はちみつエッセイに応募作品が集まってきました! | ミツバチと共に100年♪ 鈴木養蜂場 はちみつ家のブログ

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今年は雪が少なくてイイなぁなんて思っていましたら、今週に入って思ってもない大雪続き・・・。
先週末から三日三晩降り続いて、連日雪かきに追われる始末。
長野の北信地方で育ったはちぶんも、スキー場以外ではこんな大雪は見たことがないほど降りました。


今日はなんだか久しぶりにおひさまを見たような気分ですが、もう道路なんか最悪です!
お互い交通事故には十分気をつけましょう。

 

さて、最近から募集しはじめた蜂蜜エッセイですが、少しずつ作品が集まってきました。
小学生の頃から作文は苦手だという話をよく聞きますので、この企画はちょっとハードルが高いのではないかと心配されましたが、なかなかどうして文才のある方っているんですね!

 

サイト内でちょこちょこ発表するだけでは非常にもったいないので、このブログでも紹介することにしました。

 

第1回目は、滋賀県にお住いの高田智子さんの作品で「ぜったいなめちゃダメよ」です。
ではごゆっくりお楽しみください。

 

「ぜったいなめちゃダメよ」

 

 「ぜったいになめちゃダメよ」
 小さな頃、熱を出してくちびるがカサカサになると、母さんは、はちみつをぬってくれた。ふとんのなかで寝込んでいるわたしのもとへ、母さんは、はちみつのビンを大事そうに抱えてやって来て、シュガースプーン一さじ分のはちみつをぬってくれた。スプーンの背のひんやりとした感触は、熱っぽいくちびるに心地よい。ぽってりとしたみつの重みをくちびるで受け止める。ぬり終えると、母さんは、ビンのふたをキュッと固く閉めた。
 「ぜったいになめちゃダメよ」
 なめちゃダメと言われれば言われるほど、なめたくなる。ああ、なめたい。この甘みを今すぐ口に含みたい。その誘惑から逃れるのは至難の業だ。
 「おとなしく寝てるのよ」
 母はそう言い置いて、仕事へ出かける。家にだれもいなくなったら行動開始だ。くちびるのはちみつを、舌を出してひとなめし、むっくり起きて台所へしのびこむ。ビンは高い戸棚の一番奥。食卓から椅子を運んでビンを取り出す。黄金色にかがやくとろとろの液。そのあとは、さながらクマのプーさんだ。台所の床にぺたんと座り込み、なかば熱にうかされて、一さじ、もう一さじ。はちみつのこっくり甘い誘惑にあらがうのは至難の業だ。風邪っぴきのひそやかな楽しみ。
 (ミツバチさんが、すみれやバラの花から一生懸命集めてきたみつを、こんな無駄づかいしてもいいのかしら)
 途中、かすかな罪悪感にもさいなまれた。それでも、スプーンを動かす手は止められない。
 「いい子にしてた?」
 仕事から帰った母が、わたしの額に手を当てる。わたしは、はちみつでくちびるをしっとりさせ、すやすや眠りについている。
 大人になり母となった今、わたしはかつての母と同じことを娘にしている。イチゴやピーチのフレーバーのリップクリームをねだる娘のくちびるに、はちみつが一番と、やさしくぬってやる。
 「ぜったいなめちゃダメよ」

 

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なんだか代々引き継がれる母娘の愛情が伝わってくるとても温かい作品だと思いました。
この寒い季節になんだかほっこりしてきます!

 

蜂蜜エッセイは随時募集中です。
はちみつやミツバチにまつわるあなたの物語があったらぜひ教えてくださいね!

 

=>蜂蜜エッセイ募集要項

 

 

 

鈴木養蜂場