こちらは10/1から11/23まで本館WEEKLY TEXTにて連載をしていた、蓮キョわんこバージョンです。

蓮キョでわんこで夫婦なお話です。苦手な方はご注意を~!


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*SIDE クオン*

「クオン!見て、とっても可愛らしいでしょう?この子はキョーコちゃん、あなたのお嫁さんよ。仲良くしてね」

ある日。

ご主人のジュリエナ母さんが外出先から連れ帰って来た可愛らしい女の子を見て、俺は一目で恋に落ちてしまった。

俺はクオン・ヒズリJr.、ハリウッド俳優のクー父さんとジュリエナ母さんが住むヒズリ家の飼い犬で、当年2歳。

薄茶の、金色がかった毛並みを持つトイプードルのオスだ。

「キョーコちゃん、この子があなたの旦那様になるクオンよ!ね、話した通りのハンサムでしょう?優しい子だから、きっとあなたを大切にしてくれるわ。よろしくね」

そしてそう囁きかけたジュリエナ母さんの手によって、小さな彼女は俺の座るソファーの隣にそっと下ろされた。

俺と同じくトイプードルの彼女は、ふわふわもこもこの毛並みが愛らしい焦げ茶色の女の子だった。
耳につけられた赤いリボンがよく似合っている。

大きな、潤んだ瞳に見つめられて、胸がドキリと高鳴る。

クオンもお年頃だからそろそろお嫁さんを迎えなきゃね!とクー父さんとジュリエナ母さんが話しているのを聞いてはいたけど、こんなにいきなり顔を会わせることとなるとは思っても見なかった。

彼女が自分のお嫁さん、そう思うだけでなんだか照れ臭くて顔に熱が集まって来てしまう。
彼女も同じなのか、もじもじとした様子で身を縮め、視線を泳がせている。

思わずぼうっと見蕩れてしまっていて、はっとなった俺は何か話しかけなくてはと唇を開いて…

「「あの」」

言葉が被って、2人で目を丸くしてしまった。

目の前で彼女が見る見るうちに真っ赤になる。

「ごごご、ごめんなさい失礼をっ、あの、お先にどうぞっ」

慌てた様子の彼女はそう言って俺に先を譲ろうとする。
彼女の声は見た目と同じく、可愛らしくて耳に優しいものだった。

彼女の見た目も声も、そして恥ずかしがり屋らしい性格も、俺にとってとても好ましいものだった。

なんだか凄く嬉しい気持ちになった俺は瞳を細めて、

「そんな、謝ることじゃない。君からどうぞ、レディファーストだよ」

落ち着かせようと微笑むと、彼女はつられるみたいにふわりと笑を零して。

「私、キョーコと申します。あの…ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします」

恥ずかしそうにはにかみながら、そう言ったのだった。

心が、身体が、一気に熱を持つのが分かった。
愛しいと思う気持ちが大きく膨れ上がる。

それは、今までに経験したことのないくらいの感情の動きで、自分自身が戸惑うほどで…

これから毎日、こんなに可愛い女の子と一緒に暮らせるかと思うと心が浮き立つ。

それだけじゃない、彼女は今日から自分のお嫁さんになるのだ。

そっと彼女に歩み寄った俺は。

「俺はクオン。こちらこそよろしくね、キョーコちゃん。大事に、大切にするよ…俺の奥さん」
「えっ、わ、わわ…は、はぃ…」

囁いて、挨拶代わりにその頬をぺろりと舐めた。

すると、更に目をまん丸にしたキョーコちゃんは顔を真っ赤にさせる。

その、今にも頭から湯気が出そうな勢いに俺は苦笑を漏らす。

俺の可愛い奥さんは随分と純情なようだ。
そんな様子も、全てが愛しくて。

堪らなくなった俺は、小さな鼻先に怖がらせないように注意しつつ、するりと自分の鼻先を擦り寄せた。

キョーコちゃんは恥ずかしそうに身を竦めたけど…

「ふふ、くすぐったいです」

嬉しそうに目元を緩めて、お返しのように鼻先をちょこんと俺にくっつけた。

そんな俺達の様子を窺っていた飼い主2人は、その行動に悲鳴のような声を上げて。

「きゃーっあなたあなた、今の流れ、全部ちゃんと撮ってある!?なんて可愛らしいの、どうしましょう!クオンもキョーコちゃんを気に入ったみたいだわ!やっぱり私の目に狂いはなかったわ…っ」
「勿論だよ、ジュリ!なんて愛しい光景だろうか、娘のいる生活は素晴らしいな…!この分だと、2人のベイビーにも早く会えるかも知れないね」
「ああ、なんて幸せなお話なのかしら…でも、それはちょっと早いかも。キョーコちゃんはまだまだ子供なのよ。ベイビーは、残念だけどもう少し先のお話ね」

ええ~?と、カメラを構えながらいかにも悲しげに言うクー父さんに俺も同感だった。

隣で顔を真っ赤にしているキョーコちゃんは、確かに幼い。
見たところ、生まれてまだ半年程度だ。

確かに…まだいろいろと早いと思う。

でも…

俺達の成長はとても早い。

きっと彼女は、瞬く間に成長して美しい女性になっていく。
花が綻ぶみたいに徐々に綺麗な色を見せ、それはそれは見事に咲き誇るだろう。

それを、一番側で見守れる権利を手に出来た幸運に感謝しながら。

「早く大人になってね、キョーコちゃん」

俺は、きょとんとするキョーコちゃんの柔らかな身体に、そっと身を寄せたのだった。


DOG LIFE2≪キョコ強奪編≫に続きます。

『天使の降る夜』の前に、サイトで初めて毎日更新をしていたわんこな蓮キョ話です。


毎日更新を考えていて、何か頭を使わずさくさく書けるお話をと考え、この頃丁度小型犬を買いたい熱がMAXになっていたこともあり、『じゃあ、蓮キョでわんこと言うことで!』とあっさり決定したお話でした。(猫派なのに…何故だろう?)


そして、私が想像する夫婦な蓮キョの縮図なお話かなあと。


これから暫く続きますので、お付き合い下さいませ♪

よろしくお願い致します~


ではでは^^