将来の戦闘機選定は、国民の後押し次第で国産か共同開発かが決まるだろう | 朱雀ひのでのブログ

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F-2に続く、次期戦闘機はどう決まるのか?


「平成の零戦」離陸近づく 日本の先端技術結集の“勇姿”…懸念は米国の「横やり」

(産経ニュース 2014.11.5 06:00


 国産初のステルス戦闘機開発に向けた試作機「先進技術実証機」(ATD、通称・心神)が来年1月、初の飛行試験を行う。日本の先端技術を結集した軽量化の徹底が図られ、「平成の零戦」とも呼ばれる。日本の国産戦闘機構想は、1980年代のFSX(次期支援戦闘機)選定をめぐり米国の横やりが入り、日米共同開発に落ち着いた過去もある。自衛隊や防衛産業にとって、悲願ともいえる“日の丸戦闘機”は果たしてテイクオフできるか。


(中略)


 国産であれば「機体に不具合が生じた際に素早く対応できるメリットもある」(航空自衛隊関係者)。一方、政府・与党には「日本の戦闘機は日本で作る」という技術ナショナリズムものぞく。


(中略)


 同盟国・米国の反応も気になる。1980年代のFSX選定では、米国製戦闘機の購入を求める米側との間で政治問題となり、日本が米国の要求を飲む形で米国製のF16を母体に日米共同でF2戦闘機が開発された。バブル景気絶頂の当時は米国内の一部で日本脅威論も論じられており、戦闘機の独自開発もその延長線上で待ったがかかった-。こう受け止める日本政府関係者は少なくなかった。


 現在のところ、「心神」について「米国から共同開発を持ちかけてきてはいない」(防衛省関係者)という。米政府は大幅な国防費削減にあえいでおり、無人戦闘機の開発に着手していることもあり、新たな共同開発事業に手を出せない事情も指摘されている。


(中略)


 「平成の零戦」は日本の空を守るのか。政府は国産戦闘機を導入するかどうかの判断を、4年後の30年度に予定している。



先進技術実証機(ATD-X)については、これまでも何度も記事にしてきました。


三菱+IHIのタッグは、日本の航空機産業を自立させられるか?

日本政府は万難を排し、国産ステルス戦闘機開発を進めよ

試作機ですらない技術実証機に対抗意識を出す中国

純国産ステルス実証機、ついにベールを脱ぐ

ATD-X、2015年1月に初飛行の方針

スパイの暗躍?ATD-X開発工場でハードディスク紛失

犯人は犯行現場に戻るを地でやって、犯行を見破られる典型?


これだけマスコミに取り上げられると、「よく分からないが、日本が戦闘機を開発している」という事が多くの国民に伝わっていることでしょう。

ただ「それがどうしたの?」という反応も、まだ多いでしょうね。


ところで私に記事をお読みいただいている皆さんは、先進技術実証機(ATD-X)があくまで『戦闘機を作るための技術を、実物大模型(に近い大きさで)に組み込んで飛ばし、データを取るための機体』だという事は、もうお分かりですよね?

今回の記事は、皆さんが基礎知識を持っているものとして、話を進めます。

お分かりにならない方は、上記に示した私の過去の記事をお読みになってから、本記事を読み進めてください。


引用記事にも一部説明がありますが、なぜ日本(の航空自衛隊)が『国産』の戦闘機を求めているのかは、以下の理由によります。


1.機体に不具合が生じた際に素早く対応できる

2.外国製戦闘機を導入した際について回るブラックボックス(技術不開示部品やソフトウェア情報)が無いため、機体の実情に沿った運用やアップデート、改良がしやすくなる

3.もし外国に輸出する場合でも、他国の事情に振り回されない

4.F-2共同開発の際に起きた技術流出の心配が少ない

(これでステルス技術がアメリカに流出、アメリカのステルス技術が飛躍的に上がったとされる)


ここで航空自衛隊が過去の経験上問題視しているのは、この中の1、2でしょう。

戦闘機を運用していて何も事故や故障、その他トラブルが起きなければ問題ありませんが、実際には過去に様々事故が起き、何人もの自衛官が殉職されています。

また様々なトラブルは、日常で起きています。

それを整備士たちやパイロットが運用する中で様々な工夫をしながら、様々な任務に就いているのです。


リコールレベルの欠陥が無くとも、戦闘機はマッハを超える速度で運用する過酷な環境で使用されているもので、少々のトラブルは日常で起きるのが、むしろ当たり前です。

それをクリアして事故を未然に防ぎ、トラブルで生じる運用機の減少率が極めて少ないのが、航空自衛隊です。

日米で同じ機体(正しくは姉妹機)を使用している、F-15の稼働率が、米軍より高いというのは、驚異的と言っていいです。


これが国産の戦闘機であったなら、すぐに設計図の段階までさかのぼって原因調査が出来るものを、いちいち戦闘機開発国のアメリカのメーカーに問い合わせて、相談しながら事故やトラブルの原因究明にあたる事になりますが、煩雑になる上、アメリカ政府の意向もあり、軍事機密情報が提供されないので、原因の結果位しか伝えられないという状況です。

「なぜそうなったのか?」が分からなければ、今後に生かすのが難しくなるのが分かっていただけると思います。


これに対し、曲がりなりにも(準)国産戦闘機であるF-2の場合、すべての情報が把握できているためか、未だに殉職者を出すような事故が発生していません。

一度だけ離陸前に機体が炎上するという事故がありましたが、すぐに原因が整備不良(配線ミス)と分かり、機体設計に問題が無かったことが判明しています。


こうした事は、戦闘機の様な話ではなく、日常の生活用品で皆さんは実感していらっしゃるのではないでしょうか?

家電製品で日本製を使用する場合と、その他製品の場合。

(ブランド力はともかく)日本車と、その他の製品の場合など。

どう考えても、日本製の方が(機能面なら)いいですよね?


同じような事が過去に起こっていたものの、いまや純国産で賄われている分野が、ロケットです。

H2開発前に、日米間で問題になりかかりましたが、『すべて自前開発』では、アメリカもそれ以上押せなかったのです。

今回も、『すべて自前開発』である以上、その方向性なら、アメリカも強く推せないと思いますが、安全保障にかかわる分野で日本がアメリカから『巣立ち』するのを何としてでも止めようと揺さぶりをかけてくる可能性はあります。


やはりここは国民の声を大きくして、「国民の大多数が『国産主力戦闘機』を望んでいる事を示すのが一番でしょう。

『民主主義の総本山』を自認するアメリカが折れざるを得ないとすれば、まさにここです。

積極的にATD-Xの情報を発信し、多くの国民がそのことを知れば、『外国製品の輸入』や『共同開発』という結論を避けられるでしょう。