*はじめに*
こちらは2012年版敦賀さんお誕生日&バレンタイン話です。
そして本館の4万HITを踏んで頂いたはくりえる様に、毎回勝手ながら押し付けさせて頂こうと思いますv
そしてそして、敦賀さんが理性を試されているお話です。
最近の私は、どうも敦賀さんを苛めたがる傾向があります…ごめん敦賀さん、誕生日なのに。
それでもいいよ!むしろそう言うの好きvと言う方、どうぞ♪
*SWEET DRINKER*
「敦賀さん、お誕生日おめでとうございます!」
「ん、ありがとう、キョーコ」
満面の笑顔のキョーコから手作りのチョコレートケーキを差し出された蓮は、堪らずその表情を崩してしまう。
今日は2月10日、蓮の誕生日の日。
2人合わせて仕事が早く終わるように調整して貰っていた蓮とキョーコは、夕方から蓮の自室で顔を合わせていた。
互いが多忙な為になかなか時間が空けられず、バレンタインと同時のお祝いになってしまったけれど、それでもそれは、蓮にとって幸せなことだった。
愛しいキョーコが、蓮を特別な相手としてこの日を迎えてくれたのだから。
先に自室に来ていたキョーコに帰宅後すぐバレンタイン用として花束を贈ると、彼女は非常に喜んでくれた。
そして、見事な手捌きで誕生日の料理を仕上げていくキョーコの傍らでその手伝いをした蓮は、始終蕩けっぱなしだった。
エプロン姿のキョーコが自宅にいる様子は何度目にしても、どうしようもないほど幸せな光景なのだった。
「敦賀さん用として、スポンジにお酒を入れてみたんです。お味はどうですか?」
夕食後のリビングのソファーで2人並んでケーキを口にしていると、隣からそんなふうに言ってキョーコが自分を見上げてくる。
そんな彼女を瞳を細めて見つめた蓮は、唇を綻ばせる。
「凄く美味しい。君は何を作っても上手だね、キョーコ」
「本当ですか?ふふ、よかった!」
嬉しそうに笑顔を見せるキョーコが可愛らしすぎて堪らなくなった蓮は、キョーコを引き寄せその唇を素早く奪う。
ちゅ、という秘めやかな音と共に重なった唇に、キョーコがぽわんと頬を染めて…
「…敦賀さん…」
細い指で蓮のシャツに縋るようにすると、瞳を閉じ、更にもっとと蓮の唇を求めてくる。
蓮に身を委ねたキョーコの、艶々としたピンクの唇を薄く開き、白い頬をふわりと染めてくちづけを待つ様子は、蓮の胸を簡単に高鳴らせてくれて…
そのまま蓮は、そっと優しく、キョーコへとくちづけを繰り返した。
「敦賀さん、大好き」
「キョーコ…俺もだよ、大好きだ」
くちづけの合間、額を合わせて目線を絡め、そう囁いてくるキョーコの甘い吐息がくすぐったかった。
柔らかなキョーコの唇は甘いお菓子みたいで、蓮はもっともっとと求めてしまう。
幸せな空気が流れるリビングに、唇が重なる濡れた音が響く。
…この可愛らしい愛しい少女の全てを、今すぐにも手に入れることが出来たら、どんなに幸せなことだろうか…
柔らかな身体を抱き締めながら、蓮は内心で強く強くそう思う。
好きな女の子の全てを手に入れたいと思うことは、男として当然の思いだ。
できることなら本当に今すぐ、キョーコの全てを自分のものにしたいのだけど…
未成年で、しかもまだ高校生のキョーコを恋人に持った蓮は、年上の立場として節度のある交際を保たなくてはならなかった。
だるまやのご夫妻の目線も勿論気になるのだが…
何より蓮自身が心の中に、無邪気なキョーコをもう少しこのままにしたいと思う、相反する気持ちを抱えているのだ。
それに、いきなり手を出してキョーコに嫌われたくはなかった。
蓮と交際を始め、今でこそ、蓮のくちづけもしっかりと受け入れられるようになっているキョーコだけど…
天然記念物的に純情な少女であることは勿論今も、変わりはないのだ。
『つ、敦賀さんたら、破廉恥です…!!』
そう言って非難の眼差しを向けられでもしたら、当分立ち直れそうにない。
