※大人的表現含みます。ご注意下さい。
番 外 編 欠 乏 症
もう一度手に戻せたこの存在。
二度と・・・二度と離したりするもんか。
あんな事があっても愛しくて愛しくて仕方なかった。
それなのに触れる事さえ出来なかった日々。
幼馴染みの俺達には今までに経験のない残酷な関係。
俺でいて俺ではないそんな感覚が続いた。
そんな中過ぎていく時間の中でどんどん膨張していくのは・・・・
何より一番傷つけたくない奴をめちゃくちゃにしてやりたいという欲望。
俺以外の男に触れられた躰。
俺以外の男と重なった唇。
言葉には出来ない程の怒りと嫉妬感。
けど今更消す事は出来やしない。
蘭がその感覚を忘れると言い切れる訳じゃない。
許されるのなら。
無理にでも口付けて。
無理にでも躰を重ねあいたい。
格好悪いかもしれないが、今の自分はそうする事でしか安心を手にする事が出来ない。
だから、こうやって前の関係に戻れた今。
俺が求める事は一つしかない。
蘭から貰う償いと・・・・
自分のしでかした罪への償い。
もとはといえばこうなったのは自分のせいだ。
だから俺も償うよ。
俺がそう言えば蘭は俺は悪くはないと言うだろう。
だから俺の意志の中だけでも償う。
切ない欲望でお前の空になった心を満たすから。
夜空の星から覗かれるのを拒んでカーテンを閉めた。
振り返って。
そっと。
そっと。
抱き締めた。
やっぱり何より一番落ち着く。
嬉しくて。
切なくて。
暖かくて。
蘭の唇に指で軽く触れた。
「・・・最初の償いだ。」
他の奴の感触なんか認められない。
「・・・・・ん。」
蘭の艶やかな声が耳に響いた。
久しぶりにする今日二度目の口付け。
今度は余裕なんてやらない。
一時的でもいい。
俺の温もりだけ感じてて。
俺だけを。
柔らかい唇を強く押しつけて。
角度を変えながらついばむキスを繰り返す。
そして一瞬の隙をついて蘭の口内に自分の舌を滑り込ませる。
強引に絡めとって。
唾液の交ざり合う感覚に背筋がぞくっとする。
でもそれが嬉しくて。
苦しいのか蘭が俺の胸に当ててた手をぎゅっと握り締めている。
覗く瞳に写ったのは苦しそうに眉間に皺を寄せ紅潮した顔。
いつもはここで離していたけど。
今日はそうはいかなかった。
出来るのならずっと交わしていたい。
途中途切れ途切れに繰り返される色っぽい吐息に更に俺の脳裏は洗脳されていった。
場所なんて構わない。
口付けを続けたまま、電気のスイッチを切ってそのまま蘭を床に軽く押し倒した。
蘭の長い髪が床に広がる。
顔中にキスを落としていく。
蘭の目尻にはうっすらと涙が浮かんでいた。
でも安心した瞳をしているから。
止められやしない。
耳たぶを甘噛みするとビクッと反応する蘭の躰。
首筋に唇を落として、歯をたてて赤い痕を残していく。
公に見えてしまう事なんか関係ない。
むしろそれを望む。
みんなに蘭は俺のものだと主張してやりたい。
キスの合間に蘭の制服のボタンを正確に外していく。
「どこ触られた?」
唇を離してそう問いた。
「・・・・・・。」
蘭は何も言わない。
言葉で言い表せば言っても大丈夫なのか不安で仕方ない顔。
「・・・怒る訳じゃない。」
安心させるように蘭の耳元の髪を指に絡めながら微笑んでみせた。
「・・・くび・・・。」
「それだけ?」
コクンと蘭が頷く。
自分の行為によって残された白い首筋に浮かぶ紅い花弁に目を落とす。
そこに俺以外の男が触れた。
悔しくて悔しくてしょうがない。
首筋に触れるだけのおとなしいキスを繰り返していく。
丁寧に。
丁寧に。
「消毒・・・な?」
俺がそう言うと蘭は瞳からまた一雫の涙を零した。
次にボタンを開いたブラウスから覗く鎖骨に唇を落として。
「もう誰にも触れさせねーから。」
そっと頭に柔らかな感触を感じた。
それが蘭の手だと気付く。
「ごめん・・・ごめんね?」
蘭は泣きながらそう言った。
だから・・・お前は謝る必要はないんだ。
「どんな事があってもお前は俺のモノだよ。」
「っ私・・・・・幸せものだね。」
蘭は泣きながらそう微笑んだ。
その微笑みから暖かいモノを感じた。
もう一度唇と唇のキスを交わす。
蘭の躰中にキスをする。
その度に反応を示す蘭に愛しさが生まれる。
ゆっくりと時間を掛けて。
蘭という花を咲かせていく。
白い躰はうっすらとピンクに染まって。
熱い吐息と汗が俺の欲望を引き立てる。
思う存分という程蘭の躰を感じて。
こんな時になって幼い頃から持っていた自分の蘭への想いが浮かんできた。
出会ってすぐ“蘭”に惹かれていた自分。
その想いはどんどん溜まっていくばかり。
それなのにそれを伝えようという勇気はなかなか溜まらない。
そしてやっと叶った恋。
嬉しくてしょうがなくて。
だから自分のイイトコだけ蘭に見せていたくて。
その結果カッコつけていた俺は変なプライドで蘭を傷つけていた。
そして間違いに気付いた俺はいつのまにか蘭を失っていた。
本当に自分はまだまだ子供だ。
でもやっと気付くことの出来た俺は・・・きっとまだ子供で、でもちょっとはましになった筈。
だから今こうしてお前を抱けるんだよ。
「ーーーーっ!!」
慣れない痛みに顔を歪ます彼女。
それでも必死に俺に絡み付いて絶えようとする。
答えようとする。
その痛みはいつしか『愛しさ』に変わって。
「蘭、愛してる・・・。」
「私・・・・も、愛してるよ。」
息を乱しながらもそう答える蘭。
「ねぇ・・・なんでかな?今までもずっとずっと新一の事愛しくてしょうがなかったけど。」
「もっともっと・・・今までとは全然比べ物にならないほど・・・・。」
「愛しい。」
“俺もお前が愛しくてしょうがないよ。”とは言えなかった。
蘭の言葉が身に沁みて沁みて。
言葉にする前に口付けていた。
きっと星がまたくすんで俺達を悩ます時は何度だってきてしまうだろう。
でもどんな壁が俺達を阻んでも、いつかはまた輝きを取り戻す。
取り戻してみせる。
だからいつか辿りつく幸せの結末を一緒に見届けよう。
約束する。
絶対に。
絶対に。
お前を幸せにする。
俺が。
「もう・・・夜、淋しくねーや。」
苦笑して。
「私も淋しくない・・・・新一がいてくれるから・・・・。」
今夜は満月だ。
そしてその満月は愛し合う二人にそっと笑いかけるように。
輝き続けた。
Fin
:::後書き
やってしまいました。
こちら以前は年齢制限かけてURL請求制度にしていましたが・・・
ここではそんなことしませーん。
全然温いし。
閲覧に関しては皆さまにお任せします。
でも読んでからの苦情はナシでお願いします。
黒新一。
こういうの好きなんですよねーー。
うまく表現できてないけれど。
後ほど軽い後書きUPしようと思います。
ここまで読んでいただき本当に本当にありがとうございました。
2010.05.23 kako
2005.05.14 作品
↓↓いつもクリックありがとうございます。
これで本当に完結です。
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次回作もがんばりま-す!
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