最近急に変わったアイツ。
そんなアイツが気になって気になってしょうがない俺。
その答えを知っているから尚更気になる。
周りのアイツを見る目も変わる。
それが嫌だと思う自分がいる。
なんで急に変わったんだよ。
俺以外の奴にまで変わっていくお前を見せるなよ。
そんな自分勝手な想いを夜空の星と一緒に並べていく。
聖夜に並べる幼き想い
中学に入ってだんだんと変わっていったアイツ。
何が変わったって?
なんていうかさ・・・“女”っていうのかな。
最近のアイツを見てると胸が跳ねるんだ。
ガキの頃から一緒にいたから余計にそういうのが変に感じて。
なんとなく簡単に触れちゃいけない存在に思えてきたんだ。
小さい頃からだって認めてたけど。
純粋に可愛い。
優しい。
女らしい。
わかっていたけど。
急に変わったんだ。
変わってないはずなのに・・・魅力的な可愛さ、優しさ、女らしさに。
そんなアイツに少し戸惑いも感じて。
前みたいにいられない自分がいるのも事実。
考えたくないけど・・・女って恋すると変わるってよく言うだろ?
だから俺もいつもと違う。
だってさ。
好きな女の魅力にさらに惚れ直したっていうのにその魅力を引き出されたのはその女が恋をしてるからだぜ?
複雑だ。
本人に聞いたわけじゃないけど。
最近のアイツは絶対・・・・綺麗になった・・・と思う。
それがイコール恋をしているになるのなら・・・。
自分かも?と自惚れてみたいとこだが。
俺達は幼馴染。
小さな頃から男女関係なくつるんできた。
それがこんなお年頃になっても続いてる・・ってことは。
アイツは俺を男として意識してないって事だよな。
そんな考えにとてつもなく虚しくなっている俺を無視する様にアイツはやってきた。
:::
中学2年の冬。
年の終わりを告げる月は今年最後のイベント、クリスマスに歩を止めた。
俺の両親は今年の初めに海外へ渡米した。
大きな洋館にたった一人だけで生活を送る俺。
本当ならまだ親と一緒に暮らす義務の様なものがある歳だけど。
俺は両親の一緒に渡米しようという意見に首を縦に振る事は決してなかった。
だってさ。
ちょっとずつ大きくなっていくこの想いを伝える事も出来ないうちに・・・外国になんていけないだろ?
・・・ていうか俺がアイツと離れるのが嫌だっていうのが最前の理由だけど。
小さな頃からずっと一緒のアイツ。蘭。
そんなアイツに幼いながら抱いた恋心という種。
それは日を増して芽を出し大きくなっていく。
中学に上がるにつれてアイツはどんどん変わっていった。
それは更に俺の想いに水を蒔いていく。
でもアイツの考えは全く推理することは出来なくて。
結局花を咲かせるまでにはまだまだな感じ。
それにしても・・・一人というものは行事にも疎くなってしまうようで全くといっていいほどクリスマスといったウカレ気分にはなれない。
クリスマスーーーーー・・・
恋人達にとっては本当に大イベント。
俺だってさ・・・・。
こんな日に好きな奴と過ごせたらな。
なんて思ったりする。
でも中学に入った俺はなんとなく蘭が女だという事に気付いたら前の様に簡単に遊びに誘ったりなんて出来なくなった。
蘭はそんな様子はなく今まで通りなんだけど。
二人で出掛けたり・・・なんてのはずっとしてない気がする。
中学2年にもなれば周りのやつらはあの子が可愛いとかあの人カッコイイだとか付き合う付き合わないだとかだんだんませてくる。
まぁ当然だとは思うんだけど。
別に構わないんだけど・・・
その視線の先に蘭がいるという事は嫌になる。
ちょっとした嫉妬だとは思う。
蘭への感情まで左右させやがる。
幼馴染という俺達が話しをしていたりするのを見ては、
つきあってんのか?
最近毛利可愛くなったもんなぁー
ソレを聞くたびに嫌悪が走る。
お前らどんな目でアイツを見てる?
でも周りは蘭が可愛くなった、綺麗になった・・・って。
俺だってそれは認めるさ。
けど・・・
“恋をしているから。”
それだけは認めたくなかった。
ソファに寝転がって目を瞑る。
「会いてぇな・・・・・。」
冬休みに入って2日目。
家でぼーっとして一人のクリスマス。
ピンポーン。
急に鳴った音に驚いて思わずソファから転がり落ちた。
今は5時・・・・・
辺りはすっかり真っ暗。
一体誰がきたってんだ?
