S-M社会生活能力検査をご紹介します。
 これは、社会生活を送る上でどれくらい成熟しているかを測る発達検査のひとつです。

 1935(昭和10)年のアメリカでドル(Doll,E.A.)によりヴァインランド社会的成熟尺度(Vineland Social Maturity. Scale(VSMS))が作られました。
 「児童が自分自身の生活を処理し、やがて成人として独立にいたるいろいろな活動に参加する能力の発達」を測定するもので、社会生活能力(social competence)がどれくらい身についているかというものです。
 S-Mとは、Social Maturity scale から付けられています。

 1953(昭和28)年の「精神薄弱児の実態」調査のために、三木安正・杉田裕らは、ドルの「ヴァインランド社会的成熟度尺度」を翻案しました。
 1959(昭和34)年に翻案を骨子とした検査データを基に、日本版「社会生活能力検査」が刊行されました。
 1980(昭和55)年に「新版SーM社会生活能力検査」に改訂されました。

 検査対象は1~13歳ですが、知的な遅れがある場合は13歳を超えても適用可能です。
 実施時間は約20分で、子どもに対してでなく、その保護者や教師が検査対象の子どもについての質問に答える形式がとられます。

 質問は
 (1)身辺自立・・・衣服の着脱、食事、排泄などの身辺自立に関する生活能力
 (2)移動・・・自分の行きたい所へ移動するための生活行動能力
 (3)作業・・・道具の扱いなどの作業遂行に関する生活能力
 (4)意志、交換・・・ことばや文字などによるコミュニケーション能力
 (5)集団参加・・・社会生活への参加の具合を示す生活行動能力
 (6)自己統制・・・わがままを抑え、自己の行動を責任を持って目的に方向づける能力
 の6領域、130項目で構成されています。

 検査結果は、社会生活年齢(SA)社会生活指数(SQ)によって表されます。

 質問項目がレベル分けされており、子どもの年齢に合わせたレベルの質問から開始するので、常に130項目すべての質問を行うとは限りません。
 また、該当するレベルで「できない」場合は、徐々にレベルを下げて質問していきます。
 結果として、成熟の度合いが判断されます。

 レベル:
 Ⅰ 6ヶ月 ~ 1才11ヶ月
 Ⅱ 2才 0ヶ月 ~ 3才 5ヶ月
 Ⅲ 3才 6ヶ月 ~ 4才11ヶ月
 Ⅳ 5才 0ヶ月 ~ 6才 5ヶ月
 Ⅴ 6才 6ヶ月 ~ 8才 5ヶ月
 Ⅵ 8才 6ヶ月 ~10才 5ヶ月
 Ⅶ 10才 6ヶ月以上

 項目のレベルまではわかりませんが、130項目の内容が下記のサイトで確認できます。

 S-M社会生活能力検査 日本文化科学社

 実際にお子さんがこの検査を受けられた方のブログ記事がありますので、ご参照ください。

 ふらふらエミーユのぐうたら日記
 社会生活能力検査


:Written by Imaoka