小学生の頃、毎月『少年少女 世界の名作文学』という本が一冊づつ届いていました。
本好きの父が、定期で購入してくれて、毎月、毎月届く本が楽しみでした。
小公子 レ・ミゼラブル 若草物語 三銃士 車輪の下 赤毛のアン etc…
夢中で読みましたが、どうしても頭に入らなかったのが「ファーブル昆虫記」。
でもせっかく買ってくれたのだし…と文字だけ追っていました。
教室に『学級文庫』というのがあり、各自が本を持ち寄り貸し出すのです。
私が借りたのは、サトウハチロウの『おかあさん』。 ちょっと気になっていたハルオ君の本だったから!
ハルオ君が触った。それだけで、ワクワクでした。
口の中に2本指を入れ、左右に引っ張りながら『学級文庫』と言うと
学級ウンコになります。 弟にそれを言わせてからかっていました。
今さらですがごめんね。
山形の実家へ帰ったとき『走れメロス』の本を見つけ、読み返してみました。
友の命を救うためにひたすら走り続けるメロスの姿に、
当時、ドキドキしながら手に汗にぎり読みました。その興奮ははっきりと覚えています。
文章の所々に鉛筆で線が引いてあります。
「人の心は、あてにならない。人間は、もともと私欲のかたまりさ。」
「一番嫌いなものは、人を疑うことと、それから、うそをつくことだ。」
「友と友のあいだの信実は、この世でいちばん誇るべき宝なのだ。」
中々、渋いところに線が引いてあります。
当時小学生だった私は、何か悩んでいたのでしょうか…?
今 読み返し、あの時のようにドキドキしたり、興奮することのない自分が
少し寂しくもあり…