「ジャゴヴォナカ、ジャーンゴッ!」
パッション溢れる吉川唄法で放たれた濁点多めの魔法の言葉が、家庭の団欒の時間に響き渡った。
森永製菓のアイスクリーム『チョコモナカジャンボ』のCMに出演した吉川は、自身の逸脱し過ぎたキャラクター性を過剰に表現する、というメタ・スタイルで商品とコラボレーションして魅せた。
「サムライ・ロック!」
動きは静かに眼光は鋭く、黄桜『辛口一献』のシャープな辛口を引き立たせる姿は、チョコモナカジャンボとは違ったベクトルだ。
吉川のCM出演は、あまり多くはない。
「好き、嫌い、理解不能」の明瞭な存在であるが故に、広い層に訴えかけることが命題とされる場合の多いCMでは起用が難しいのだろう。
しかし、今までのいくつかのCM出演では、吉川は大きなインパクトを残している。
恵まれた体躯を活かしてのムーヴや、40代を向かえてますます磨きのかかる大人のオスの色気、そしてチョコモナカジャンボCMでも見られた意識的なメタ・スタイル。
どの時代も強烈な、吉川CMの変遷振り返ってみよう。
【1】80年代:躍動感溢れる若さ
80年代デビュー当時の吉川CMは、スタイリッシュな若者というイメージを躍動感のある動きで表現したものが多い。
現在の「シンバル・キック」にも通ずる打点の高い旋風脚やアクションは、まさに80年代吉川シンボル的なCM。
海外をイメージした風景が多かったのも、吉川がデビュー当時から日本という国に小さく収まらない存在であったことの表れであろう。
●グリコ「カリフォルニア・バー」
●KDDI「TEL ME」
【2】現在:大人の渋味
嬉々として鍋を振り料理をしたり、和服に身を包んで日本酒を飲んだり、ファンタジックな楽団の指揮者となったり。
大人のやんちゃな色気を、全身と視線で表現する、40代オーバーの妙技。
●広島ガス「ガ流でいこう」
●黄桜「辛口一献・これぞ本流」
●サントリー BOSS SILKYBLACK
【3】メタ・スタイル
20年を超える活動期間があるからこそ、自身のキャラクター性をメタ的にパロディ化して見せることも芸とできる今の吉川は最強かもしれない。
●アサヒ「WONDA」 Don't stop 止まらない駅員
●森永アイス「チョコモナカジャンボ」