【今週のシナリオ】
「999人の(ほぼ)裸の男女が、ロンドンの市街を行進!」
こんな見出しを新聞や雑誌、ニュースで見れば、誰もが思わずその内容を
知りたくなってしまう。そして、家族や友人に話したくなること請け合い
だ。
実際にこの衝撃的なイベントが、先日3月15日の日曜日に、イギリスは
ロンドンで行われ、メディアや人々の注目を大いに集めた。
クローバー型の水着(下着…というよりもただの「覆い」)を身につけた
男女約1000名が、ロンドンのアルバートエンバンクメントからロンドンEye
までテムズ川に沿って、大行進したのだ。
このルートには、ビッグベンなどのロンドンの観光スポットが点在し、
ロンドン市民のみならず多くの観光客もこのイベントの目撃者となった。
ではこの、「ほぼ裸で行進」イベント(笑)。一体誰がどんな目的で実施
したものだったのだろうか?
イベントを仕掛けたのは、アイルランドの航空会社「Aer Lingus(以下:
エアリンガス)」。
同社は1936年設立の、アイルランド共和国の航空会社。ダブリンに
本社を置き、所有航空機数は30機以上。ヨーロッパ各都市を
中心に、その他中東、アメリカに航路を展開する。格安運賃でのフライトを
提供する航空会社のひとつだ。
ちなみに、「Aer Lingus」とは古代ケルト語で「Flying Ship(空飛ぶ船)」
を意味し、コーポレートカラーはグリーン、機体の尾翼にもデザイン
されているシンボルマークは「Shamrock(クローバー)」だ。
今回のイベントは、同社がロンドンのGatwick空港からヨーロッパ各都市への
新しい8路線の就航をプロモートするために企画されたものだ。
今回の新しい8路線は、「£9.99ぽっきり=£9.99 fares with no hidden
extras」からという価格の安さを最大の売りとしている。
しかし、ヨーロッパでは、日本以上に航空規制が緩和されており、数多くの
格安航空会社がしのぎを削っている。そのため、各航空会社ではさらなる運賃の
引き下げ、サービスの向上、顧客獲得のためのプロモーション活動に創意工夫を
凝らしているのが現状だ。
今回の運賃設定は、確かに安い。しかし、新しい商品と「エアリンガス社」に
たいして人々やメディアの注目を集めるためには、「もっと劇的な仕掛け」が
必要だと、同社では考えたのだ。
ちなみに同社のスポークスマンも、下記のようにコメントしている。
「弊社が、「エアリンガス=格安!」の方向へ、さらに舵をきったことを、
社会に広く認知し、エアリンガスの知名度と理解度を向上させなくては
なりません。そうすることで、Easyjet(イージージェット)や Ryanair
(ライアンエアー)(=競合他社)と十分に戦っていくことができるのです。」
そこで同社では、ロンドンに拠点を置くPR会社、「Golley Slater」と組んで、
今回の 「ほぼ裸で行進」イベントの実施を決めた。
イベントの実施に際し、まずはSNSサイト、Facebook・Twitterを通してイベントに
参加してくれるパフォーマーを一般から広く募りながら、その告知をスタート
させた。
これら2つのSNSサイトを通じて、2000人を超えるイベント参加希望の登録者があり、
その中から999人が選ばれた。
イベント参加者へのお返しも準備されていた。
同社は、参加パフォーマーに対して、ガトウィック空港から今回就航する、
8つの新しいヨーロッパの目的地へのフライト(2航路)を無料提供したのだ。
このように、人々の情報共有、口コミのプロセスを通して、イベントへの注目度が
高まり、またひいてはエアリンガス社への関心を喚起することに成功した。
そしてイベント参加者のコスチュームは…、「Shamrockモチーフの水着」。
水着ではあるが、クローバー型の覆いと紐のみのコスチュームであるため、
パフォーマーの実態はといえば、ほぼ「裸」に近い状態だった。
同社のシンボルマークにもなっているこの「Shamrock」は、アイルランド語で
「緑の若い牧草(クローバー)(seamrog)」を意味し、アイルランド共和国の
国花であり、商標登録されている。
■イベント時の写真や動画は下記リンクから
※イベントの模様を撮影した動画(Youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=UljflXbzyS8
※Herald IEに掲載された記事
http://www.herald.ie/national-news/time-to-take-off-your-clothes-for-new-aer-lingus-offers-1674399.html
※イベント時のパフォーマーの写真が見られるブログサイト