だから蓮は、舌を忍び込ませて更に深いくちづけをしたがる自分の心をどうにか押し止め、なんとかその唇を引き離した。
…蕩けた眼差しで蓮を見上げてくるキョーコは、たった今押し止めた自分の欲望が簡単に甦ってきてしまいそうなほど色っぽくて…
非常にまずい。
今夜は、ただでさえキョーコがここに泊まって行く予定なのだ。
勿論、ゲストルームへの滞在をだるまやのお2人に誓っての宿泊だけど…
これ以上の甘いムードは、大変に危険なものだった。
そう思った蓮は、
「待ってて、コーヒーを淹れてくるから」
キョーコの額に唇を押し当てて、そそくさと立ち上がろうとしたのだけど。
「つっ、敦賀さん!あの、あのですね!?じ、実はもうひとつ、お誕生日のプレゼントがあるんですが…!!」
不意にキョーコは蓮の腕を引き、ひっくり返った声でそんなことを言い出した。
驚いた蓮は思わず瞳を瞬かせてしまう。
「え、プレゼント?これ以上にも貰えるの…?」
キョーコが隣にいる、その事実だけでもう、蓮にとっては十分すぎるほどのプレゼントなのに。
そう思った蓮がキョーコを見つめ返すと…
その途端彼女は真っ赤になって、湯気を立てた薬缶のようになってしまった。
「…キョ、キョーコ…??」
ぽかんとなった蓮がキョーコの顔を覗き込むと…
いきなり彼女は、蓮がコーヒーに垂らしたブランデーのボトルを手に取るなり、一気にぐいっと、呷ってしまった。
「キョーコ!?…キョーコ…!!?」
驚いた蓮は…
更に、愕然となってしまう。
ブランデーのボトルをテーブルにどん!と置いたキョーコは、そのままの勢いで、着ていたワンピースを脱ぎ捨ててしまったのだ。
「…ッ…!!!」
蓮の眼前に晒されたのは、レースとリボンがたくさん使われた、純白の下着に包まれたキョーコの綺麗な身体で…
しかも彼女はその下着と揃いのガーターベルトまで身に着けていて、すらりとした足を、ベルトで吊った同じく白の細かい網タイツで包んでいたのだ。
ワンピースを着ていた時は可愛らしいと思っていたそんなタイツも、覆いがなくなった途端にそれは、驚くほど艶かしいものになってしまっていた。
綺麗に寄せられた胸の谷間に思わず目線が吸い寄せられそうになって…
「キョ、キョーコ、ふ、服を着て…!!」
我に返った蓮は慌てて落とされたワンピースを拾い上げ、それでキョーコを隠すようにその身体に巻きつけた。
けれど、キョーコはそんなワンピースも投げ捨てて…
「あっあの…っ!た、誕生日プレゼントは…私なんです、敦賀さん…!!」
そしてそう叫ぶように言うなり、ぶつかるようにして蓮の胸に飛び込んできた。
ふにょんという柔らかな2つの感触が自分の胸板に勢いよく触れて、その素晴らしい感触に蓮は愕然となって。
「…キョっ、キョーコ…!!こんな、どうして、いきなり、こんな…!?」
動揺を隠せない蓮は、音程の定まらない声で堪らずそう問い掛けてしまう。
すると熟れたトマトみたいに真っ赤になったキョーコは、
「だっ、だって!!私、聞いたんです、ふ、普通の成人した男性が彼女に手を出さないのは、どこかに異常があるのか、浮気してるかだって!!敦賀さん、お付き合いして半年以上が経つのに、私にそういうこと全くしないじゃないですか…!」
唐突にそんなことを言い出したのだ。
ぎょっとした蓮は、物凄い勢いで否定の言葉を口にする。
「浮気…!?浮気なんてまさか…!!俺は君だけだよ、他の誰かなんて考えられない!!」
「分かってます、敦賀さんが浮気だなんて、有り得ないとは分かってます!!けど、でも、心配で!だから、私、頑張ろうって思ったんです…!」
酒のせいなのか恥ずかしさのせいなのか、見下ろしたキョーコの白い肌は目の前でどんどん赤く染まっていく。
蓮を見上げてくる瞳は涙で潤み、緊張からかピンクの唇は小刻みに震えていて…
そんな彼女の様を余さず見つめてしまった蓮は、その想像を絶する光景に目が眩みそうだった。
この状況は夢か?幻か?