何となく不機嫌な顔付きでインターフォンを手に取る。
「はい?」
「あっ新一?私、蘭!!」
「・・・へ?」
たった今会いたいと思っていた人の名前が耳に入り、思考が鈍った。
「ねぇ、新一今日は予定入ってるの?」
「い・・いや。特に何も。」
「ほんと?良かった。ねぇ入れてくれる?」
「あ・・あぁ。開いてるから入ってこいよ。」
:::
先程までは一人しかいない静かだった家に可愛らしい花の様な声が響く。
目の前には外は寒かったよ~と鼻を赤くさせて笑う蘭。
てか・・・突然どうしたんだ?
「・・・急にどうしたんだよ?」
「・・・・・。」
無言になる蘭。
なんだ?
「・・・ほらっ!!新一のご両親渡米しちゃったでしょ?だからきっと新一一人でつまんないクリスマスになるだろーなって思ってきてあげたの。」
ニコニコと話す蘭。
ハハーン。
「おじさん一人置いてきていいのか?」
「・・・お父さんは・・その今日は飲み会で・・・。」
蘭の声がだんだん小さくなる。
やっぱりな。
「俺なんかに構わず園子とかと遊んでくればいいのに。」
今度は俺がニコニコ話す。
その問いの意味を察したのか蘭はう・・っと顔を顰める。
「園子は・・・そのパーティーで・・・・。」
気まずそうな顔をしながらも素直に話す蘭に苦笑する。
「・・・お前が一人で淋しいからきたんだろ?」
ニヒヒとからかうように笑ってやる。
すると蘭は頬を膨らませ。
「ち、違うもん!何よ。いいわよ私帰るから。」
さすがにその言葉に焦って蘭を止める。
冗談じゃない。
折角可愛くなったという蘭を誰の目にも見せなくて済むという機会を逃すもんか。
「冗談だよ。悪かったって・・・きてくれてアリガトウゴザイマス。」
俺が宥めるように言うと蘭はけろっとして、
「最初からそう言えばいいのよ!!」
勝ち誇った顔。
調子いい奴。
でも自分の淋しさを俺で補おうと考えてくれた事に素直に嬉しくなる。
それでも蘭が可愛くなった理由に俺は関係しないのだろうが。
「私ねちょっと買い物してきたの。今からご馳走つくってあげるから待ってて。」
気付けば蘭の横には大きなスーパー袋。
こんなもんまで用意して・・・。
始めから来る気満万だったんじゃねーか?
また嬉しくなる。
蘭がキッチンに立っている間にクリスマスツリーを用意しておけと言われた。
めんどくさかったがNOと言えば蘭の怒りの鉄拳がどこに来るかわからない。
ここはしたがっておこう。
ツリーの準備をしながらそっとキッチンの方に目をやる。
鼻歌を奏でながら手際良く作業を進める蘭。
母親が出ていってからの蘭は少しずつ家事をするようになった。
母親とは違って料理は結構上手い。
最近じゃそこいらの主婦に勝るほどだと思う。
たまに一人暮しの俺を気遣ってメシを作りにきてくれたりする。
内心それがすっごい楽しみだったりする。
忙しそうにしかし楽しそうに動く蘭を見てまた思う。
“女”だよな。
正直中学生にもなると男女の差も出てくるわけで。
この前学校で蘭が転びそうになった時腕をとって支えてやったことがあった。
細い腕。
身長のわりに見かけより華奢な躰。
男のごつごつした躰とは違って柔らかな躰。
細い腰。
ふと香る清潔な香り。
その時は頭がおかしくなるかと思った。
知らぬ間に変わっていた蘭の女の魅力。
てか今って結構やばいんじゃねぇ?
俺は蘭を女として見ているわけだし・・・・・。
年頃の男女が二人っきりで家でクリスマスを過ごすって・・・これってどうなんだ?
ハン・・所詮俺にそんな度胸はねぇけど。
てかちゃんと今の関係はわかっているつもりだし。
そんな心配する必要ねぇか。
ふと窓から夜空を見上げる。
出来れば・・・・・さ。
出来ればだけど。
だんだんと綺麗になっていく蘭を誰にも見せたくないとか、
その理由がきっと俺に恋してるからだとか、
幼馴染という関係から抜け出したいとか、
勝手な想いを夜空の星と一緒に並べる様に思い浮かべる。
「今日は星が一杯見えて綺麗だね。」
急に後ろから声を掛けられて。
「そぉか?いつもとかわんねーよ。」
「もぉ、新一は夢がないなぁ。」
「夢とか関係するのか?ソレ。」
「・・・・・・でもクリスマスだし折角なら雪見たかったかも。」
窓の前ににいる俺の隣にきて空を見上げる。
近すぎだって!!
