高野秀行さんの「謎の独立国家ソマリランド」を読みました! | がんばる地上の星たち!高知と松山のまんなか・仁淀川町

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土佐の山間・仁淀川町(によどがわちょう)の(元)地域支援企画員の日記!

高野秀行さんの
「謎の独立国家ソマリランド」
を読みました!

作家、高野秀行さんはノンフィクション作家にして
誰も行かない所に行く、誰も書かないことを書く
をモットーにしている超絶な方で、これまでの
作品がそれを十分示しているし、私もそのぶっ飛んだ
作品群にのめり込んできましたが、

今回は

ソマリア!
を2009年、2011年と2度の取材を通じての
内容となっている。
まさか、まさか、こんな国があろうかと思った。

ソマリアは「アフリカの角」とも呼ばれるアフリカ東部の
乾いた大地。
国とも呼べないような氏族社会の国だった。

氏族社会?
まさに日本がかつて氏族社会だったような?
そう、戦国時代さながらの血で血を洗う戦闘、略奪のエリアも
あれば、一部では秩序と平和のエリア、まさに徳川幕府時代の
ようなところもあるという、周りから見れば訳の分からない、
混沌極まりない国なのである。

まさにそこに高野さんの求める未知があった!




後書きも含めれば、502ページにも及ぶ長編、大作だ。
こんな分厚い高野本は初めてだ。


高野さんは、この国を大きくは三つのエリアに分けている、というか
実際分かれているのだ。
これがまた、
ありえねー!!


謎の独立国家「ソマリランド」

海賊国家「プントランド」

戦国南部「ソマリア」


アクシデントがまさにビジネスとなっている海賊国家プントランドや戦国南部ソマリアは日本人は理解しがたい恐ろしき世界、海賊が跋扈し、イスラム過激派もいる。
複数の氏族社会と伝統、掟が存在し、あるいは存在もしていない中に存在する。

物語はすべてノンフィクション!
特にタイトルでのと称しているソマリランドは
高野さんの興味の的になり、そのあたりからストーリー(取材)が始まる。

とんでもないソマリアの中で唯一、安全で秩序も保たれた国家を作っているというソマリランド、どうしてそんな国家ができたのか?
そこがまた大きな謎なのであるところを追求しながら、ソマリア全体に話は及び、また、この謎の国がソマリア内での成り立ちは国内の氏族との関係が深いのである。


途中読んでいて、氏族社会のからくり、複雑な関係性や氏名、混乱を日本のかつての氏族名称(例えは平氏、源氏、北条氏など)になぞらえ、読者にも分かりやすくしている点が面白いし、理解しやすい♪


ソマリアに住む人の心情、そういった部分も多く書かれている。
凄い行程と手探りのネットワークから紡ぎ出す取材旅、そして取材能力。
唸りながら、時には笑いながら読める、やはり高野さんの本なのである。


本章の最後のページを読み終えたとき、
ウルッと涙が出た。

感動しましたという単純なモノでもないが、とにかく嬉しくなった。
感謝の気持ちと同時に、こちらも元気になれる本だ。


これまた、多くの方に推薦する本の1つです!m(_ _ )m


SEE YOU!