ヤコブへの手紙 [DVD]/カーリナ・ハザード

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ミニシアター系の外国語映画で、思いがけず素敵な映画と出会うことがありますが、正にこの作品がそうですね。 映画館で観たかったと思える感動作でした。 2009年フィンランド作品(日本公開は2011年)。

服役12年目にして突然恩赦を与えられた終身刑の女性レイラ。 出所したものの身寄りのない彼女は、不本意ながらも所長に勧められた盲目のヤコブ牧師のもとで住み込みで働くことに。 ヤコブ牧師のもとには毎日多くの相談の手紙が届けられていた。 レイラの仕事は、その手紙を読み上げ、ヤコブ牧師の返事を代筆するというもの。 しかし心の荒んでしまったレイラは、そんな簡単な仕事にも身が入らず、手紙の束を勝手に捨ててしまう始末。 そんなある日、毎日必ず届いていた手紙が、一通も来なくなってしまう。 思いがけない事態に、自分でも意外なほど落胆してしまうヤコブ牧師だったが。(allcinemaより抜粋)

出演者はほとんど3人で、75分と短い映画だけれど、そこにこの映画の良さが凝縮されているように感じました。 レイラが犯した罪とは何なのか、何故恩赦が認められヤコブ牧師のもとへ来ることになったのか、それは何も語られません。 そんな中、郵便配達員は毎日やってきて、ヤコブ牧師は救いを求める人のために祈り、レイラは返事を代筆する日々が続きます。 その後、今までたくさん来ていた手紙がほとんど来なくなってしまうんですよね。 そこから、この映画は目が離せなくなるんですが、観てない方には是非ネタバレなしで観ていただきたいので、あまり詳しく書かない方がいいですね。 ただ、この映画を観て、強く感じたことは、人は誰かに必要とされることで生き甲斐を感じることができるということ。 ヤコブ牧師、レイラ、それぞれ生き方は違っていても、生きるために必要な根本は同じなんだと思いました。 レイラの心の壁を取り払ったのは、ヤコブ牧師が彼女に何気なく言ったひと言だと勝手に解釈しているんですが。 その後、手紙が届かず落胆する牧師のためを思い、レイラと郵便配達員がしたことで、彼女自身の真実を知ることになります。 宗教など関係なく、人と人との繋がり、誰かに求められていると感じること、それがどれだけ大切かを実感させられる傑作です。 終盤は涙なくしては観られませんでした。 

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ヤコブ牧師の家と庭、郵便配達員がやってくる道、物語のほとんどがそんな景色の中で展開します。 古ぼけていて雨漏りがしたり、手入れも行き届いてない庭にもかかわらず、とても美しくて、心が洗われるようでした。