「うぉぉぉ~っ!」
山の中に雄叫びがこだました。
釣り上げた “ヤツ” は、今まで見たことの無いサイズとウェイトだった。
しばらくの間、指先が震えた。
「すっげー…でっけー…ウヒヒヒッ…」
高揚、感動、そして緊張感から開放されニヤケ顔。
「ワハハハハッ」
何故だか笑いが止まらない。
とりあえず指でサイズを測る。
「イチ…ニ…」
指でふたつ半。
手を広げ、親指と小指の間が約20cmくらい。
ふたつ半だから、約50cmになる。
「いっちゃいましたか!大台にっ!」
見た目でも、オレのユビメジャーでも確実に50の大台を超えている。
こりゃ確実にサイズ測らなきゃな…と長年愛用したメジャーを取り出した。
フローターの上にメジャーを広げ、“ヤツ” を乗せた。
「ちゃんと口を閉じて…尾を広げて…ウオッ!」
バタバタ!
“ヤツ” が暴れる。
暴れんなよ~と押さえ付けた。
「サイズは…ごじゅう…はち!…」
…!
あははっ。
メジャーがたるんでた。
“ヤツ” が暴れたせいだ。
もう一度測り直す。
「口を0に合わせて…ちゃんと口閉じで…!」
ドッタンバッタン!
下顎から手を話した瞬間に、またまた暴れ出した。
必死に押える。
何とか再び下顎を掴み、大人しくさせた。
さて、気を取り直してサイズを…
サイズを…
?
あれ?
オレのメジャーは…
あっ!
白い帯状のメジャーが目の前を沈んで行く。
余った手を伸ばすが届かない。
ロッドを水中に突っ込んで絡めようと試みた。
あぁ~無情…
アンルイス…(イミは無い)
大分野池の水底の燃えないゴミになっちまった。
「ウオッ~でかいじゃないっすか!」
大分釣り仲間・Sさんの声がした。
オレの雄叫びにかけつけてくれたのだ。
コトの一部始終を話し、記念撮影をしてもらった。
今度は逃げられないように陸に “ヤツ” を上げ、ロッドでサイズを測るコトにした。
「今度こそ…
口閉じで…
トップガイドをあてて…
尾ビレを開いて…
えっと…
このガイドから…
いち、にい、さん…
指三本目ピッタリ!」
Sさんにも証人になってもらい、後で測ることにした。
その後、反応が無くなって来たので2~3池を周った。
この日はアレ以上の衝撃は訪れなかった…。
昼メシを海沿いの「魚市魚座」ですまし、大分市内に戻ることにした。
いや~満足である。
半年ぶりの大分バスは、まさかの50upで出迎えてくれた。
最高な気分だった…
この時までは…
帰りがけにコンビニに寄ったので、メジャーを探した。
あいにく売ってなかったので、ナツカシの「トーメー15cmモノサシ」を買った。
早速、駐車場でロッドを広げる。
「ロッドの先端に0を当てて…15…また0を…そして、15…そして、そして、そして…?」
もう一度
「トップガイドが0で…15のもういっちょ15で…?」
あれ?
きを取り直し…
「トップに0で…15…15…ユビ三本目…ユビサンボンメ…」
がぁぁぁぁぁぁぁ~
何時測っても、
なんどはかっても、
ナンドミテモ、
よんじゅう…きゅう…
49cm…
「きっと何処かズレてんだよ…」
でも49。
「きっと魚まがってたんだよ…」
でも49。
「定規がちっちゃいんだよ」
でも49。
「竿が縮んだんだ…」
49。
「目が疲れたんだ…」
よんじゅうきゅう!
49!
49cm!
何時測っても、どう見ても、無理矢理サバよんでも、インチキしても…
50cmには足りない。
大台に乗らず、ガックリ肩を落とした。
カーカーとカラスが鳴いている…
カーカーとオレが泣いた…
クッソ~…
また行ってやる~!
首洗って待ってろよ~
おおいたばすぅ~!
これで今回の “釣りバカ男の一人旅” は終わった。
たいして釣れない…
食べる為の釣りでも無いのにムキになり…
たった1cm足りないだけで…
大騒ぎ…
もう次の九州遠征に燃え始める…
やっぱりオレは「釣りバカ」なのである。
ちっくしょ~!
~オワリ~
たった1cm、1センチ足りない話をこんな長編物語に出来るなんて…オレってやっぱり天才だ!…と自画自賛している、
鈴木みのるのオフィシャルグッズショップ
【パイルドライバー】
http://piledriver.shop25.makeshop.jp/
いよいよ冬物デザインをまとめ始めました。オレは一年中半袖Tシャツで過ごしているが、少量長袖やってみようかな?