Strawberry Cake 5 | S w e e t 

S w e e t 

主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。


いつかのあの日。



私は誰かと誰かのためにケーキを作ったの。




赤い苺の乗った甘い甘いケーキだった。





でもそのケーキはその誰かさんの口に入る事はなくて。






そのまま私の手から落ちてぐしゃっと綺麗な丸い形を失った。








trawberry Cake 5






さわさわと緑が揺れる大きな木。


どこかで見た事がある気がするけれど、どうしても思い出せない。




「・・・・っく・・・ひっく・・・・。」




その木の下で肩を震わせて泣いている女の子。



私はその子に近付いて声をかける。




「・・・どうしたの?」



「・・・・・・っ。」



女の子はビクッと身体を強張らせた後ゆっくりとコチラを振り向く。


でもその子の顔は光が遮って見えない。


目を凝らして見るけれど、光はどんどん眩しくなって。






「・・・・・・お前のせいだ。」





その時、聞き覚えのある男の子の声が耳に木霊した。



驚いた私は咄嗟に振り向く。




「・・・・っ誰!?」




でもそこには誰もいない。

不思議に思いながらまた後ろを振り返るとあの女の子もいなくなっていて。





するとまた頭に強い痛みを感じた。




「・・・・・・っ・・・・。」



その痛みはどんどん増していく。




「ー・・・いやっ・・・・っ嫌ぁ!!」




ガバッ




「はぁ・・・はぁ・・・・・。」




勢いよく起き上がった視界には見なれた室内。

そう、ここは私の部屋だ。



そして私はベットの上にいて。



今の今まで寝ていたという事実に辿り着く。






ズキズキ頭の痛みが止まない。

そっと額に触れる。





「何・・・あの夢ー・・・・。」



トントン



突然ドアがノックされ驚く。



「はっはい?」



「ー・・・蘭?何か声がしたけど・・・・どうかしたのか?入るぞ?」



「あっう・・・うん。」



ゆっくりとドアが開くと心配した表情の新一君が隙間から顔を覗かせていた。

そして何か確認するとゆっくりと近付いてきた。



パタンとしまるドアに何故かドキッとした。



すぐ目の前まで来るとスッと手が伸びてきて思わず目をつむってしまう。



「・・・・・・顔色悪い・・・具合悪いのか?」




新一君の大きな掌が私の額に触れる。

その触れる感覚に何故か胸が高鳴った。


触れられた所が・・・熱いー・・・



「あっ・・・違うの・・・なんか嫌な夢見ちゃって・・・心配させてごめんね。」



「熱はないみたいだな・・・・本当に大丈夫か?」



「うん!全然平気。急いで朝ごはん用意するね。」



腕を上げて元気さをアピールする。

そう。あれはただの悪い夢。



「ー・・・ならいいけどさ・・・・でも・・・・無理すんなよ?」



そう言って新一君は私の頭をポンポンとすると部屋から出ていった。



「・・・・・・・・。」



しばらく呆然とドアを見つめてしまった。





そっと胸に手を当てる。




「・・・・・・・何・・・・これ?」




トクン・・・トクン・・・・・



ただ、手が額に触れただけ。

ただ、頭をポンポンとされただけ。

ただ、優しい顔を向けられただけ。




ただ、それだけ。



それだけなのに。





今までに感じた事のない気持ちに思考が追いついていかない。




この前、一緒に出かけた時の事を思い出す。




私には重い荷物を軽々と持ってくれる逞しい腕。

ボーッとしていた私を助けてくれた強い力。

私なんかすっぽり入ってしまう広い腕の中。


今も同じ。



優しい笑顔。



その全てが頭の中をぐるぐる回る。






:::




「「いってきます。」」



いつものように朝の支度を終えて新一君と家を出る。


新一君が軽い足取りで階段を降りて行く。



その様子をボーッと見つめる。




「・・・・・・蘭?」





するとその後ろ姿が急にコチラを振り向いてビクッと肩を動かしてしまった。




「・・・何、ビビってんの?」


「ビッビビってなんか・・・・・!」



そう言いながら新一君が階段を一つ一つ上がってきて距離が縮まる。

近くなる度に心臓が大きく脈打つ。


やだ。

やだ。


静まれ心臓!!




