殺人ユッケ問題 責任はどこへ | RE:SUKI

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考えましょう

「焼肉酒屋えびす」でユッケを食べた男児2人が死亡(砺波店4月27日・福井渕店4月29日死亡)したのですが、5月4日、さらに40代の女性が死亡しました。そして5月5日、亡くなった40代女性の家族である70代の女性が死亡しました。この事故での死者は4人となりました。

(経緯)
・4月23日 40代女性 「焼肉酒屋えびす」砺波店で家族5人と食事
・同日 70代女性 同店で家族5人と食事(40代女性と家族)
・4月26日 70代女性 腹痛と下痢の症状(27日入院)
・4月27日 40代女性 血便などの症状 → 病院へ 
        HUS(溶血性尿毒症症候群)を発症
・4月30日 40代女性 意識不明に
・同日 70代女性 HUS(溶血性尿毒症症候群)※を発症
・5月4日午前11時頃 死亡
    ①女性から「O111」と「O157」は検出されていない
    ②家族も同様の症状で入院
・5月5日午前 70代女性 死亡
    ①O111が検出
    ②家族のうち2人が入院中

※hemolytic uremic syndrome
急性腎不全・慢性腎不全の原因・溶血性貧血・O157など大腸菌が原因


治療も追い付かず亡くなる進行の速さに驚きました。4人の死者を出したチェーン店運営会社「フーズ・フォーラス」の勘坂康弘社長が先日会見を行いましたが、生食用以外のユッケの流通を国が停止させよと大きな声で叫んでいました。問題はその点にもあるのかもしれませんが、死亡事故での会見で、自社を擁護するための発言を大声でしているようで非常に不可解でした。しかし次の会見ではかなり弱気になり、というか前回の会見と比較すると非常に「嘘くさい」会見が行われたそうです。

■ユッケによる集団食中毒で死者4人目 社長が謝罪


■【ユッケ食中毒】 逆ギレ社長会見から一転 この変わり様
http://www.youtube.com/watch?v=ZkBSQN2SDfk

■前回の会見では… 「ユッケ大好き」
http://www.youtube.com/watch?v=kzY1JgVeTWc


この「フーズ・フォーラス社」の作成した調理マニュアルには以下のように書かれていました。

・ゴム手袋の着用
・カットした肉は冷蔵庫へ
・肉はラップで巻き曜日シールを貼り冷蔵保存


同チェーン店のアルバイト、もしくは正社員が調理をしている様子を撮影した映像がありますが、このマニュアルが現場に生かされていなかったことが分かります。

■酷イイ話「焼肉酒家えびす」 食中毒は起こるべくして起こった?証拠映像


店舗側にも問題はあったようです。菌の繁殖を防ぐための行動が録画されているにも関わらず行われていないことから、日頃の営業での調理方法がどのようなものであったのか想像ができます。しかし、これだけのことで事件が発生したと考えるのなら、実際はもっと多くの場所で同じような被害が出ていても不思議ではない気もします。

チェーン店で働く従業員の男性の証言から別の問題も見えてきます。

「ユッケのお肉とマニュアルにも書いてあったし、ただ私たちは信じてやっていた」「生の食材に関しては48時間というおおまかなルールがあって、前の日の残ったものも、ちゃんと冷蔵保管して菌が繁殖しないように保管した上で次の日も使用している」

■従業員「48時間以内なら大丈夫だと」
http://www.youtube.com/watch?v=ayKiZN-RgMQ

肉の細菌検査などはしていなかったが、開封から48時間経過した肉はユッケとして提供しなかったということです。ビニールに密閉された肉の「開封後48時間」というルールのベースとなるものがないことは想像できますが、現場では従業員の話す「おおまかなルール」を基本として衛生・鮮度などの管理が行われていました。間違った認識に対し何も疑問を抱いていなかったわけです。

杜撰な管理体制が事故を発生させた一面ではあるのですが、現在、どこで菌が繁殖したのかなど詳細は調査中です。考えられるポイントは2つあります。

①「フーズ・フォーラス」(勘坂康弘社長)
 「業者からはユッケにも利用できる肉だと説明を受けていた」

②東京都板橋区の食肉販売業者「大和屋商店」 (長田長治社長)
 「ユッケ用としてではなくあくまでも加熱用の肉としてチェーン店に販売した」

「大和屋商店」から「フーズ・フォーラス」に送られた、5年前の電子メールがあります。2009年5月20日の13時55分に送信されたこのメールには、「ユッケ用のサンプル」という文字があります。「社員とサンプルテストしましたが、どの部位をたべてももんだいは無く感じました。」と書かれ、使用される肉は、ホルスタインの経産牛(子供を産んだ牛)ではなく、国産和牛の経産牛と書かれています。事実ならば発言に矛盾も。

RE:SUKI-1
(画像クリックで拡大)

この電子メールが事実であるなら、生食用で販売された肉であることが分かります。問題はこの業者が汚染された肉を使用していたか、「フーズ・フォーラスの食材使用状況に問題があったということになるわけです。後者は従業員の発言や映像などから明らかですので、前者での調査が最大のポイントとなります。

いずれにせよ、「焼肉」という国民の多くが楽しむであろう食事の中で起こった恐怖の事件に、世間は震えています。命を奪った「殺人ユッケ」の正体が明らかになる日が来ることを望むと同時に、現在も意識を失い治療を受けている方の早期回復や亡くなった方のご冥福をお祈りするしだいです。

「フォーラス」の意味は"For Us " 「私たちのために」という意味です