妄想ばかりが募ってしまって、夢と現実が入り混じりだしたのか…!?
襲い掛かりたい衝撃とキョーコを自分から守りたい心が、蓮の中で激しくせめぎ合う。
ついついキョーコに引き寄せられる目線を意思の力でなんとか引き離し、キョーコの肩に手を添えた蓮は問い掛ける。
「…キョーコ、そんなこと、一体誰から聞いたの…!?」
瞳を覗くと、とろんとなった目線が蓮を見返してきて、
「…社長です…『2人はどうなっているのか』って、それはそれは心配して頂いてて…アドバイスを下さって。それで、どうしたらいいのかって悩んでたら、マリアちゃんが、この下着をくれて…」
呂律の回らない調子でそう言うと…
キョーコはいきなりそのまま、がくりと頭を仰け反らせてしまった。
「えっ、ちょっ、キョーコ…!!」
慌てた蓮がその身体をとっさに抱え込むと、
「うぅん…むにゃ…んん、つるがさぁん…」
顔を身体を真っ赤にしたキョーコは、そんな言葉を残して…
蓮の腕の中で、こてんと意識を失ってしまう。
テーブルに戻されたブランデーの瓶を見れば、開けたばかりだった瓶の中身が半分以上無くなっていた。
飲酒に慣れていないキョーコがそれだけ飲めば、こうなることは当然のことだろう。
…早い話が、酔い潰れたのだ。
寝息を立て始めたキョーコの身体を、できるだけ、見ないようにして抱え込んだ蓮は。
「………しゃっ、社長………ッ!!!」
諸悪の根源である、所属事務所の社長を本気で呪った。
…なんてことをしてくれるんだ、あの人は…!!?
蓮がキョーコにべた惚れなことを知っていながら、こんな真似をするのは、この展開を想像して楽しんでいるとしか絶対に思えない。
そして、小学生の孫をそんな会話の場にいさせることだって、本気でどうかと思う。
確かに、キョーコがこの行動を取るのに景気付けに酒を煽るだなんて想像の範疇外だろうし、万が一上手く進めば、それはそれで感謝に値するものだったかもしれないが…
相手はキョーコなのだ、全く薄れていないミラクル思考をぜひとも考慮に入れて頂きたい。
楽しみにしていた2人きりの誕生日の夜が、あっという間に終了してしまったこの状況の責任は、一体どう取ってくれるのだろうか…?
それでも、急性アルコール中毒を心配しながら覗き込んだキョーコの寝顔は、やけにやり切ったように満足げで…
…この後俺は、一体どうしたらいいのか…?
可愛い下着姿で無防備に身体を預けてくるキョーコを抱えて、蓮は1人、途方にくれたのだった。
*END*
誕生日話なのに、本当にごめんね敦賀さん…うふふ(酷)
この後は定番の(?)、介抱と言う名目で自分のパジャマを着せてベッドに連れ込んで悶々とした夜を過ごし、翌朝何にも覚えてないキョコの悲鳴で目を覚ますんだと思います、敦賀さんたら可哀想。
最近ちょっと下着に執着している美花でしたv(ちょっとか?と言うつっこみはなしの方向で…)
ではでは♪