米ペット用品ブランドが、10年目の里親探しキャンペーンを展開。そのPR・告知手法とは? | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

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今、戦略的にPRに取組む企業が売上を伸ばしている!
ということでPRの本場アメリカを主に海外メディアに取り上げられた最新PR事例を中心にブランディングやマーケティングの成功(時には失敗)事例をお届けしています。

【今週のHOTニュース From the USA】


 米大手ペット用品ブランドが、10年目の里親探しキャンペーンを告知。
 メディアの関心を集め、多くの人々を巻き込み、進化を続ける理由とは?



【今週のサマリー】時間の無いアナタはここだけチェック!


 P&G社(Procter&Gamble社)のペットケアブランドであるIams(アイムス)
が、ホリデーシーズンに合わせて同社で展開しているキャンペーンの告知を
強化した。


 キャンペーンは、「Iams Home 4 the Holidays(IH4TH:アイムスホーム
フォーザホリデー)」
とよばれ、1999年のスタートから今年でちょうど10
年目の節目にあたる。保護施設(シェルター)にいるペットの里親を
見つけようという目的で、サンディエゴの14シェルターでスタートした
キャンペーンは、アメリカを含め21カ国、約3500シェルターを巻き込んだ
大規模なものとなっている。
 
 今回アイムスがキャンペーンのPRに際しとった手法は、メディアの関心
を引き、彼らがニュースとして取り上げられやすいように上手く仕立てられ
たものであった。


 1)「キャンペーン10年目」という節目のタイミングでの大々的な仕掛け
 2)セレブリティスポークスマン起用と氏の実体験のメディア露出
 3)企業の地元NFLチームとのパートナーシップ、及び遊び心ある演出
 4)企業及び自社製品をPRしたいターゲット(消費者)を的確にキャッチ
   できる人選、及びメディア選び
 5)ターゲットへの告知のパワーを最大にする、最適なタイミング
   (=ホリデーシーズン)選び
 6)参加者(シェルター)のモチベーションをアップするコンテストの実施
 7)口コミパワー、全世界への広がりも見据えた、ウェブ告知の強化
 8)里親を自社のカスタマーとして囲い込むためのスターターキットの提供



 Iamsブランドを取り巻く様々な人々を巻き込み、良く練られた戦略で
あり、タイミングを図った上手な告知である。そしてまた、10年間にわたり
キャンペーンをブラッシュアップし続けたパワーも感じられる。

 
   


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【ニュースの裏側】


 クリスマスまであと3週間。日本でも街はクリスマスイルミネーションに
彩られ、小売業界ではクリスマス商戦が本格化してきた。


 アメリカでもホリデーシーズンがスタート。多くの小売店で一斉に
セールがスタートし、クリスマスシーズンに向けて消費者の購買意欲が
高まってきている。そう、その中でも最も大きなイベントは、クリスマス
プレゼント選びだ。


 クリスマスプレゼントを選ぶことは、楽しくもありまた一方で少々
面倒くさくもある。何をあげれば喜ばれるのだろう?ありきたりな物では
面白くないし・・・。そんな風にプレゼント選びに困ったら、「ペットの里親」
になるという選択肢はどうだろう?…このメッセージをうたいながら
キャンペーンを仕掛けているのが、米大手ペット用品ブランドである
「Iams(以下:アイムス)」である。キャンペーンは去る10月1日から
スタートし、2009年の1月5日まで実施されており、佳境に入ってきた。


 ※Iams web Site : http://www.iams.com



 アイムスは、P&G社(Procter&Gamble社)のペットケアブランドである。
日本でも同ブランドのドッグフードやキャットフードは広く知られている。

 アイムスでは、1999年から、「Iams Home 4 the Holidays(以下:IH4TH)」
というキャンペーンに参加・実施を推進してきた。今年でちょうど
10年目の節目にあたる。


 このIH4THは、簡単に言うなら「ペットの里親探し」である。日本
でも、保険所や地域のペット保護施設で里親を待つ犬や猫が多く存在する。
IH4THは、当初カリフォルニア州サンディエゴのペット保護施設、
Helen Woodwward Animal Centerによってはじめられた。


 アイムスは、全米の同様の施設(以下:シェルター)の少しでも多くの
動物たちに、温かい幸せな家(里親)を見つけること、それはペット関連
産業に従事する者の使命でもあるとして、同プロモーションに賛同、推進
してきたのである。


 ※Iams Home 4 the Holidays Web Site:
      http://www.animalcenter.org/home4theholidays/index.aspx



 同キャンペーンは、非常に高い成果をこれまでの9年間にあげてきた。
1999年のスタート当初は、サンディエゴの14のシェルターとの連携から
スタートし、同年は2563匹の里親を見つけた。その後の同キャンペーン
の輝かしい実績は下記の通りだ。
 
