『巨象東芝』 このまま、崩壊へと
      突き進むことになってしまうのか!?


 東芝社員19万人、さようなら…
実はさらに1兆円の「隠れ損失」が!


  銀行団に見捨てられて、 ジ・エンド、、、


  現代ビジネス  2/22(水) 8:01配信


東芝
写真:現代ビジネス


 昨年末に発覚した巨額損失で追い詰められた東芝。 経営陣が資金繰りに奔走する様子が日々報じられている。 だが、パンドラの箱はまだ開いたばかり。 これから待ち受ける現実は、あまりに厳しい――。


どんなに巨大企業であろうと、経営陣が判断を間違えてしまうとその企業の存続も脅かすような事にもなる。 企業買収を行うまえにあらゆる手段を使い、十分な情報収集することを怠ってしまうと、今回の様な事態を招いてしまうことがある。 買収される側の企業は情報を隠す!
 
それによって少しでも高く売ろうと策略をめぐらすという事を踏まえておかないと、買収後にどの様な爆弾が姿を現すか。 SHARPが台湾の鴻海と買収劇を繰り広げたように、SHARPが正直に情報を提供するというのは極稀なケースである。 何よりも重要なのは情報である。(にゃー)  


東芝株を売り払え
 原発事業を手がける米国のグループ会社・米ウェスチングハウス社 (WH) をめぐって、最大7000億円にものぼる巨額損失の計上を迫られている東芝が、いよいよ追い詰められている。

 これまで東芝の資金繰りを支えてきた銀行団が、「最悪の事態」 に備えて、水面下で準備を始めていたのだ。

 「東芝の主力行のひとつであるみずほ銀行が、融資先への判断基準となる債務者区分において、東芝を 『正常先』 から 『要注意先』 に降格させたとの情報が駆け巡っています」

 こう語るのは、大手外資系証券のアナリストだ。


東芝
〔PHOTO〕gettyimages

 「要注意先というのは、融資を回収できないリスクがあるため、文字通り 『注意を要す』 べき取引先とみなしたということ。 言い換えれば、みずほは東芝への融資が回収できなくなる 『最悪の事態』 を警戒し始めたことを意味している。 この情報が駆け巡るや、マーケットは騒然として、株式市場では一時、『東芝売り』 が殺到しました。

 みずほ側は東芝を要注意先としたことで貸し倒れ引当金を積む必要も出てくるので、いよいよ東芝融資に絡んだ損失も現実化しかねない。 当然、みずほと歩調を合わせて、他行が同様の動きに出る可能性もあり、東芝に融資する銀行団の間では緊張が高まっている」

 表向きは 「協力」 姿勢を打ち出しているみずほが 「撤退の準備」 を進めているのだとすれば、その衝撃は計り知れない。

 追い打ちをかけるように、東芝に1000億円以上の巨額融資をしている三菱UFJグループでも、「東芝切り」 とも見られかねない動きが出始めている。

 「グループの一角を占めるモルガン・スタンレーMUFG証券が、この年末年始にかけて東芝株の空売りを仕掛けていたことが判明しました。 それも、東芝の巨額損失リスクが急浮上してきた直後から、空売りを仕掛けていたのです。

 それだけではなく、今度は同グループの三菱UFJ信託銀行が、一昨年に発覚した粉飾決算をめぐり、『東芝の株価下落で投資家から預かった資産が大幅に目減りした』 と、3月にも東芝に対して十億円規模の損害賠償請求を起こすと言い出した。

 すでに東芝が瀕死状態であることは重々承知のうえで、回収できるものはなるべく早く回収しておきたい……そんなホンネが聞こえてくるようです」
  (前出・アナリスト)

 東芝の主力行は三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の3行だが、他にも前出の三菱UFJをはじめ生保、地銀まで含めると取引金融機関数は約80にも及ぶ。

 当然、それら全社の足並みが揃うわけもなく、「すでに各社の方針の違いは出てきている」 と取引行の幹部は明かす。


 「というのも、東芝への融資が 『無傷』 で済むわけがないと考えているからです。 そうなると問題は、『誰がどこまで傷を負うのか』。 もちろん、最悪の事態になった場合、一番傷を負うのはメインバンクというのが業界の常識ですが、経営盤石ではない地銀の中には、わずかの損失リスクでも負いたくないところがある。

