ただいま、おかえり。 5 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。




俺に出来る事って何だろう。

探偵として、難事件を解決して世の中から犯罪を無くす事?


そうじゃない。

そんな事なんかじゃなくていいんだ。

もっと単純で些細な事。



いつも
いつも。



最後にならないと気づけなくて。
後悔に襲われて。


俺はまだまだ未熟な人間。


でもな、後悔をする度に一つずつ、
確実に・・・・・。





お前の大切さに気付くんだ。





第5話





『何ぃ!?工藤君と連絡が途絶えた!?』


目暮警部の怒声が携帯越しに高木刑事の耳に響く。


「はっはい、先程凶器等の説明をした後に一人で探しに行きたいモノがあると言って出ていったんです。
途中、工藤君から連絡が入ったんですが、その時急に・・・。」

『それで?捜索しているのかね?』

「はい、一応地域の捜索隊の人に連絡は取ったんですが・・・ただ、とてもすごい大雪で捜索隊の人でも危険らしくー・・・・・」

『馬鹿もの!!何故そんな中、一人で行かせたんだ。』

「すっすみません。」

『いくら彼が我々の捜査の協力をしていてくれているとしても、彼は普通の民間人と変わらないんだぞ!?
本来なら我々が守るべき相手だ・・・・工藤君に何かあったら・・・・。』


目暮警部の悔み声は、高木刑事の胸に痛みを打ち付けた。


『いや、もうなった事を悔やんでも仕方ない・・・とりあえず捜索隊に今、出来る範囲で捜索させてくれ。
少しでも雪に変化があって捜索可能になったら徹底的に捜索を強化するように!』




『彼を・・・・・・必ず見つけ出すんだ。』






警部との電話を終えると高木刑事はすぐにでも外へと出て行こうとした。
しかし近くにいた警官に止められる。


「今アナタが出ていったら、また一人、行方不明者を増やすだけですよ?」


高木刑事は我にかえって自分を止めた警官に謝罪をして、窓に近づいた。
窓から外の様子を瞬きもせずに見つめる。



頼む工藤君、無事でいてくれ。



君にはー・・・



君の帰りを待つ人がいるんだろ?-------




:::



「・・・・・っ。」


視界には白い雪が儚げにチラチラと写っていた。
その雪を振り払うように必死にもがいた。


「くっ・・・・はぁっ・・・・・っ。」


背中に鈍い痛みを感じる。
起き上がろうと軸にした右手は無残にバランスを崩した。

息をするのが辛い。



どうやら撃たれてしまったようだ。



紅く染まった雪が視界に入る。


「くっそ・・・・。」


背中を庇うように蹲る。
冷たい雪が顔に突き刺さる。
遠くなる意識。




予感した、自分の最期。




何を言っているんだ?



こんな所で死んでたまるか。


確実な事は言えないが、打たれた部分は致命傷ではないと思う。


「ハハ・・・・二回目・・・・か。」


以前コナンの時撃たれた日の事を思い出した。
そういえばあの時、蘭は俺の正体に気付いてたんだよな。
すんげー心配してたよな。


必死になってくれた。


あの時の蘭の行動があったから・・・俺は生きてんだよな。


折角蘭がくれた命だぜ?

無駄に出来る筈がない。



・・・・・さてどうしたものか。


まず、自分で高木刑事達のもとへ戻るのは不可能だろう。
となると、見つけに来て貰うしか方法は・・・・・・




TRRRR・・・・・



着信音!?
俺の携帯だ。
ラッキー!犯人の奴俺が死んだと思って何も持ってかなかったのか。


どこだ?
どこから聞こえる


耳を澄まして音を辿る。
それ程遠くない。


ゆっくり身体を動かす。
その度に激痛が走る。


けれど・・・生きるための代償とすれば・・・・優しいモノだ。



その時着信音が消えた。

まだ携帯にまでは辿りつけていなかった。



くそ、またふりだしだ。



段々周りは薄暗くなっていく。
これ以上暗くなったら・・・・捜索も無理だろうし・・・・だいちこの雪だ。




まだ諦めた訳じゃない。
諦める訳がない。










けれど、今思えば内心、恐怖で一杯だった。
死を簡単に受け止められる奴なんてこの世に一人としていやしない。









どれだけ経っただろう。
辺りはすっかり暗くなっていた。
いつのまにかまた気を失っていたらしい。


もう何も感じなくなっていた。


雪の冷たさも。
背中の痛みも。


何もかもが無の世界だった。


静かだった。


仰向けに雪に埋まって。
シンシンと降り散る雪をうっすらとした意識の中で眺めていた。



ふと自分がちっぽけに思えて。
淋しくなった。


蘭・・・・俺に出来る事ってなんだろう。






新一は新一でいてくれればいいんだよ・・・・・



蘭がそう言ってくれた気がした。

俺は俺でいればいい?


それって・・・・・・・・







~♪







「っ!?」



また着信が流れた。
その着信音は、彼女のためだけに設定してあるもの。



やっぱり彼女は、俺の女神かもしれない。




何も感じない身体を動かすのはさっきよりは楽なものだった。


ツイている事に着信時間が異様に長かった。
ここまでくると、運命を感じてしまう。


また君に助けられる。




少し先に雪が光っているのを見つけた。


あそこだ!!


最後の力を振り絞ってそこに辿りつき携帯を手に取った。
携帯があったのは先程探していたモノを見つけた木の下だった。


通話ボタンを押す。


『・・・・・もしもし?』

「ら・・・ん?」

『新・・一・・・?何かあったの?』


名前を呼んだだけで、彼女には自分の異変がわかってしまったようだ。


『どうしたの?』

「何でも・・・ねぇって・・・。」

『何でもない人の声じゃないわよ。今どこにいるの?』

「蘭。」

『?』


蘭は急に真剣に名前を呼ばれ、黙る。


「・・・・・たらさ・・。」


『えっ?』


「東京に戻ったら・・・・さ、お前に言いたい事あるんだ。」


『・・・・うん。』



「だから・・・・もう一回だけ待っててくれよ。」



『ちゃんと・・・ちゃんと帰って来てくれる・・・んだよね?』





「大丈夫。・・・・・約束だ。」





本心からの大丈夫。
それで俺達は電話を終えた。


結局また泣かせてしまった。



そして俺は高木刑事の携帯へとボタンを押したんだ。











俺に出来る事。



それは。





お前にいつも笑ってて貰う事なんだよ。




蘭・・・・



06 >>






:::あとがき



うわーーん。

私にはこういう展開しか想像できません。


あれ?

何かを見つけた場所って電波なかったんじゃなかったっけ?



んーー。



愛のチカラということでよろしくお願いします。



2010.11.29 kako



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