 2000年  2万匹 130シェルター  米5州
 2001年 10万匹 450シェルター  米、カナダ、メキシコ、プエルトリコ
 2002年 18万匹 1200シェルター 20カ国
 2003年 26万匹 1316シェルター
 2004年 31万匹 1800シェルター
 2005年 32万匹 


 上記のように同キャンペーンを通して、これまでに累計200万匹以上の
動物たちに里親を見つけてきた。昨年は約3000シェルターの参加、50万匹
が里親に引き取られたという。


 
 こういったキャンペーンを、その影響力と実績を発展させながら維持
することはかなり難しい。しかし、アイムスはそれを成功させており、また
10年目の節目となる2008年は、100万匹の里親探しをその到達目標として
掲げている。


 では、この志高い目標をどのように達成しようとしているのだろうか?
その戦略は、アイムスの認知度、企業価値を高め、またその取扱い商品の
認知、カスタマーの取り込みに通じる面白いものである。



 1)「IH4TH」ウェブサイトの開設
    
   サイトコンテンツ
   ・概要 
   ・シェルター登録(里親を探したいシェルターのキャンペーン参加登録)
   ・ボランティア登録(シェルターの活動に協力するためのスタッフ登録) 
   ・シェルターへの寄付
   ・エッセイコンテスト(シェルターの里親探し成功体験をエッセイに。
     Iamsからのシェルターへの500ドルの寄付が賞品)
   ・各種ダウンロードツール(ハウツーガイド・バナー画像・ポスター)



 2)セレブをスポークスマン(北米大使)として任命し、メディアへ露出


   ・Felicity Huffman(フェリシティ・ハフマン)氏の起用。


     ・ハフマン氏は、2004年から米ABCで放映されている人気番組、
      「Deparete Wives(デスパレートな妻たち)」に出演し、エミー賞
     を獲得した女優。
     ・同番組は、アメリカでは現在第5シーズンが放映中
     であり、平均視聴者数2000万人前後を維持しており、出演者の知名度、
     影響力は甚大。
     ・特に、クリスマスプレゼントとしてペットが選ばれる可能性が高い
     ターゲットである子供や親へのプレゼント選びの際に、重要な
     キーパーソンとなる、30代から40代の女性に対する影響度が高い。
 

   ・ハフマン氏自身の里親実体験談をメディアへ露出

    

      ・「The View(ザ・ビュー)」
       エミー賞受賞のトークショー。米ABCで1997年にスタートし、
      現在第12シーズンが毎週月曜日から金曜日まで米及びカナダで
      放映中。進行役は女性。

    

      ・「The Oprah Winfrey Show(オプラ・ウィンフリーショー)
       1986年から放映されている、アメリカ第一のトーク番組。
      週刊視聴者数は4600万人、番組及び進行役の影響力は抜群。

    

    ・「USA Today」
       1982年創刊の一般大衆紙。全米最大の発行部数、週225万部
       以上が、全米50州で発行されている。

    

    ・「Parade(パレード)」
      1941年創刊、現在全米400誌以上の新聞に毎週日曜日に挟み
      込まれる日曜誌。7100万人の読者数。

    

    ・オンラインコミュニティでのキャンペーン告知・グループ開設
      Face Book    

      My Space
      YouTube



 3)2つのNFLチーム及びプレーヤーとのパートナーシップ 


   ・オハイオ州に本拠地を置く、NFLチームとパートナーシップを
    結び、プロモーションを盛り上げ。


   ・オハイオ州シンシナティは、P&G社の本社所在地


   ・NFLは全米人気NO1のスポーツであり、シーズン中の注目度は抜群


     >The Cincinnati Bengals
  シンシナティベンガルズ:オハイオ州、チームのキャラクター
     はベンガル虎(虎は「ネコ科」)。同チームのプレーヤーで
     QB(クオーターバック)のCarson Palmer氏にフォーカス。

    

     >The Cleaveland Browns
      クリーブランドブラウンズ:オハイオ州、チームのキャラクター
     は犬。同チームのプレーヤーでQBのDerek Anderson氏にフォーカス。

   

    ・上記2チームを、「猫」対「犬」に見立てて、プロモーション期間
   中に両チームが対戦する2ゲーム(9月28日、12月21日)中で、
   両プレーヤーによるパスの成功数で勝敗を競わせる仕掛け。
    
   ・両プレーヤーは地域内のシェルターとパートナーシップを結び、その
   パートナーシェルター同志の里親獲得数競争も仕掛けの一つ。

 

   ・パスの成功毎に、パートナーシェルターには10ポンド(約5キロ)の
   Iams社のペットフードが寄贈される



 4)里親へのIamsからのギフト(スターターキット)の提供


   スターターキット
   ・ペットケアのためのガイドブック
   ・ペットのしつけガイドブック
   ・ペットフード
   ・Iams商品クーポン(ペットフード、ペット用品、ペット保険)