「・・・・・・・やっぱ熱あんじゃねーの?」



気付けば新一君の顔がすぐ目の前にあって。

顔を覗かれて。


恥ずかしさがこみ上げてきて鞄で顔を隠す。



「ほっ本当に何もー・・・何もないから!!気にしないで!!」



「ふーん・・・・まぁ、ガキじゃねーし、気分悪い時はちゃんと言えよ?」



「うっうん。」



新一君はそう言うとまた前を向きなおして階段を降りはじめた。

その姿にほっと安堵するとまたコチラを振り返りドキッとする。



「そういえば、今日用事が合って遅くなるから。」


「え?・・・・あ・・・・うん。」


「夕飯もいらないと思う。」


「あっそうなんだ・・・わかった。」



私はあまり何も考えず頷いた。



それを後悔する事になるなんて知らずに。




「それから・・・隣町の通り魔事件、事件現場の範囲広がってるみたいだからなるべく一人歩きすんなよ?」



「え?」



「戸締まりもちゃんとすること!」



「は、はい!」



「素直でよろしい。」




年下の男の子なのに、まるでお父さんのような事を言う彼に少しだけ笑ってしまった。




「新一君・・・・お父さんみたい。」



「・・・・・・・・・・何だよ、ソレ。」




そして私達は他愛のない会話をしながらお互いの学校へと向かった。



:::



帝丹高校2年B組ー・・・



「はぁー・・・・もう何でこんなに高校の数学って複雑なのかしら・・っていうか数学って存在の意味あるわけ?算数で十分よ。」



4限目の数学が終了し昼食の時間になったと同時に園子が机に突っ伏して口にした言葉。

私もつられて苦笑い。



「折角の高校ライフだってのに・・・・気付けば勉強と部活しかしてないし・・・あーもー彼氏ほしい!!私の王子様どこにいるのーー!!」



「アハハ・・・。」



「その辺、蘭はいいわよねー。」



突然園子がジト目でコチラを見てくる。

何ごとかと首を傾げる。



「だって、蘭は自分で探さなくたってもう相手がいるじゃない?」


「えぇ!?何言ってるのよ園子。」


「照れない照れない・・・ホラ、ご本人の登場よ。」


「え?」



園子がそう言って指さす方を振り返るとー・・・



「え?何、俺の事呼んだ?」


「あ・・・赤羽君・・・・。」



クラスメイトの赤羽君が後ろに立っていた。



「あっごめんね、何でもないの!園子が変な事言ってるだけだからー・・・。」


「変な事って何よー!あんたらお似合いねって言ってあげてるのに!」


「ちょっと、園子!!」



思いもしない園子の発言に慌てる。


赤羽君はクラスメイトの男の子で、前に隣の席になってちょっと仲良くなっただけで。

だいち赤羽君は頭も良くて、スポーツ万能で、サッカー部のエースで性格も良くて顔もスタイルも良くてみんなからの人気者。

そんな赤羽君が私に興味を持つ事なんてあるわけないのに。

どうして園子ってばそんな事言うのよ!

赤羽君に失礼じゃない。



「別にそんな否定しなくてもいいのに。」



「え?」



「毛利が彼女だったらすげー自慢になると思うけどな。」



「えっそれって蘭と付き合ってもいいって事?」



「いいっていうか・・・毛利みたいな子だったらどんな奴だって嫌がらないと思うけど?」



「赤羽君まで何言ってるの~!」



真剣な顔で話す二人のやりとりにもう私はただ振り回される。



「ハハッ冗談だよ、毛利の慌てようってばすげーな!ホラっこないだ借りたノート返したかっただけだよ。」



白い歯を見せて笑う赤羽君からノートを受け取るとそのまま男子生徒の群れへと行ってしまった。




「ははーん、あれはどうやら本気ね。」


「え?」


「・・・・・なのに当の本人は全く気付かず・・・・苦労するわね、彼も。」


「園子ってば何言ってるの?」


「いーの、いーの。蘭はその天然さがいいんだからさ。」


「何よ、それー、褒めてんの?けなしてんの?」



そんな会話をして昼食の時間は過ぎていった。




:::




空手部の練習がいつもよりも遅くなってしまっていつもより足早に帰路についた。



空を見上げるともうすっかり夜。




キラキラと星が光っていた。





「・・・ただいまー。」




シン




「あっそっか・・・新一君今日遅いんだっけ。」




暗い家の中。


そういえば一人の家に帰るのは久しぶりだった。



最近はいつも「おかえり」と返してくれる存在がいて。




フッと笑みがこぼれる。




そのまま靴をぬいで自室へと向かう。




:::




「いただきます。」




一人でつぶやく食事をする前の挨拶。



一人分のご飯。





一口おかずを口にする。




「・・・・あれ?」




今までもよく作った事のある野菜炒め。

味付けもいつもと同じはず。


なのに。


どうして?




