仕組まれた、君と僕。 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



負けたよ。

そう言ったのは確かに俺だった。


けど始めからこうなること位わかってた。



なぁ、今なら胸を張って言えるぜ。







愛してる。






仕組まれた、君と僕。






ここは帝丹高校3年B組の教室。
規則正しく置かれた机と椅子に配置され、同じ色をした服を纏った生徒達。
その中、一人の女生徒は何やらつまらなそうに頬杖をつき窓の外を見つめている。
そんな女生徒に気付いていながら何も言おうとしない教壇に立つ教師である工藤新一は教科書を片手に授業を進めていく。
右手に持った白いチョークで重要語句を書き出してからそっと黒板の柄にチョークを戻すと親指と人差し指中指に白い粉がついていた。
それを混じあわせ軽く払ってから語句をノートに書き綴る生徒達に目を移す。

そして未だに外を見つめる女生徒を見て小さくため息をついた。

:::



授業を終えてから教科書、名簿、チョークを持ち教室を出る。
ドアを開いた先には背中に腕を組み冷たい視線を新一に向ける先程から新一が気にしていた女生徒、毛利蘭がいた。

「…らっ………毛利。」

呼び慣れた彼女の名前を口にしそうになり慌てて呼び直す。

「工藤先生にお話があるんですけど、お時間頂けますか?」

先刻までとはうってかわった優等生の表情で告げられた一言に拍子抜けしながらも、どこか不安になる。
次は昼休みであるから時間はある。
しかし、どうしたものかとためらいがちにわざと腕時計に目を向けて口を開く。

「そんなに時間取れないけど、いいよ。毛利昼飯どーすんだ?」
「工藤先生と話が済んだら食べるから平気です。」
「そう。じゃぁ会議室行くか。」

今日は昼の時間は会議室は使われていないのを思い出した新一はそう提案し蘭の前を歩き出した。
二人の距離は2メートル弱。
数年前まではそんなものは存在していなかったのに。


会議室。

部屋の中心を囲むように設置された長テーブルに置かれたパイプ椅子。
蘭はスタスタと新一の横を通り抜け奥側に腰掛けた。
それを確認すると新一はまたため息を蘭に見られないように一つついてから手前側の椅子に
腰を掛け蘭と向かい合わせになった。

「…で、話って?」

おそるおそる口を開く新一。
そんな新一に返ってきたのは重い一言だった。

「自分の胸に聞いてみたら?」

蘭の口調はがらっと変わり新一と同等の言葉遣いになっていた。
それを悟った新一もいつもの使い慣れた言葉を彼女に返した。

「…別に理由があって避けてるわけじゃねーよ。」
「やっぱり避けてたんだ。」
「ちがっ!だから…避けてるつもりじゃないんだけど蘭にとってはそう見えたかもだけど、それは決して…あ~……頼むっ!深く考えないでくれ。」

新一は顔の前に掌を合わせて蘭に懇願する。

「・・・・どうしても深く考えちゃうんだもん。」

蘭が俯き呟いた。
それはとても小さなものであったが、新一の耳にはしっかりと届いていた。

どうして、6つも歳の違うこの少女を前にすると自分はここまで正常心を失ってしまうのかと新一は顔を顰める。
しかし誰よりもその理由はわかっている。
だからこそ、目の前の彼女にこんな不満を抱かせてしまったのだということも。
もちろん自分の立場上、その理由は口が裂けても言う事は出来ない。


新一と蘭は互いの両親が知り合いだったために、幼い頃から関わりを持っていた。
言うなれば幼馴染というものだろう。
当然のように時を共にしてきた二人。
しかし、その年齢差は蘭が小学一年生の時に新一は中学一年生というもの。
新一が高校に上がればもう、大人と子どもの世界であろう。
だが、新一にとって蘭の存在は幼馴染の年下の女の子ではなかった。
中学、高校にあがるにつれ、彼女は一気に成長を遂げ、立派な女性となった。
始めは兄のような心境で彼女を見守っていたがいつからかそれは違うものへと変わっていった。

無邪気なままに育つ蘭は新一には清らかな存在であり、癒しの1つでもあった。
年齢という偏見的なものは存在しなく、新一にとっての特別になるのに時間はそれほど必要ではなかった。

