12月15日(土)16:50 ワーナーマイカルシネマズ市川妙典 劇場6 H列24席


2009年12月に公開された『ONEPIECE FILM STRONG WORLD』の時と同様に、初日から凄い混雑ぶり!おかげで、近くの映画館では全時間帯ソールド・アウト!それもそのはず、今回も先着入場特典として、コミックス”第1000巻”が貰えるからです。

みんな、映画自体に期待してじゃない・・・。こんなやり方で良いのか、尾田っち!!!


■感想■

今回は、主に既に観た方に向けて書きます。映画の結末についても触れるネタバレ感想になっていますので、これから観ようと思っている人は読まない方が良いです。


まず感想の前に言っておきたい・・・、俺は”ONE PIECE”を誰にも負けない位に愛しています。俺にとって、欠かせない自分の一部の様な作品です。ルフィ達は、もう他人とは思えない大切な存在です。楽しそうにしていれば俺もHappyだし、困難に立ち向かっている時には、心からガンバレって思ってます。


そんな俺の感想なので、いい加減な気持ちで書いているんじゃないって事だけ、ご理解ください。


まず、出来が良いとか悪いとかの前に、作品が表しているメッセージが・・・駄目!!!


この映画。キャラクターがユーモラスだったり、カッコ良かったり、そもそも"ONE PIECE"がこれまで築き上げてきた健全なイメージによって、かなり誤魔化されているけど、内容を簡単に説明すると、”世界的テロリスト対ルフィ”というお話です。作品内では”テロリスト”という表現は使われていませんが、誰がどう見てもテロリストです。


そのテロリストが、Z(ゼット)というおじさんなのですが、元海軍の偉い人(元海軍大将)だったので、これまで海軍としてワンピースに出てきた有名なキャラクターは、赤犬、黄猿、青雉の3大将を始め、皆このZさんの教え子なんです。なので、海軍も捕まえるのに遠慮がちだったり、敬意をはらってたりします。


Zさんは、新世界にある3つのエンドポイントを破壊して、新世界自体の滅亡を狙っています。3つのエンドポイントっていうのは、新世界に3つある休火山を爆弾で噴火させて、新世界全体を火の海にして、そこに住む全ての人と共に海賊を滅亡させるという目的です。


気になったのは、Zさんは海賊もろとも新世界に住む人全員をも殺そうとしているという点です。これは、どんな理由をつけてもテロ行為ですよね?関係ない一般の人たちをも全員殺そうとしてるんですよ。実際、火山を2つまで噴火させるのに成功するのですが、逃げ惑う大勢の島民が映し出されていました。きっと何人かはマグマに呑まれて亡くなっているでしょう・・・。ここには、断じて一切の正義は無い!!倒されるべき敵としては最適です。でもね、最後の直接対決の時、ルフィがZに言うセリフは『帽子を返せ!』って・・・違うだろ!?

帽子も大切だけど、そのテロ行為を否定するセリフを言わせなきゃ!例えば、『海賊が許せないってんなら、直接オレに向かって来い!関係無い人達まで巻き込むな!!!ドン!!!』って感じで良いんですよ。


このまま、完全懲悪として描いていれば単純で良かったのですが、この映画、Zさんをカッコ良い人物として英雄のように描いているんです・・・。これは、絶対にしちゃいけない事でしょ?? だって、テロリストですよ!? その行いにどんな理由があったとしても、決して許される事であってはいけないんだよ!!


それを、Zにも事情があるみたいな事を描いたり、それだって全然納得いく内容じゃなかったけどさ、悲しみを背負った男として、こういう行為をしても仕方のない状況だったみたいに描いた上に、最後までダンディにカッコ良く見せようとしているんです。


で、極めつけはラスト。話の途中、自分の将来の夢を海軍と海賊どっちにしようか迷っている少年が出てくるのですが、その少年が最後に友達とヒーローゴッコをしています。そこでの姿はZの扮装なんです。一見、良い話として纏めましたみたいに見せようとしてますが、これは、Zが少年たちの憧れるヒーローになったという事を表しているシーンですよね?製作陣は、一体どういうつもりなんだ!? テロリストが少年たちの憧れるヒーローであって良いはずないでしょう!? 


メッセージとして表している事が、上記のとおりで絶対に認めることが出来ない状況だったのですが、展開も下手すぎる!


これは、脚本上の問題ですが、今回ルフィはZに2回負けた後、3回目でやっと勝ちます。2回も負けた相手に勝つなら何らかの要因が絶対に必要です!勝てた要因が全く解らないんですよ・・・。


3回の戦い全部、全力で殴り合うだけ。1回目から2回目、2回目から3回目、それぞれの間に鍛えたりの努力や、何らかの作戦を練っているシーン等、勝てた事のロジックが無いと、とてもじゃないけど納得出来ないです。ただ、頑張ったからっていうんじゃ、どうしょうもないよ。

※これは『STRONG WORLD』の時も同じで、努力も工夫もなく再戦時に金獅子に勝ってしまっていて、そこに勝てた理由が示されなかったですよね。


もう1個、脚本上の事。今回、”モドモドの実”の能力者によって、子供に戻されてしまうのが”ナミ”とチョッパー”って・・・。映画だけの特別な展開として面白い設定なのに、ナミは大人の女性だから、子供姿とのギャップがあって良かったけど、チョッパーは殆どっていうか、全然見た目に変化が無くて、効果的じゃ無かったですね。何でチョッパーを選んだのかなぁ。ゾロとかロビンとか、普段から大人っぽいキャラが他にもいるのに、センス無い。


今度は、演出について。何かねー、やたらと水着姿のナミの胸が揺れているところをアップで大写しにしたり、ロビンの胸元をアップにしたりしてたけど・・・。確かに嬉しいよ、嬉しいけどさ・・・、すっごい気まずかったよ。何のサービスのつもりか知らないけど、ワンピースにそんなエロさとかいらないって俺は思ってます。

ワンピースってのは子供から大人まで、凄く幅広い年代に支持されている稀な作品だけど、そんなエロさを支持しているファンっているのかな!?ワンピースの魅力っていうのは、そんなんじゃないでしょ?


遥かなる冒険の魅力と、登場人物たちが見せる、友情や人情の信頼だったり信念の大切さだったり。それは、現代社会を生きて行くには、とても守り通せない自己です。こんな風に生きられたら、どんなに素晴らしいだろうと思わせる理想が展開されているから魅力的なんです。それを解っていない人が、脚本や演出をするから、こんなワンピースとは思えない映画になってしまうんですよ。


ただね、良いとこもありました。キャラクターの作画。特に上半身アップになった、ルフィとナミ!まるで、尾田っちの絵、そのものに見えました!ルフィの目って簡単そうですごく難しい。ちょっとでもバランスが違うと尾田っちの絵に見えないんです。でも、うまく描けていました。ナミの瞳の美しさも、尾田っちの原作を読んだ時と同じ感動がありました。ここは、特筆して称賛したいです。


原作漫画も、アラバスタ以降は、詳細や脇の人物の背景までを描くあまりに進展のテンポが遅くなり、一番大切なテーマ自体がボヤケがちですが、元々、ワンピースは1~2話で1つの物語が展開していく冒険譚です。尾田っちは、読み切りの様に短いページに凝縮するのが、すごく上手い漫画家です。今度の映画は、脚本から演出まで、『STRONG WORLD』の時以上に、全部、尾田っち自身でやるしかないと思いました。次は頼むよ、尾田っち!!!


満足度;48%

特に上半身アップになった、ルフィとナミの作画の満足度:100%


スズタカ☆ほぼ週刊・映画日記☆