ちょっとだけ低い蘭の頭。
髪から静かに香る優しい香り。
ちょっとやばい。
でも自分から離れる気はさらさらない。
蘭がふと横に目をやるとそこには大きなクリスマスツリー。
「いつみても大きいね。私新一の家のツリーは小さな頃から大好きだったんだよね。」
そう言って床に目を落とす蘭。
「まだ上に星つけてないね。私つけていい?」
「お好きにどうぞ・・。」
蘭は嬉しそうに床にある大きな星を手にとってツリーの一番上に手をのばした。
しかし大きなツリーの頂上は蘭にはちょっと届かない。
そっと蘭の手からとって軽々と星を飾りつけた。
「あ・・・。」
自分がつけるといったのに俺にその役目を取られて怒り出すのかと思うと蘭は唖然としていた。
「な・・なんだよ?」
「・・い・・・るい・・。」
「は?」
「ずるい!!」
ずるい!?何が!?
「新一身長また高くなってる~!!一年生の頃はまだ同じくらいだったのに・・・・。」
え?身長??
そりゃぁ成長期ですから。
「・・・・新一も男の子なんだね。」
「女に見えるか?」
「・・・・・・・ぷぷ。」
「想像するな!笑うな!」
蘭の首に腕を掛け後ろから軽く締める。
「きゃぁぁぁぁぁ殺される~!!」とはしゃぐ蘭。
なんかこういうの懐かしいかも。
でもはっとする。
自分の腕で囲む様にしているのは自分の好きな女。
鼻をくすぐる優しい匂い。
頭がくらくらする。
結構重症。
「ね、ご飯食べよう!!」
そう言って微笑む蘭。
やっぱ・・・可愛よな。
誰にも譲りたくない。
例え彼女に他に想う人がいるとしても。
「なぁ・・蘭。」
ふとキッチンに料理を取りにいく蘭を呼びとめる。
「なぁに?」
どうか・・・・否定して下さい。
「お前クリスマスに一緒に過ごしたいって男とかいねーの?」
「へ?」
「いや・・・俺なんかのとこ来てていいのかなぁ・・・と。」
そんなこと思ってなんかいないけど。
「・・・・・・いないよ。」
蘭のその言葉に心底安心する。
それが真実か偽りかなんて考え様なんて事はしなかった。
今の蘭の言葉を信じてみる事にする。
でも何で最近の蘭は変わったんだろうか?
「新一こそ・・・本当は過ごしたい子いたんじゃないの?」
蘭がボソッと言った言葉に驚く。
そう言った蘭はキッチンに向かっていて表情が確認できなかった。
そこで俺にはある賭けに似た考えが浮かんだ。
「・・・いるよ。」
え?と蘭が勢い良く振り向く。
「うそ・・・・?」
嘘ではない。実際お前と過ごしたかったんだし。
蘭は不満な顔をしている。
蘭の反応に驚く。
これって・・・・
結構脈アリって事か?
「嘘。」
「え?」
「そんなのいるわけねーだろ?」
「・・・・ほ、本当?」
「本当。」
「良かった・・」
良かった!?なんで!?それってさ・・やっぱさ・・・・
「だって新一に彼女がいたりしたら幼馴染なんかが家にいるのみたら誤解しちゃうもんね!」
誤解?それってさ・・・・俺達が付き合ってるとか誤解されるとか・・そういう事?
それって付き合う事なんかありえませんってか?
「でも本当にそんな人が出来たらおしえてね?私ちゃんと応援するから!!」
あ・・・・・そう。
そりゃどうも。
賭けは見事玉砕。
やっぱコイツ俺の事男なんかにみてねーな。
「あっお料理冷めちゃう!!」
そういってパタパタと足音を立ててキッチンに消える蘭。
もう一度窓に近づいて夜空を見あげる。
今日はクリスマス。
聖夜の夜空は星で一杯に輝く。
その星と並べる俺の想いはどんどん増えるばかり。
幼馴染が急に変わったのは何故かわからない。
でも一つ言えるのは恋をしているからではないという事。
やっと出た恋心という芽がまた育ち始める俺。
それがいつか花を咲かせるまで。
今は花を咲かせるのを阻む微妙な想いを星と並べて。
幼い幼い微妙な想い。
Fin
:::後書き
こちらもクリスマス企画小説。
中学新蘭。
蘭ちゃんはまだ新ちゃんへの恋心は確信していませんね。
新ちゃんはすでにゾッコンだというのに・・・
可愛そうな新ちゃん。
憐れな新ちゃん。(心こもってない)
あっこの後の二人。
料理を食べてから少しお話したりゲームしたり。
その後新一君が蘭ちゃんを家まで送り届けました。
お泊り設定はさすがにカット!!
でも書いてみたい。・・・・と
2004.12.17. のkakoは残していました。
若い二人もいいですかね。
2010.05.16 kako
ランキング参加中です。
いつもクリックありがとうございます。
みなさんのクリックで更新速度あげて頑張ります!!☆↓↓1クリック☆
にほんブログ村
こちらもお願いします!