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Ray Bradbury 氏が亡くなった。
SFの巨匠として世界にその名を轟かせた人物ではあるが、
ご存命だったとは知らなかった。
心からご冥福をお祈りいたします。

SFのイメージが強いレイ・ブラッドべり氏ではあるが、
初めて作品に触れたのは上掲の
『とうに夜半を過ぎて』原題”Long After Midnight"という
氏の短編ばかりを集めた作品集だった。

収録された作品はSFに限らず、
幻想的、怪奇的、あるいは、ブラックユーモアにあふれた秀作ばかりだが、
今でも鮮烈に覚えているのが表題作『とうに夜半を過ぎて』だ。

ストーリー
ある夜更け、林の中で首をつった少女の遺体が発見された。
どの警察官もいたいけな少女が死ななければならなかった理由や
取り巻く環境などを考えながら、沈痛な面持ちで
遺体を木から下ろす作業に専念していた。
すると、いたずらな一陣の風が少女のネグリジェの裾を捲り上げ、
下半身が丸見えになった。
少女には長大なものがぶら下がっていたのだ・・・。

最後の一行で、それまでの悲壮感をものの見事に
ひっくり返す技は、これぞ短編という見事なものだった。
これを機にもう一度読み直すことにしよう。

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さて、レイ・ブラッドベリが出れば、この人の名も浮かぶ。
ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』。
タイムトラベラーものとしては古典に入る1956年発表の作品だが、
決して古臭くならず、今でも大変人気の高い作品だ。

冒頭このような書き出しで始まる。
『僕の飼っている猫のピートは、
冬になるときまって夏への扉を探し始める。
家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているのだ。
1970年12月3日、この僕もまた夏への扉を探していた・・・』

これだけでいかに魅力的な作品かがわかるでしょう。
また、猫のピートが作品の魅力を
一層引き立てていることはいうまでもない。
どちらもお奨めの一冊です。
この機会に是非。
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さよなら Ray