[東京 29日 ロイター] 好材料が乏しいなかでリスク選好が続いている。ギリシャ債務問題に新たな進展がみられたわけではなく、米マクロ指標もさえなかったが、原油価格下落のプラス効果期待が継続しているという。反転上昇の動きを強めてきた米金利の動きも注目されている。

 ただ米ISMや中国PMIなど「重量級指標」が悪化すればセンチメントは再び悲観に振れる可能性もある。6月末に中間決算をむかえる海外投資家が株式などにドレッシング的な買いを入れているとの観測も出ており、反動も警戒されるという。


  <米経済指標悪化でも株価は上昇>


 米市場は悪い経済指標に反応が鈍くなってきている。6月の米消費者信頼感指数は11月以来の低水準となり、雇用環境も悪化していることが示されたが、米ダウは145ドル高、米長期金利は上昇した。28日の海外市場で原油価格は上昇したものの、1バレル=93ドル前後と落ち着いていることから「財政政策や金融政策の打つ手が限られるなかでインフレ抑制や消費刺激の効果が期待される」(T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏)という。


 米債市場では、2年債入札に続き5年債入札で最高落札利回りが市場の水準を大きく上回ったほか、 応札倍率は2.59倍と、5年債入札としては2010年6月以来の低水準となった。「安全資産への逃避」が一時的にせよ転機を迎えている可能性がある。米景気減速をある程度織り込んだことで、「ポジティブサイドに市場の関心が向かいやすくなっている」(外資系証券ストラテジスト)。


 ギリシャの債務問題に大きな進展がみられたわけではないが、海外市場では緊縮財政策可決の楽観的な見方が広がった。


 ただ、こうしたリスク選好は6月末にむけての思惑的な動きにすぎないとの見方もある。「6月中間決算のヘッジファンドや欧米ペンションファンドが株式にドレッシング買いを入れている可能性がある。国内でも株主総会が終わるまで持ち合い解消売りを控えている企業も少なくない」(準大手証券投資情報部)という。このため7月以降の反動も警戒されている。


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