日曜日。会社員Aさんとの初デートの日だ。
待ち合わせは12時、銀座三越前で。
やばい!!遅刻する!
銀座駅の改札を出た私は、ハイヒールの足音を高らかに響かせて地下街をダッシュしていた。
今朝の私は、もともとの低血圧に加えて昨日のKさんとのデートが尾を引いていて、かなりテンション低めだった。
案の定、身支度にも気合いが入らずノロノロしていたせいで、電車に乗り遅れてしまったのである。
10分ほど遅れて待ち合わせ場所に着いた。
…あ、あの人だ!
今度は写真そのものだったからすぐにわかった。
「…す…すみません遅れました…山中です」
ハァハァと肩で息をしながら彼と目を合わせる。
少し下がった目尻、少し下がった眉毛。
優しそうな人…というのが最初の印象だった。
「ハイ、大丈夫ですよ。昔は遅刻とか許せないタチだったんですけどね。35過ぎると人間柔らかくなるみたいでね」
彼は人の好さそうな笑顔で言った。でも…
そうか…昔は遅刻とか許せないタチだったんだ…。
わざわざそれを言うってことは、実はいまも許せないんじゃないの?その笑顔の下で本当は怒っていたりして…
( ̄_ ̄ i)
思わず疑心暗鬼になる私である(やっぱりKさんとのデートが尾を引いている?)。
Aさんは外資系コンサルティング会社を経て海外に留学し、昨年帰国したばかりだと言う。
外資系の人って時間にウルサイよね。しかも結果が全てっていうか冷徹な感じするし…。
※外資系の人に対する偏見。すみません
この人、ホントはすごく冷たい人だったり…しないかなぁ?
「ランチ、僕のオススメの店でいいですよね?」
「えっ…あ…もちろんです。お願いします!」
そして着いたのは、窓から和光の時計台が見えるイタリアンレストランだった。
「うわぁ!オシャレなお店ですね!
≧(´▽`)≦」
「僕も一度しか来たことないんだけどね」
そして20分後…。
「そうなんですよ!マジ、飛び込み営業って大変ですよ!死ぬかと思いましたもん!」
「そうなんだ~1日に名刺100枚ゲットって、それスゴイよ!きららさん、根性あるね!」
「でっしょ~!?足の裏にマメができて、それがつぶれてハイヒールの中が血だらけになったんですよ!信じられます!?」
「うわぁ!体育会系だねえ!
Σ(゚д゚;)」
気がついたら、私が飛び込み営業の武勇伝を語りまくり、それにAさんが相槌を打ちまくり…。
すっかり私の独壇場であった。
この人…元・外資系だから冷たい人かもって心配だったけど…
なんて面白そうに私の話を聞いてくれるんだろう。
なんだろう、この安心感…。
まるでずっと昔からの友達のような…
いや、まるで血のつながった従兄のような。
ドキドキとかは全っ然しないんだけどね!
2時間ほど経って、私たちは店を出ることにした。
「僕、乗馬が趣味なんだけど、次回は良かったら馬に乗りに行きませんか?」
「馬!?私、馬、大好きですよ!牛と馬どっちが好きって言ったら、確実に馬ですね!」
「アハハ、なんで牛と比べるの!僕も馬の方が好きだけどね!」
ってなわけで、次回は乗馬デートに行くことが速やかに決定した。
恋につながるかどうかはともかく、とっても楽しみ
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