いいかげん(目黒)
息子(5才)は、僕が使わなくなった古いiPadを3才の頃から使っている。
去年くらいから、毎日見ているYOUTUBE動画、「レオンチャンネル」。
MCのお兄さんが、まだ世に出ぬ玩具を紹介している。
で、息子はそこで知った玩具を僕に買ってくれとせがむ。
自ら音声検索でAmazonのページを開いて僕に見せ、これを買ってくれと。
不思議だ。
誰も教えてないのに、チンパンジーのようにiPadを使えるようになっている。
自分が欲しい玩具をネットで知る習慣がついている。
そういえば去年、何だかよく知らない、オモチャの時計を買わされた。
なんでも、その時計は妖怪を呼べるらしく、えらく息子がハマっていた。
アニメも見るようになっていた。
するとここ最近、その時計が手に入らないぐらい人気だという。
社会現象だという。
そう、今やすっかり人気の「妖怪ウォッチ」だ。
いまどきの幼児は、欲しい玩具を、テレビでなく、友達からの噂でもなく、
YOUTUBEから得ている。
不思議だ。
そんな今日この頃。
夏こそ、蕎麦である。
「蕎麦には心が現れる」
蕎麦打ちの神様、あの高橋邦弘名人(68)が言ってた言葉。
で、まさに心が蕎麦に現れている店が、意外にも、目黒駅近くの、薄汚い雑居ビルの地下にある。
ともすると敷居が高くなりがちな「蕎麦」なのに、
ここのご主人の、この店の雰囲気の、敷居の低さ、ちゃんとしてないところお気に入り。
「江戸東京そばの会」を看板に掲げながら、
格式ある蕎麦屋に見えながら、
雰囲気とルールは居酒屋。
例えばビールは客が勝手に冷蔵庫をあけ、グラスとビールを自分で出して栓を抜く。
そばセット(3千円)というのがいい。
これは、ご主人の気分で、適当に美味しいツマミを6品ぐらい出し、
最後にせいろ蕎麦、というセット。
ある意味、いい加減。
でもこれ、酒を美味しく飲むための最高の脇役であり、
そして最後に最高に美味しく「蕎麦」を手繰るための、最高のストローク。
序章。
例えば、ご主人が、適当に作ったから、と笑いながら出してくるコンビーフキャベツ。
これが実に美味い。
聞けばノザキでなく、明治屋のコンビーフ。
これをほぐし、キャベツと炒めて塩コショウするだけ。
ソースなど味付けなし。
コンビーフの旨みとキャベツの甘さが、こんなに美味いのかと驚く。
そして、もうちょっと食べたい、という少量なのがいい。
最初のサラダも、蕎麦屋らしく、揚げた蕎麦がトッピングされていたり。
蕎麦屋の定番、出汁巻き卵もほどよい甘さで酒が進む。
そろそろ蕎麦かな、というタイミングで、一口カレーが出たり、
もつ煮込みが出るのだが、
これが透き通るようなスープで、江戸風味。
蕎麦屋のもつ煮込み、さすが出汁が違うね。
そして蕎麦。
さっきまで、にこにこしてたのが、
蕎麦を出すときだけ、ご主人の表情が心なしか違う。
あの高橋名人イズムを受け継ぐ、二八蕎麦。
つるっとしたのど越し、空気と含ませズルズルやると、
ほんのり薫る蕎麦の実の香りと、そばつゆの鰹の風味がたまらない。
量がまたいい感じ。ケチってない。
ちなみにご主人は、かつては洋食レストランの雇われコックだった。
しかし厄年のとき、このまま終わっていいのかと、一念発起、
コックを辞め、「蕎麦の学校」へ通い、軽井沢で出張蕎麦職人をしながら、出店の準備をし、
この店に行きついたという。
「いいかげん」と名乗りながら、その意味は、
「いい塩梅」という意味だと解釈している。
カウンター8席ほどですぐ満席になってしまうが、
こじんまりしてる分、店内の一体感も、なんだかアットホームでいい。
これから秋にかけて、新蕎麦の季節。
ご主人の表情がまた一段とキリリとしそうだ。
一人メシ、
デートにお薦め。
PS
秋に、CHEF-1江戸ナイト、またやります!
日程:10月13日(月・祝)18:00~20:30
場所:ホテル日航東京(お台場)1階大宴会場「ペガサス」
詳細は CHEF-1 にて近日告知します。