社はそんな蓮の様子を眺めて、溜息を漏らす。


「…そういう風にしておきたいなら、今のところはそれでもまあ、いいけどさ。最近のお前は毎日やけに楽しそうだし、食生活が雑なままな割には、前よりも随分と血色も肌艶もいいし。何か私生活に劇的な変化があったんじゃないかと、俺は睨んでたんだけどなー」


ちらりと目線を投げられて、社のその観察眼の鋭さに蓮は尊敬の念を新たにした。


でも、だからと言って、彼に真相が話せるわけもないのだ。


人には見えない、背中に羽が生えた女の子と同居しているだなんて…


とてもじゃないが、話せる内容ではない。
正直に話をしてしまったら、そのまま病院に連れて行かれること間違いない。


ポーカーフェイスのまま口を割らない蓮にもう一度溜息を漏らした社は、肩を竦めると座っていたソファーから立ち上がり、


「ま、お年頃の蓮君にも、隠しておきたい秘密の1つや2つはあるだろうから、あんまりせっつかないけどさ。何か問題が起きたらすぐ言うんだぞ、俺は、お前の、一番の味方だって言う自負があるんだから。分かったな?」
「はい。それはもう、十分に分かってます…いつも、ありがとうございます、社さん」


頭を下げる蓮に笑って、じゃあ次の仕事の移動時間まで休憩してろと言い残し、鳴り出した携帯に対応するため部屋を出て行った。


…そんな背中を見送って、室内で1人、やれやれと吐息を漏らしていたら…


「敦賀さん、どうして社さんに怒られていたんですか?何か、悪いことでもしちゃったんですか?」


いきなりキョーコの声がして、驚いた蓮はソファーの上で身を強張らせてしまう。


慌てて振り返ると蓮の背後の驚くほどすぐ傍に、不思議そうな顔をしたキョーコが立っていたのだ。




≪18へ続きます≫


うっかり口を滑らせる敦賀さん。

こらこら、もう、心が駄々漏れですよ~


そしてキョコ登場で次回へ…2人の仲は進展を見せるのか?は、また明日です。


ではでは♪