http://rashmanly.wordpress.com/2009/03/24/i-was-just-plucking-clovers-for-luck-officer/
1000人もの老若男女がこんな姿で、東京の街(たとえば銀座)を大行進したことを
想像してみてほしい。
いかにその「話題性」が高いものになるか、想像に難くない。
また、イベントの実施されたタイミングも有効だった。
イベントが実施されたのは、「聖パトリックデー」直近の日曜日。
「聖パトリックデー」はアイルランド共和国の祝祭日。
432年にアイルランドの聖人である聖パトリックが、『シャムロックの葉が3つに
分かれているのは「三位一体」を表しているのだ』と説明し、キリスト教を布教した。
それに由来し、 聖パトリックの命日である3月17日が聖パトリックの日 と呼ばれ、
シャムロックを胸に飾るか、緑色のものを身に付けて祝うようになった。
現在では、アイルランドだけでなく、諸外国へと広がりを見せている。ここ東京でも
毎年表参道でパレードが大々的に開催され、シャムロックモチーフの装飾物・広告物
を街中やアイリッシュパブなどで目にすることも多い。
もちろん、イギリス(ロンドン)でもこの時期には、シャムロックモチーフを
多く見かけることになる。そのため、人々の「シャムロック」「アイルランド」
に対するセンサーは、普段よりも感度が高く、「旬」な話題なのだ。
ちなみにこのイベント、「ほぼ裸で行進」というきわどいイベントであったが
ゆえに、そこにはリスクもあったことは言うまでもない。
パレードの当日の朝にも、ロンドン警察は同社を再度訪れて警告を発していたという。
しかし、同社はそれに対し、下記のようにコメントした。
「我々は、警察から「参加者のうち誰かが完全に裸になったら、彼らが『公然猥褻罪』
に抵触し罰金をとられる可能性がある」と警告されました。
しかし、実際には参加者は、巧みに警察の目を逃れながら、多くの観衆の期待に
応えるべく服を脱いだのです。そして、その姿は観客のカメラ付き携帯電話で捕え
られ、瞬く間に人々の間で共有されたのです。」
こうして、エアリンガス社は同社の新しい8つの航路の就航と、「エアリンガス社」
をメディアで広く取り上げてもらうことに成功し、その認知度を飛躍的に
向上させた。
同社では今回のイベントを下記のように評価している。
「我々は、一般大衆から今日のパフォーマンスに対して、このような大きな反応を
得ることができました。それは、非常に素晴らしいことです。新航路は4月6日に
就航します。しかし、今日のイベントのおかげで、人々はエアリンガスは何者なのか
について、より理解してくれたようです。」
※Aer Lingus Website :http://www.aerlingus.com/
【今週の真似したいPRの切り口 FROM LONDON UK】
「999人の(ほぼ)裸の男女が、ロンドンの市街を行進!」
メディアや人々が放っておけない、ニュース性の高いトピックスだ。
こんな見出しを新聞や雑誌、ニュースで見れば、誰もが思わずその内容を
知りたくなってしまう。そして、家族や友人に話したくなること請け合い
だ。実際にこの衝撃的なイベントが、先日3月15日の日曜日に、イギリスは
ロンドンで行われ、メディアや人々の注目を大いに集めた。
イベントを仕掛けたのは、アイルランドの航空会社「Aer Lingus(以下:
エアリンガス)」とロンドンのPR会社「Golley Slater」。エアリンガス
社は1936年設立、現在はヨーロッパ各都市を中心に、格安運賃での
フライトを提供する航空会社のひとつだ。
今回のイベントは、同社がロンドンのGatwickガトウィック)(空港からヨーロッパ
各都市への新しい8路線の就航をプロモートするために企画されたものだ。
今回の新しい8路線は、「£9.99ぽっきり=£9.99 fares with no hidden
extras」からという価格の安さを最大の売りとしている。
しかし、ヨーロッパでは、日本以上に航空規制が緩和されており、数多くの
先行格安航空会社がしのぎを削っている。そのため、後発で規模も大きくない
同社では、今回の新路線の告知、顧客獲得のためのプロモーション活動を
成功させる必要があった。
そこで企画されたのが、今回の 「ほぼ裸で行進」イベント。
イベントの実施に際し、まずはSNSサイト、Facebook・Twitterを通してイベントに
参加してくれるパフォーマーを一般から広く募りながら、そのイベントおよび
新路線の告知をスタートさせた。同社では、参加パフォーマーへのお返しとして、
ガトウィック空港から今回就航する、8つの新しいヨーロッパの目的地への
フライト(2航路)無料提供を用意した。
結果、これら2つのSNSサイトを通じて、2000人を超えるイベント参加希望の
