【書評】鈴木宣利の気になるマイ本397冊「お金の流れが変わった!」 | 【ビジカン!】鈴木宣利のビジネス感性研究所

【書評】鈴木宣利の気になるマイ本397冊「お金の流れが変わった!」


【ビジカン!】鈴木宣利のビジネス感性研究所-お金の流れが変った



★「お金の流れが変わった!」
新興国が動かす世界経済の新ルール

著者:大前 研一
発行:PHP研究所

不動産会社の友人に話しを聞いたところ、
中国人の資産家が、ここ数年都内のマンション
に投資しているケースが増えているという。

「だいだい投資額の10%ぐらいは、そうではないか?」と
話していたが、日本のしかも一等地に投資すれば、
将来的な資産形成になり、また中国と違い、土地
の所有権もあり、安定した運用先として人気が
あるらしい。

そう、日本においても、密かに中国マネーが
流入してきているのだ。

このように、見えないけれど、少しずつ
従来からお金の流れが変わりはじめており、
この流れが読むことで、日本が、企業が
成長する機会をつくりだしていくことが
可能だという。

今日は、そんなお金の流れに関する
新たな経済の新ルールを見てみよう。


それでは早速、参考になった3点をみてみる。

○世界を彷徨い歩く「ホームレスマネー」

世界には、投資先を探して彷徨っている巨大な
マネーが存在している。それが「ホームレスマネー」だ
という。

現在では約4000兆円ぐらいあると言われている
ようだが、これだけの過剰に流動できる金余り
現象がおきているのは、今世紀にはいってからだ。

著者の大前さんは、このお金だけが余ってしまう
原因には3つあるという。

ひとつは、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、
オーストラリア、アメリカ、ドイツなどがOECD
に加盟する国々の余剰資金だそうだ。
ふたつめは、中東産油国に積み上げられた多額のドル
だ。つまりはオイルマネーだ。

そして、最後の3つめは、中国マネーということだ。

需要の喚起も大事だが、これらのマネーを呼び込む
ことで、今の不況からの脱却を少しでも考えて
いくことが、先決ではないだろうか?

まずは、お金にきてもらう国をあげての戦略的な
施策が、まったなしで必要だろう。

○新興国がほしい、日本の鉄道会社の技術とノウハウ

少し前までに民主党の役職におられる方々が、
海外の国へ、新幹線のトップセールスをしていた
ことは記憶に新しいが、今でも続いているのだろうか。

実は、日本が世界に誇れるものは、5つあるという。
その中のひとつが、道路、空港、ダムなどを整備する
公共事業だ。そして、公共事業でも特に鉄道が魅力的
であり、競争力がある事業のひとつのようだ。

確かにJR東日本などの秒単位で管理、運用されて
いる鉄道は、世界的に競争優位だろう。

さらに、駅ビルの商業施設の成功や、電子マネー
Suicaと連動させた利便性には、日本独モデルであり、
今後、ますます人気が高まってくことが
予想されるだろう。

詳しくは、本書をご覧ください。

○市長の競争で、都市を発展させる中国

現在の中国は、各都市に将来のビジョンを描かせ、
世界中から投資を募って街づくりをしている。
ようだ。大前さんも、大連市のアドバイザーを
勤めていたようで、結果的に日本企業の誘致に
成功している。

企業だけを競争のベースとして考えるのではなく、
企業をとりまく市長村においても、中国政府は、
自らの智慧でお金がやってくるしくみを作ることを
求めているのだ。

その結果市長は、自らの無知をさらけだしながらも、
熱心に勉強し、マーケティングが熟達し、
どんどんマネーを呼び込んでいるという。

日本のように、ただ永田町に陳情しにいく
だけではないところに、中国のスゴさがあるようだ。

さて、いかがでしたでしょうか。

日本は、思考停止状態に落ち入っているのでは
ないだろうかと思うのだ。

例えば、政治家にしても、いつまでも小沢問題
に明け暮れ、肝心の問題は、棚上げ状態になっている。

年金問題、医療介護問題、尖閣諸島問題、
沖縄移転問題、防衛問題、国の借金問題、
不況対策など・・・山のように抱えているのだ。

そして、政治もそうであれば、地方の自治体も
同じように頭が廻らない停止状態が続いている。

中国などは、確かに国としての体裁がない
かも知れないが、行動だけは迅速のような
感じがする。

お金の流れが変った現在、日本人もそろそろ
行動だけは急がなければならないだろう。

管総理 ! いつもでも権力闘争している場合
ではないのでは?

新たな経済の新ルールがわかるこの本は、
ビジネスマン必須本ですね。
経済専門書と違い、とても具体性があり、
わかりやすいので、ぜひ、読んでみてください。

経済だけでも、先に立て直しましょう!

それではまた、スズセンでした。

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編集後記
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さて、「大前研一通信」という
大前さん定期レポートの中で、当ブログの
書評が紹介されることになりました。

たびたび、他の雑誌、新聞などのメディアにも
紹介されていましたが、書評1ページに渡り
掲載されるということで、たいへんありがとう
ございました。

レポートが届きましたら、再度、皆様にも
ご案内させていただきますね。

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