 しかし、そうして金融機関の足並みが揃わず、支援スキームが決まらない状態が長引くほど、東芝の経営がより悪化していくという悪循環にもなりかねない。 今、そのジレンマに金融機関の幹部たちは頭を抱えている」


 銀行団は当面、2月14日に東芝が発表する原子力事業の損失額や今後の再発防止策を確認したうえで、3月以降に 「本当に東芝を助けるべきか」 を決定することになる。
本誌は、メインバンクの 「本心」 を聞くべく、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長を自宅前で直撃した。

 「我々のスタンスはもう決まっています。 東芝は日本にとって大切な会社。 メインバンクのひとつとして東芝を支えていく。 これに尽きます。 これは (同じくメインバンクの) 三井住友銀行さんもまったく同じです」

 東芝支援に向けて銀行団が一枚岩であることをアピールする佐藤社長。 だが、果たしていつまでその覚悟を持続できるだろうか――。


次の「爆弾」もアメリカ
 実は東芝をめぐっては、原発事業以外にも、新たな巨額損失を生みかねない 「大型爆弾」 が存在している。

 それは、東芝が米国で手掛ける液化天然ガス (LNG) 事業。 これが最大で、「1兆円」 という途方もない額の損失リスクを抱える火種となっているのである。

 いったいどういうことなのか。


東芝
Photo by GettyImages

 東芝が米テキサス州にあるLNG事業会社と、’19年以降20年間にわたって毎年220万tのLNGを調達するという契約を締結したのは、’13年のことだった。

 「日本の電機メーカーがLNGを取り扱うのは異例のこと。 220万tという取引量の大きさもあって、当時から業界内では話題になっていました。

 東芝経営陣は、『LNGの供給と発電効率の良い新たな火力発電設備の建設をセットで受注すれば、大きな利益を上げられる』 と契約のメリットを説明していたが、『そんな量を引き受けて、捌くことができるのか』 と疑問視する声は会社の内部でも少なくなかった」
  (東芝関係者)

 そして 「不安」 は、見事に的中。 契約締結後に石油価格の下落が続いたのにともない、米国産シェールガスの価格は一気に割高になってしまった。

 「’13年当時、電力不足に対応するため東京電力などが新しい火力発電所の建設計画を進めており、そうしたところが発電の燃料としてLNGを引き取ってくれるはずだと楽観視していた。

 しかし、フタを開けてみれば販売交渉は難航。 東芝は慌てて国外での引き取り手を探したが、アメリカやオーストラリアで増産が続くLNGは世界中で供給過剰の状態で、買い手はなかなか見つからない。

 いまも状況は好転しておらず、最近では、東京電力ホールディングスと中部電の合弁会社で火力発電向けの燃料調達などを手がける 『JERA』 に泣きつき、販売支援の契約を取りつけたばかり」
  (前出・東芝関係者)

 要するに、完全に見通しを誤ったのだ。


「上場廃止」へまっしぐら
 実は、東芝はこのLNG事業のリスクについて決算資料にひっそりと記載しており、そこには 〈天然ガスを当社都合により一切引き取れなかった場合〉、20年間の 〈想定最大損失額〉 は 〈9713億円〉 ――つまり、将来的に約1兆円の巨額損失リスクがあると東芝自体が認めているのである。

 原子力関連の7000億円に、LNGの1兆円。 それらがともに弾ければ、「巨象」 の東芝であっても足元から崩れ落ちてしまうことは誰にでも容易に想像がつく。


東芝
〔PHOTO〕gettyimages

 むろん、そうした危機的状態にあることは東芝自身が一番よく分かっていること。 東芝経営陣はいま、何が何でも資金繰りを回していくための対策に血道を上げているが、実はその 「財務対策」 をめぐっても、東芝の前途にはさらなる難題が立ちふさがる。

 「まず、東芝は粉飾決算事件の責任を問われ、東京証券取引所から 『特設注意市場銘柄』 に指定されているので、市場から広く資金を調達することができません。 さらに、この3月からは 『監理銘柄』、つまり 『いつ上場廃止になってもおかしくありません』 と投資家に注意を喚起するためのポストに入れられることが決まっている。