「・・・・・・美味しくない。」




箸を静かに箸置きに戻す。




ここ最近必ず目の前にいたその人が目に浮かぶ。








“『いただきます!』



『美味い!・・・蘭は本当に料理がうまいんだな。』



『おかわり!』



『ごちそうさまでした。俺明日はハンバーグくいてーな。』”








「ずっと・・・ずっとそうだったじゃない。」



「一人で手を合わせて、一人で一人分のご飯を食べて・・・・・いつも・・・そうだったじゃない。」






一人ってこんなに淋しいものだった?



一人でいた時の自分が分からなくなってる。




両腕を抱えて椅子に脚を上げて蹲って。



「大丈夫・・・・私は大丈夫。」





そう言い聞かせた。






:::





「ー・・・・あれ?」




ご飯を食べてからソファに座って雑誌を観ていた私はそのままウトウトしてしまっていたようだ。

目を覚ますと時計はもう23時をさしていた。



「嘘、もうこんな時間!?もう寝なきゃー・・・っ。」



その時、ある事を思い出す。



新一君。



彼はもう帰ってきたのだろうか。

さすがに23時。

それにまだ彼は中学生だ。

いくら男の子とはいえ、今は知り合いの家に居候中なわけで・・・当然帰ってきているはず。



そう思った私はゆっくりと彼の部屋へと足を進めた。





トントン



一度ノックをしたけれど、返事は返ってこない。


寝てしまったのだろうか。



「新一君?帰ってきたの?-・・・開けるよ?」




そしておそるおそるドアノブをまわして中を覗いたけれどそこに新一君の姿はなかった。





「・・・・・・まだ帰ってない・・・の?」




お風呂に入っているのかと脱衣所に行ってみてもそこに灯りはなく他も同様シンとしたまま暗かった。



こんな遅くまでどうしたのだろうか。



大体、用事というのは何なのか。



なんとなく胸につかえるものを感じながら自分の部屋に戻る。



すると何やら窓の外から話声が聞こえてきた。




不思議に思って窓を開けるとー・・・






「・・・・・・っ!?」






そこには見知らぬ女性と一緒にいる新一君がいた。

咄嗟に口を押さえて隠れる。



ドキン


ドキン



呼吸を落ち着かせてもう一度そっと二人に視線を向けた。




その女性は私と同じ帝丹高校の制服を着ていた。

髪はボブで・・・顔はよく見えない。






トクン






“昔、ある人と約束したんだよね・・・同じ高校に行こうって・・・・その人が今帝丹だからさ。”







いつかの新一君との会話が蘇る。






“好きな子との約束だよ。”




胸が痛い。





ズキン




ズキン








“・・・・すっげー好きな子。”






真剣な瞳。


真剣な声。






嫌だ。






「ー・・・っ本当・・・だったんだ。」






そうよ。




新一君にはそういう子いるんだよね。





その子のために今ここにいるんだよね。








そう。



彼には大切な子がいるんだ。



ずっと昔から。






「・・・・・わかってる・・・・・。」





「なん・・・・なんでっ・・・?」




ポタッ




ベットのシーツに丸いシミが出来ていく。








もっとちゃんと聞いておくべきだった。



だって、そうすればこんな気持ちになる事なんてなかったんだから。







「・・・っどうしてこんなに苦しいの?」





その夜。



何故か涙は止まる事はなかった。








NEXT >>





後書き:::



ひぁ!

遅刻したー!

日付変わってしまったー・・・


でもなんとか更新出来て良かった^^;



新キャラ、新エピソード入れました。

わけわかんない度がさらに増したと思います。


大丈夫です。

私もよくわかりません!(おい^^


でもここまで動いちゃえば・・・多分後少しなはず。

そんなに長くするつもりはありません。


後も控えているし。


とりあえず、SCとディフェンド・ユーを終わらせたいんだ、私は。



では6話に続く!




2011.09.19 kako



web拍手 by FC2

続きが気になる方はワンクリックにて煽って頂けると嬉しいです。

更新頑張ります!
↓↓↓
にほんブログ村 イラストブログへ

にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ こちらもお願いします!!