【書評】鈴木宣利の気になるマイ本403冊「40歳からの知的生産術」 | 【ビジカン!】鈴木宣利のビジネス感性研究所

【書評】鈴木宣利の気になるマイ本403冊「40歳からの知的生産術」


【ビジカン!】鈴木宣利のビジネス感性研究所-40歳からの知的生産術


★「40歳からの知的生産術」

著者:谷岡一郎
発行:筑摩書房

年々歳を重ねるごとに、時間が早くなって
いくように感じる。会社の中でも中堅、幹部クラス
になってくると、プロジェクトを任されたり、
部門の責任者になったりと、現場と管理の両方を
マネジメントしなければならない。

そして、多くのムダな時間が取られることで、
パフォーマンスも劣化してくるのが、ちょうど
40歳というミドル世代だ。

そこで、一番必要されるのが、改めての知的
生産術である。少ない時間で、最大の効果を
あげるための工夫が必要となる。

この本は、そういう過酷な環境に置かれた
世代を対象としているが、そうであるがために
若年層が読んでも充分役立つ内容になっている
と感じる。

それでは、早速気になる3点をみてみよう。

○情報の「量」と「質」を見極める

情報には、「量」と「質」がある。
「量」については、コミュニケーションの手段に
よって、情報に濃淡が分かれるようだ。
当然、フェス・トウ・フェイスは、量も多く
なり、電子メールやファックスなど間接的
な手段になるほど、量が低下していく。

そして、量の少ない情報ばかりに接していると、
本来ならもっと得ていたはずの多くの情報を
失う結果になるという。

そう、情報量が多いほうから、少ないほうへの
転換はできるが、逆は不可能だからだ。

しかしながら、多いだけだと、収拾がつかずに、
整理できなくなる。そこで、情報の「質」が
求められるのだ。著者によると、検索エンジンの
100件程度の情報からの役立ち度は、10%程度
だという。私は、もっと低いと思っているが、
情報に対する高い感度を持っていないと時間
ばかりかかってしまい、効率は上がらないと
いうことだ。
最後は、結局信頼ある著者の本やレファレンスブック
に頼ることになるのだ。

○「どうでもいいこと」に時間をとられない

例えば、この書評を書くにしても、時間を
取られている。さらに書評なので、本を読まなければ
ならない。私は、ほとんど飛ばさないので、
180~200ページを読み、論点を整理するのだ。
そして、文章への変換作業である。

つまり、トータルでは結構な時間となるので、
何をやるにしても、「まとまった時間」が必要となる。

会社で企画書をつくれ!と指示されたら、あなたは
どの程度で仕上げることができるだろうか。
テーマにもよると思うが、調査して、アイデアを
だして、論点を整理して、プレゼンするための資料づくり
も必要だ。まあ、通常3日~1週間は必要となると、
ゆっくりたばこを吸って、同僚とのムダ話しもできない
ということになってしまう。

そう、「どうでもいいこと」に時間を取られることが
大敵なのである。
あなたの会社の会議、しっかり時間管理されてますか?

ちなみに著者の時間をとられない方法は、
□ツイッターやブログは見ない
□同じニュースを繰り返しみない
□長いスピーチは避ける
□重要なことは、先送りしない
□議論の噛み合ない人は放っておく など

○学問に境界はない

社会のエラーい人たちは、平気で学問をタテ方向に
分類してしまう。「自然科学」「社会科学」など
大分類からはいり、さらに小分類に分けていくのだ。

しかしながら、実際の現場社会では、そういう
縦割り思考は、あまり意味がないことに気づく。

例えば、ビジネスでは業界情報を知ることで、
経済学も必要だし、おカネの管理で、会計学も少しは
理解していなければならない。さらには、売りの最前線
では、営業トークのコミュニケーション術やマーケティング
と多岐にわたる。

著者においても、社会学がメインであるようだが、
「ギャンブル学」をスタートし、数冊の著書を
だしている。そう、著者が言いたいことは、
「学問に境界などない」という現実だ。

そう、あまり専門家一本に線を引かず、やりたい
こと、学びたいことを勉強すればいいのである。

さて、いかがでしたでしょうか。

この本は、知的生産性を高めるための、
時間管理術にはじまり、本を読むノウハウや、
情報を捨てるファイル整理法など、すぐに
役立つノウハウを教えてくれている。

まさに、知的生産術であるが、紹介された
手法は、著者の方法であり、これがすべての
人にあてはまるわけではないだろう。

やってみて自分にシックリくる方法から
習慣化してみてはいかがだろうか。

ぜひ、読んでみてください。

それではまた、スズセンでした。

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編集後記
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さて、最近読み始めた本ですが、
「プロフェッショナルマネジャー」
著者:ハロルド・ジェニーン
ユニクロ会長の柳井さんのバイブルだそうですね。

そして、
「思考力を鍛える30の習慣」
著者:ポール・スローン
「直感力マネジメント」
著者:ユージン・サドラースミス

などです。今後紹介していきますね。

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