは今お昼に入る前だから。少し時間が取れてね』
柔らかな声が、優しい口調が耳に優しくて、心がほわりと温かくなる。
身の程知らずと分かっていても…
自然と浮き立つ自分の心に、呆れたキョーコがそっと苦笑を漏らしていると、
『最上さんは薄いピンクとオレンジが混ざったピンク、どっちが好きかな?』
いきなりそんな質問をされて、きょとんとなる。
「え、色ですか?」
『うん、どっち?』
有無のないその質問に、
「え、ええと…薄いピンク、かな??」
思わず答えると、そこでそっと微笑む気配が伝わって来て。
『そっか。じゃあやっぱりこっちにしよう、これでお願いします』
最後の言葉は、他の誰かに向けられた言葉のように思えた。
そのまるで何かを選ぶような蓮の様子に、キョーコは堪らず目を丸くする。
「え、つ、敦賀さん、今って何をされてるんですか!?」
『何って、君へのお土産選びだよ?』
驚いて言ったのにさらりと返されて、更にキョーコは大きく慌ててしまう。
「そ、そんな、お土産なんて!お忙しい中、そんなこと結構ですから!」
『どうして?コーンを見てくれているお礼だよ。ついでにあの子の分も一緒に探しているところだし、気にするようなことじゃないよ』
なのに、笑って何でもないことのように言った蓮は、
『コーンはどうしてる?ちゃんと君の言うことを聞いていい子にしている?』
心配そうに聞くから、キョーコはお土産を遠慮する気持ちも忘れ、思わずと言うように苦笑を漏らす。
彼が心配性なのは相変わらずだ。
それは、人に対しても猫に対しても、変わりがないらしい。
膝の上で気持ちよさそうに眠るコーンを見つめて、そっと瞳を緩める。
「はい、勿論ちゃんといい子にしてますよ。コーンは本当に手の掛からない子ですねえ。1人でも遊んでいられるし、今も、私の膝の上でおとなしく寝てますし」
そう言うと、僅かな間の後、
『へえ…それは、羨ましい話だね…』
いつもよりもやや低い声音でそう言われて、怪訝に思ったキョーコは小首を傾げた。
≪4に続きます≫
キョコたんのお膝に寝られるにゃんこなコーンが羨ましい敦賀さん。
思わず漏れた呟きですが、それをキョコたんはどう受け取るか…
そちらはまた次回、週明けの公開です。
ではでは、また♪