この夏休み、中高生に勉強を教える機会があって。教えるっていうことは純粋に楽しかったニコニコけど、自分の教え方について、いろいろ思うことがあってタラー図書館で見つけたこの本を手に取りました。

 


「齋藤孝の相手を伸ばす!教え力」/宝島社

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齋藤孝さんのお名前は、学生時代から聞いたことはあったけど、著書をちゃんと読むのは初めて。教育や福祉についての本って価値観がはっきり出るから、合う合わないがある(=あんまり期待せずに読み始める)んですが…この本は、結論から言うと、面白かった星
 
齋藤さんの言う教えることの目標は「相手が上達すること」。適切な練習メニューをさせて、相手が自立する(自分で練習メニューを立てられるようになる)ことを目指す。
…というようなことが最初の方に書かれているのだけれど、まず教育の目標をそんな風にさらっとまとめられる人って少ないと思うので、すごいなぁと。ここ(定義)が曖昧だと、結論までごちゃついたままになるところ、こんな風にはっきり提示されていると、読む側も見通しが持てる!実際、生徒の上達を見ることが一番の喜びだと思うし、手を離れても自分で頑張れるようになってほしい流れ星
 
だからこの目標を達成するために、教える側はまず教える内容に対する「憧れる力」(情熱)で相手のモチベーションをかきたて、相手の力量(何が出来て何が足りないか)を見抜く「評価力」、良いところ悪いところを腑分けして、相手のやる気を削がないように伝える「コメント力」、相手がつけるべき力を自分で意識できる素材を選ぶ「テキスト力」、相手に合わせ柔軟に対応する「ライブ能力」によって練習メニューをさせ、「育てる力」をもって相手が自分で自分を伸ばせるようにしていく…と、ポイントもシンプルに示されていて、本当に読みやすかったです。
 
面白いと思ったのは、できる・できないを指摘することは、人間性を否定することのように考えられ、今は評価することを避けることも多いようだけど、評価は「できない状態からできる状態に移る」ために必要という主張。
「全部がダメ」と思わせるような評価はダメだけども、良いものとはどんなものかを示し、今の自分の良いところはどこだと意識化し、悪いのはどこでどう直せば良くなるかがわかるような評価であれば、学ぶ側は安心すると。なるほどなぁ〜
 
また、練習の素材は、学ぶ側に求められている力がつくものであることはもちろん、面白くて奥が深く、分析に堪えるものを選ぶこと。素材選びや時間配分(説明だけでなく、学ぶ側の発見の時間を作る)など準備を十分した上で、その時々の相手の状態を見てフィットするものを、臨機応変に(脳を活性化させるような発問とともに)ぶつけていくことー私が今回十分でなかったのはこれか!という気づきがあって、勉強になりました。
 
ちなみに、教えるときの段取りは、
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1)アウトライン(目的やねらい、ゴール)を説明する
2)やらせてみる
3)見本(お手本)を見せる=違いを認識させる
4)もう一度やらせる
5)反復練習させる
ーーー
を基本としているそうです。
 
相手が少しずつできるようになってきたら(量をこなして質的な変化を促す)、本人が自分の勝ちパターン(自分はどんな技で勝負するのか)を見つけて、他のことにも応用できるようにしていき、最終的には自分の技術を次の世代に伝えられる人になれるように育てるー
 
実際に寄せられた質問に答えるページも章ごとにあって、家庭や学校だけでなく、職場にも応用できるようになっているのでオススメ。
個人的には、「教える」ということの評価の基準ができたのが、よかったです。この本を読んでから、自分の中で「今日はここを頑張ったけど、あそこが足りなかったから、次はこうしよう」と、具体的な観点をもって反省&改善できるよう練習中です。成果があるといいなピンク薔薇