【書評】鈴木宣利の気になるマイ本409冊「第6の波 環境・資源ビジネス革命と次なる大市場」 | 【ビジカン!】鈴木宣利のビジネス感性研究所

【書評】鈴木宣利の気になるマイ本409冊「第6の波 環境・資源ビジネス革命と次なる大市場」


【ビジカン!】鈴木宣利のビジネス感性研究所-第6の波


★「第6の波 環境・資源ビジネス革命と次なる大市場」

著者:ジェームズ・ブラッドフィールド・ムーディ&
   ビアンカ・ノグレーディー
発行:徳間書店

「第6の波」このタイトルを聞いてピンっときた方は、
経済通だろう。経済用語では、よく「クズネッツの波」
とか「第3の波」とか経済の景気循環を表す用語として
命名されることが多い。

この「第6の波」も、6番名の次の大きな成長期が
きていることを表している。

さて、それでは1~5番とあったはずであるが、
ここまでの景気循環は、ロシアの経済学者コンドラシェフ
が唱えた「コンドラシェフの波」を参考にしている。

この理論は、資本主義経済は、50~60年周期の
好景気と不景気を繰り返すサイクルを発見したもので、
シュンペーターが最終的に理論化している。

ちなみに次のサイクルがある。
第1の波=綿、鉄、水力の時代
第2の波=鉄道、蒸気機関、機械化の時代
第3の波=重工業、電化の時代
第4の波=石油、自動車大量生産の時代
第5の波=情報通信技術の時代
どれも納得すると思うが、次にくる波を第6の波
として、著者がとりあげている。
それでは、早速気になった3点をみてみよう。


○資源が限られた世界に生きている

資源エネルギーには、限界がある。特に、石油や
水、金、レアメタルなどだ。
生活レベルおよび、世界の人口が増加するほど、
資源が必要とされているのは当然だ。

しかしながら、すでに私たちは見えないところで、
エネルギーをムダに使っていることがある。

例えば、
○大人用のジーンズ1本には、1万1000トンの
水が使われる。
○小麦パン1枚の生産で必要な水の量は
 40リットル
○パソコンで使われるコンピュータチップには、
 2グラム、32メガ程度で、30リッターの水が
 必要。

このように、ムダな廃棄物として処分されるか計算
してみると、限界のある資源を有効に活用しようと
いう意識転換が起こるかもしれない。
そこに、次のチャンスがあるようなのだ。
第6の波は、資源効率性に関する新しい法則が
出現するかも。

○水、エネルギー、廃棄物を管理せよ!

最近、工場や倉庫、ビルなど大量の電気エネルギー
を使う会社では、電気メーターと電源供給側の間に
ある機械を入れて、微量な電気の省エネ化を図って
いるという話しを聞いたことがある。

当然電力会社は、そのようなことはしないのだが、
正規のメーター値でのコスト負担より安くなるので、
その機器を供給している会社はたいへん儲かって
いるということだ。

このように資源エネルギーを管理したり、共有したり、
再利用して、新しい価値を生み出す新技術を
クリーン・テクノロジーまたは、
クリーン・テックと呼ばれるようだ。

そして、第6の波は、このような新しい技術ではじまり、
まったく新しい価値創出方法で終わるだろう予言している。

家中の電源をコントロールするだけでも、需要が
ありそうですよね。待機モードで電気を食う
家電ってバカにならないそうで、5~10%の待機電力
を占めているそうだから驚きだ。
こまめに電源を落としましょうね。


○捨てられたものにチャンスがある

最近の家電にしても、パソコン、携帯電話に
しても、購入から数年で古くなり、ほとんど
消耗品のようになりつつある。

どの家庭でも、1台や2台の古い携帯電話
が眠っているのではないだろうか。

このような機器でも、ガラス、プラスチック、
金属など細かく分類し、それぞれを化学的に
分類、処理することで、リサイクリングをする
ことが可能だ。

著者は、「誰かにとってのゴミは、ほかの
誰かにとってもの宝物」と言っている。
ゴミの山から利益をえることが、いよいよ可能な
社会になってくるのだろうか?


さて、いかがでしたでしょうか。


著者は、ずばり資源効率性を中心に、
第6の波が発生すると言っている。

当然、エネルギーは有限なので、無限に
エネルギーが供給できるイノベーションでも
おこらない限り、エネルギーの効率化技術は
時間とともに、年々需要が増してくるだろう。

この分野に強い日本では、密かな世界シェア
トップクラスの企業が何社もあるので、
頼もしいが、そういう企業がこれからの
世の中をリードしていってもらいたいものだ。

そうそう、それとこの理論は著者の理論なので
もちろん第6の波は別のものだった!という
こともあるかもしれないということなので、
念のため。

個人的には、日本の生き残る道のひとつの
ような気がしているが・・・
それではまた、スズセンでした。

ぜひ、読んでみてください。


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編集後記
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最近、ハーバード白熱教室の
マイケル・サンデル教授の番組を
みました。さすが、1000人を
集めた講堂での、学生どうしによる
議論は、すばらしい。

書籍もベストセラーですが、動画で
ぜひ見てみてくださいね。
後日、感想などもアップしようと
思います。

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