登録者があり、その中から999人が選ばれた。
こうして、人々の情報共有、口コミのプロセスを通して、イベントへの注目度を
高め、またひいてはエアリンガス社への関心を喚起することに成功した。
また、パフォーマンス時の参加者のコスチュームもアイディアフルだった。
採用されたのは、「Shamrockモチーフの水着」。
ちなみにこの「Shamrock」は、アイルランド語で「緑の若い牧草(クローバー)
(seamrog)」を意味し、同社のシンボルマークとなっている。
視覚的にも、同社のブランドを認知させようとしたのだ。
■イベント時の写真や動画は下記リンクから
※イベントの模様を撮影した動画(Youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=q9Za16MPH0Q
※Herald IEに掲載された記事
http://www.herald.ie/national-news/time-to-take-off-your-clothes-for-new-aer-lingus-offers-1674399.html
※イベント時のパフォーマーの写真が見られるブログサイト
http://rashmanly.wordpress.com/2009/03/24/i-was-just-plucking-clovers-for-luck-officer/
1000人もの老若男女がこんな姿で、東京の街(たとえば銀座)を大行進したことを
想像してみてほしい。
いかにその「話題性」が高いものになるか、想像に難くない。
さらに、イベントの実施されたタイミングも有効だった。
イベントが実施されたのは、「聖パトリックデー」直近の日曜日。
「聖パトリックデー」はアイルランドの聖人「聖パトリック」にちなんだ
アイルランド共和国の祝祭日。彼の命日である3月17日は聖パトリックの日 と呼ばれ、
シャムロックを胸に飾るか、緑色のものを身に付けて祝うが習慣だ。
イギリス(ロンドン)でもこの時期には、シャムロックモチーフを
多く見かけることになる。そのため、人々の「シャムロック」「アイルランド」
に対するセンサーは、普段よりも感度が高く、「旬」な話題なのだ。
こうして、エアリンガス社は同社の新しい8つの航路の就航と、「エアリンガス社」
をメディアで広く取り上げてもらうことに成功し、その認知度を飛躍的に
向上させた。
同社では今回のイベントを下記のように評価している。
「我々は、一般大衆から今日のパフォーマンスに対して、このような大きな反応を
得ることができました。それは、非常に素晴らしいことです。新航路は4月6日に
就航します。しかし、今日のイベントのおかげで、人々はエアリンガスは何者なのか
について、より理解してくれたようです。」
※Aer Lingus Website :http://www.aerlingus.com/
【今週の目ウロコ度】
2ウロコ
「一字千金」科目
一字が千金にも値するほど、文章や文字が優れていること。
→ちょっとしたアイディアや企画が、絶大な効果を呼ぶこと。
【編集後記】
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺 明佳(じんせんじ さやか)です。
いかに人々の関心をひき、メディアが取り上げたくなる「ネタ」を
仕掛けるのか?
この観点にフォーカスし、果敢にトライした面白い例だったと思います。
ちなみに飛行機が離陸する「Take off」と「Take off clothes」を
かけたのかどうかは謎です…。
※マーケティングPRのサイトをリニューアルしました
http://www.interbreed.co.jp/prtop/
※公式英語ブログ http://sugoiprjapan.seesaa.net/
※編集者ブログ http://ameblo.jp/editorsayakajinsenji/
※七里ガ浜レンタルスタジオ http://shichirigahamastudio.blog44.fc2.com/
【インターブリードからのお知らせ】
○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
<□
/> 「良い商品なのに思うように売れない。どうしたら売れるのか?」
「会社のブランド力を上げるためには、どうしたら良いの?」
「せっかくの新商品、雑誌やTVでもっと紹介してもらいたい!!」
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サポートいたします。
http://www.interbreed.co.jp/prtop
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