 ちなみに、今回のキャンペーンは10月からスタートしているが、あえて
メディアへの露出、プレス向けの発表をこのタイミング(=11月下旬)で
大々的に仕掛けたのは、適切なタイミングを捉えたためである。


 つまり、ホリデーシーズンは、アメリカで最もペットを自宅へ連れて
帰る数が増える(ペットの購入及び引き受けが増える)時期なのである。
また、家族全員が集い、TVを見たりしながら家の中で過ごす時間も増える。
そしてもちろん、クリスマスプレゼントの話題も多くなってくる。


そんな最も効果的なタイミングで、この大々的な10年目のキャンペーンを
告知したのである。



 さて、10年目のキャンペーン。現時点で、3450シェルターがすでに
参加している。また、アメリカ国外にも広がり、シェルター登録のある
国数はアメリカを含め、21カ国に上っており、キャンペーンは順調に
展開されているといえる。


 ※登録シェルターのある国
 
 米(51州)、カナダ、オーストラリア、チリ、コロンビア、キプロス
 ドミニカ共和国、グアム、インド、イラン、イラク、イスラエル、
 メキシコ、ニュージーランド、ナイジェリア、プエルトリコ、カタール
 セントルシア、ウクライナ、イギリス連邦



 
 さすが、10年目を迎えたこのキャンペーン。メディアの関心を引き、また
彼らがニュースとして取り上げやすいように綿密に仕立てられている。


 1)10年という節目のタイミングでの大々的な仕掛け

 2)セレブリティスポークスマン起用、氏の実体験談のメディア露出

 3)NFLチームとのパートナーシップと遊び心ある仕掛け

 4)キャンペーンを通して、企業及び自社製品をPRしたいターゲットを的確に

   キャッチできる人選、及びメディア選び。

 5)告知のパワーを最大にする、最適なタイミング(=ホリデーシーズン)選び。

 6)参加者(シェルター)のモチベーションをアップするエッセイコンテストの開催。

 7)アメリカだけでなく、世界への広がりも見据えた、ウェブ告知の強化。

 8)里親を自社のカスタマーとして囲い込むスターターキットの提供



 Iamsブランドを取り巻く様々な人々を巻き込んだ、良く練られた
戦略である。そして、「やり続ける」という繰り返しによる影響力増大の
パワーも感じられる。



 見事、目標の100万匹の里親探しが達成された時に、Iamsがどのように
発表しこのキャンペーンを締めくくるのか、また今後の戦略も楽しみである。



【PRの切り口】


 
 企業や商品をPRするために、何らかのキャンペーンを仕掛けたり、また
団体のキャンペーン活動に参加すること自体は新しい手法ではない。この
展開しているキャンペーンをいかに効果的にパブリックにPRするか、そこが
重要でありまた難しいのである。


 今回アイムスが自社が展開するキャンペーンのPRに際しとった手法は、
メディアの関心を引き、彼らがニュースとして取り上げられやすいように
上手く仕立てられたものであった。ターゲットを設定し、それに適した
素材と手法を選び、タイミングを計るという基本もきちんと押さえている。


 1)「キャンペーン10年目」という節目のタイミングでの大々的な仕掛け
 2)セレブリティスポークスマン起用と氏の実体験のメディア露出
 3)企業の地元NFLチームとのパートナーシップ、及び遊び心ある演出
 4)企業及び自社製品をPRしたいターゲット(消費者)を的確にキャッチ
   できる人選、及びメディア選び
 5)ターゲットへの告知のパワーを最大にする、最適なタイミング
   (=ホリデーシーズン)選び
 6)参加者(シェルター)のモチベーションをアップするコンテストの実施
 7)口コミパワー、全世界への広がりも見据えた、ウェブ告知の強化
 8)里親を自社のカスタマーとして囲い込むためのスターターキットの提供


 またに、10年間にわたりキャンペーンをブラッシュアップし続けた、
継続努力による影響力と人々を巻き込む力の大きさも、重要な要素である。


 


【今週の目ウロコ度】


 4ウロコ

  フグフグフグフグ


 「桃栗三年柿八年」科目

 何事も物事にはそれ相応の年月が必要である意 




【編集後記】


 

 【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺 明佳(じんせんじ さやか)です。


 キャンペーンやイベントは、初めての実施時にはそのキャンペーンや
イベントに斬新さがあればニュースになりやすいですよね。でも、その後
継続していくことは大変ですし、またある程度認知がされ定番となれば
なったで、今度はその維持とさらなる発展に頭を悩ませるもの。


 始めることも大変ですが、それを持続し、終わらせる決断もまた容易
ではない。ただ、今回のアイムスは10年間というある一定の期間、同じ
キャンペーンを常に成功、発展させてきた。この実績が、同ブランドの
信念を行動で示し、口だけではないのだな…とカスタマーや社会に
納得させる材料となっているように感じました。
 
      
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