 今後、東芝が提出する報告書を東証が審査するのですが、ここで 『東芝は変わっていない』 と判定されれば、上場廃止が正式に決まる。 そうなれば、株式市場からの資金調達ができなくなる」
  (東芝の内情に詳しい経済ジャーナリストの磯山友幸氏)

 東芝にとって絶対に避けたいシナリオだが、「上場廃止」 に追い込まれる可能性は日に日に高まっている。

 「市場関係者の間でも少し前までは 『さすがに東芝は上場廃止にできない』 という声が強かったのですが、いまや 『待ったなし』 という見方が大勢になってきています。

 仮に上場廃止を逃れられたとしても、まったく安泰ではない。なぜならWHの問題は、一回減損すればそれで終わりというわけではなく、原発が完成するまで建設コストが膨らみ続け、減損リスクが続く 『アリ地獄』 のようなもの。

 いくら資金を捻出しても、再び減損となれば一気にそのカネも吹き飛んでしまう、最悪の状況です」
  (前出・アナリスト)

 刻一刻と瀬戸際に追い詰められている東芝にとって、当面の資金繰りを回すためにできるのは、事業や保有資産の 「切り売り」 くらいしかない。 実際、いま東芝は虎の子の事業である半導体メモリ事業部門の 「分社化」 を進めている。

 「スマートフォンの記憶媒体などに使用され需要が急伸し、高い競争力を持っている 『稼ぎ頭』 を本体から切り離して新規上場させ、外部からの資本を募ることで資金の獲得を目指すという目論見です。

 ただ、東芝は半導体メモリ事業部門を完全に手放すつもりはなく、新会社に対する外部資本の受け入れは最大でも20%程度までに抑える方針。 これでは、購入先が思うように会社をコントロールできずメリットが少ないため、あまり高い値段はつかない」
  (全国紙経済部記者)


もう売れるものがない
 しかも、’15年の粉飾発覚以降、東芝はこれまでに医療・家電などの主力事業や閉鎖する工場の土地などの資産を切り売りしていて、その売却資産の総額はすでに1兆円にのぼる。

 今回ついに半導体メモリ事業まで手放すことになれば、東芝にはもう、「売り物」 がほとんど残されていない状態になってしまう。

 「残りの上場子会社は、売上を東芝グループ内部に依存しているところが多く、切り売りしても買い手にとっての旨味はあまりない。 ましてや、東芝エレベータなどの非上場子会社になると、売却できたところでたかが知れている。

 それとは別に、東芝が保有する鉄道やテレビ局をはじめとした上場企業の株式をすべて売却したとしても、500億円にも満たない。 これでは、『焼け石に水』 です」
  (前出・東芝関係者)

 損失のあまりの大きさゆえに、持てるすべてを差し出したとしても自助努力での再建は不可能。

 もはや、東芝には銀行に泣きつき、金融支援などの救済措置を求める他に手はない。
だが頼みの綱の銀行団も、沈みゆく巨艦から逃げ出す兆しを見せ始めているのは、冒頭説明したとおり。

 銀行団からすれば、みずから 「手を引く」 ことが東芝崩壊のトリガーとなれば、グループ全体で19万人にもなる社員とその家族を路頭に迷わせ、日本経済に大ダメージを与えた 「戦犯」 として批判されかねない。

 さりとて、どんなに資金的な余力のある銀行でも、一企業に注入できる資金には限りがあり、どこかで 「見切り」 をつけなければ、今度は自分たちの経営が危うくなる。

 「工期が大幅に遅れている中国での原子力発電所建設工事の収益性の悪化や、’11年に買収したスイスの電力計メーカーの業績の不透明さなど、東芝にはまだまだ多くの損失リスクが待ち受けていて、いつ、どこから次の火が噴いてもおかしくない状態。

 深入りすれば致命的なダメージになる。 銀行が決断するなら早いほうがいい」
  (前出・取引行幹部)

 日本を代表する巨大電機メーカーが 「消滅」 する日が、刻一刻と近づいている。


 「週刊現代」2017年2月25日号より

   週刊現代



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  最終更新:2/22(水) 8:01


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