そして、新一24歳、蘭18歳となった今となっては、ひとりの男と女である。
けれども、どういうわけか今では教師と生徒というおかしな関係に変わってしまった。
大人としての世間体を考えると教師と生徒の恋愛というものは禁断として取り扱われる。
そのため新一は蘭との関係に不安を覚え、いつからか、どのように関わっていいのかわからないほどに意識するようになってしまった。

何よりも彼女が傷つくことだけは避けたい。

そう誰よりも思っていたはずが、どういうわけか蘭を悲しませる結果へと導いていたようだ。
目の前で俯き肩を微かに震わせる蘭を見て新一はどうしようもなく自分を責めた。
大の大人でありながら、自分が愛する女性一人満足に笑わせられないことに呆れた。
そしてこの想いさえも伝えることができないことに悔しさを感じる。
あぁ、自分はなんてちっぽけな。


「ねぇ、昔の新兄はどこに行ったの?」


蘭が顔を上げて新一を見た。
新一は何も言えずただ佇む。


「私、もう子どもじゃない・・・新兄にとってはまだまだ小さい存在かもしれないけれど、私だって・・・・女なんだよ。」


そんなの知っている。
何より自分がそう意識してきたのだから。
けれど、俺はそれをどう受け取れば、お前を傷つけずに済むんだろう。
本当は気づいてるんだ。


何よりお前が欲しいこと。





「何も・・・言ってくれないんだね・・・・・ずるいよ、大人ぶって、全部自分だけで決めて。」


蘭は一呼吸おいてから立ち上がった。


「・・・・・・・・・忙しいのにすみませんでした、工藤先生。」

「・・・っ!」


すっと蘭が新一の横を過ぎる。
衣服越しに感じる冷たい風がそれを知らせた。

蘭が一言言い残して、ドアに手を掛けた時。


「もう、耐えられないんだよ。」


「・・・・・・え?」


ドアへと行きかけた手は止まり、蘭はゆっくりと振り向いた。

蘭が悪いのだ。


後で拒んでも。
自分の都合のいいようにしか解釈できないから。



女のお前に男の俺は答える。


「・・・・・・・・・新兄も、工藤先生も。」


「・・・・新兄?」


不思議そうな顔をした蘭を見て。
ついにこの時がきたのだと・・・思うことにした。


もし、こちらの一方的なもので彼女の想いとリンクしなくても。


もう止まりはしない。

きっと始めから決まっていたのだ。
今のこの教師と生徒の関係も。
昔から知っている幼馴染の関係も。
彼女へ抱いたこの気持ちも。

全て。
全て。


仕組まれていたのだ。


だったら、今こうして自分が言おうとしている言葉も。
溢れてくるこの感情も。



君と僕が生まれる前から。

仕組まれてたんだーーーーー・・・・


「負けたよ。」


新一がそっと笑った。


「なっ何に?」


不思議そうな顔をする蘭。
そんな蘭を見て新一はふっと口を開いた。


「蘭・・・・・俺達の出会いは仕組まれてた・・・・・そう思わないか?」


そう、ここで自分がどう進もうが、どちらにしろ自分達の未来は決まっているのだ。
仕組まれているのだ。


だったら・・・・・


そして新一はずっと心に閉まっておいた愛の言葉を愛しい愛しい6つ下の少女へと告げ始めた。






FIN



☆後書き☆
すごい中途半端ですが、ここで止めておきます。
幼馴染のままで教師と生徒の関係になった二人。
はじめは新一先生が自分の気持ちを抑えようってかっこつけそうですが、
蘭ちゃんだって自分の気持ちに気づくお年頃。
どれだけ彼が大切なのか。
そして教師と生徒の関係に不満を覚え、
彼の特別になりたいとどこかで願っている。
けれど決して言葉でそれは言えなかった。
でも避けられることは辛くて辛くて。
少しだけがんばろうとしたんです。
互いに互いが想いあってることに気づいていたからこその空回り。
ついに二人は仕組まれた未来へと歩きだす。
そんな恋愛をしてほしかった。
でもこの話じれったいようでじれったくないですね。。
きゅーっとする展開がない。。。。
続編書くかもです。
蘭sideで書いてみたい!


新兄・・・って微妙だったかなぁ・・・。

2008.03.21 の作品でした。


2010.10.31 kako




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