$雑食食堂


★★★☆

社会現象を巻き起こした庵野秀明監督によるオリジナルアニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」(1995~96)を、新たに4部作で描きなおす「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ第3作。ミニチュア特撮短編「巨神兵東京に現る 劇場版」が同時上映。(http://eiga.com/movie/57115/から)


とんでもない映画だった。
『破』の続編のつもりで観に行ったら(いや実際続編だが…)、あまりの情報量の多さに、「自分がどう感じたか」よりも、ただ目の前で起こっている状況を理解する(理解出来ないまま過ぎ去っていくシーンも……)ことに精一杯だった。

バルト9で行われた、世界最速上映で本作を観に行ったが、これはあともう一回観に行くと思う。
「面白過ぎるからまた観たい!」というよりはただ単に作品の内容が整理し切れていないからなのだけど……

「映画.com」の大変分かりやすいあらすじをいつも引用させてもらっているが、ご覧のように本作に限っては一切本篇の内容に触れていない。
『破』はまだシリーズ未見の人でも、娯楽作品としてすんなり入り込める作りになっていたが本作は完全に一見さんお断り。というかシリーズを通して見ていても難解に感じる人がほとんどだと思う。

以下ネタバレ込みの感想です。


まず作中のキャラクターのやり取りを見ていると、本作は『破』の時間から14年が経っている(!)らしい。
しかしエヴァのパイロットは(アスカの言葉を借りれば)「呪縛」によって年をとらないまま、エヴァに乗り続けている。

ここで驚きなのがネルフは『破』のラストで起こった(とされる)、ニアサードインパクトが原因で解体されてしまっていること。
そしてミサトさんをリーダーに、ヴィレという組織が構成され、彼らはゲンドウ率いる(といっても後の構成員は冬月先生しかいないが……)ネルフと敵対していると言う超絶展開。

ヴィレはフォースインパクト起こそうとしているネルフを食い止めるため、エヴァ初号機を動力にした(間違ってたらすみません)空飛ぶ船に乗って戦っている。アスカとマリはヴィレの人間だ。

ヴィレには懐かしのオペレーターに加えて新キャラも何人かいる。冒頭でヴィレの人間である少女が出てくるがこの少女はトウジの妹だ。14年経っているので見た目はシンジよりも年上。

…といった情報がギチギチに詰められたのが冒頭30分程。脚本、映像全てが完全に新作映画になっていたので観ていた人は茫然としていただろう。僕も気付かぬうちに口を半開きにしていた。

シンジは観客同様、浦島太郎状態のままヴィレに保護されるが、サードインパクトを引き起こした前科があるのでエヴァにだけは乗らないでくれと冷たく言われる始末。
それに癇癪を起こし、綾波の乗る8号機に連れられネルフへ行く。そこには相変わらずピアノを弾いているカヲル君が……

情報量が前2作よりも格段に多いのに、上映時間は2作よりも短い。
そのため色々と台詞で状況を説明してしまうところが多かったなと思った。

戦闘シーンも対立している組織が組織なだけに、エヴァ同士の戦いというドリームマッチを見せてくれるが、前作ほど爽快感は無かったかなと思う。

各キャラが繰り出す台詞も状況が差し迫っている事もあるのだろうがやたら難解&意味深な台詞が行き交う。新劇から入ったファンは相当ふるいにかけられたと思う。ただ『破』のラストのセリフを考えると本作の展開に引っかかる部分があったり、本作でのアスカのさりげなく言った一言も今後のさらなる超展開を勝手に想像してしまう。


まぁどうしようもなく続きが気になってしまうのも確かな事実。来年公開の続編を静かに待ちたい。