【読書日記】今のままでは、25年後に日本の約半分が空き家という衝撃!-「「空き家」が蝕む日本」 | ほぼ日blog~通勤読書で継続力を高めよう!~

【読書日記】今のままでは、25年後に日本の約半分が空き家という衝撃!-「「空き家」が蝕む日本」

おはようございます。
本日の1冊はコチラ↓


「「空き家」が蝕む日本」 長嶋修 ポプラ新書


来年から相続税が改正となり、
実質的に増税となります。
このため、不動産を含めて、
節税対策の話をよく聞きます。

一方、空き家が増えている、
というニュースも聞きます。
高齢者が増える一方で、
新築住宅も増えています。

最近では東京五輪の影響もあり、
首都圏を中心に不動産投資熱が
活発となっています。
これが、さらに住宅の建設を助長
している傾向にあります。

不動産を巡る現状を見ると、
極めて矛盾した状態ですよね。
空き家は増えているにも関わらず、
新築持ち家の建設も増えている。

このままの状態でいくと、
2040年には約半数が空き家という
ゴーストタウン国家が完成します。

ではなぜ、日本はこのような状態に
なっているのでしょうか。
不動産のプロとして解説しているのが、
本書となります。
非常に興味深い内容です。

まず、空き家が増える要因として、
空き家のままでも損しない仕組みが
日本にあることです。

『空き家を空き家のまま放置しておくのには、別の理由もあります。ボロボロの建物でも、壊さないでそのままにしておくほうが、土地だけにしておくより固定資産税が安いのです。というのも、住宅を取り壊さずそのままにしておくと、その土地は「宅地」の扱いとなり、更地(空き地)よりも固定資産税が軽減されています。それにしても固定資産税はかかるわけですから、さっさと売るか貸すかしたほうがいいのですが。いずれにせよこの制度があるために、わざわざ解体費用をかけて建物を取り壊し、さらに高い税金を払おうという人はいないのです。』(P53)

私も不動産業界にいるので、
相続等で不動産を引き継いだ人から、
相談されることもあります。

特に、地方に住む高齢者が、
亡くなったことにより住宅等を
相続する場合の問題。

賃貸に出している物件なら、
まだいいのですが・・・
自宅の場合で、住む人もいないと、
どうしようもありません。

今の時代、多くの家族が、
別居しているのが普通です。
なので、住宅を相続しても、
使い道もないのです。

相続税を払ったうえ、
取り壊し作業までするのは、
かなりの負担です。
そのままでもいいなら・・・
となるのは、自然な考え方です。

これも、空き家のままでも、
ペナルティがあるどころか、
優遇措置があることも要因です。

ではなぜ、空き家問題があるのに、
このような優遇があるのでしょうか。

その背景には、昔の政策が今でも
影響していることがあります。

『ではなぜ新築を造りすぎるのでしょうか。答えを一言でいえば「日本の新築住宅建設は、景気対策の道具だから」ということになります。戦後は住宅の数が足りず、高度経済成長を迎える中で1966年に「住宅建設計画法」が施行されました。この法律はこのあと40年間、2006年まで続くことになるのですが、平たくいえば「住宅をたくさん造りましょう」という法律です。実は本法施行2年後の1968年には、住宅数が世帯数を追い抜いているのですが、この頃はまだ、住宅の質も広さも十分ではなかったため、さらに品質の良いもの、大きいものをたくさん造ろうとしてきたわけです。』(P57)

確かに、戦後は需要もあったし、
人口も増えていた時代だったので、
合理的な政策だったと思います。

しかし、今は人口減の時代。
世帯の増加もまもなく止まり、
ますます住宅が余っていく時代。

加えて、住宅の品質でいえば、
もう多くの物件では心配をしなくても
いいレベルになってきています。

住宅は長持ちするのに、
新しい物件がどんどん造られる。
それでは、空き家も当然増えます。

今後は、新築持ち家を減らしていく
政策に舵を切る必要があります。
じゃあ今は?というと、
相変わらず新築信仰を高めるような、
逆行した政策をとっています。

『日本の住宅予算は、その過半が「新築持ち家」に向けられています。そして残りを中古住宅(持ち家)と賃貸住宅が分け合う構図です。わかりやすくいえば、賃貸住宅はあくまで持ち家を持つまでのステップと位置づけられており、持ち家を、とりわけ新築持ち家を買ってもらうことを前提とした制度設計になっています。(中略)つまり、「新築住宅を買わせることで、結果として賃貸住宅から出ていかせる政策」です。さらにいえば、「新築住宅には助成や金利優遇をすることで買いやすさを強調し、賃貸住宅にはこうした補助を行わないことで、オーナーの経営を厳しくさせ、結果として狭く貧弱な賃貸建設しかできなくさせている」ともいえます。』(P100)

賃貸が貧弱か?
と言われると、私の感覚では、
そうとも限らないと思います。

アパートであれば、
やはり貧弱と言われても、
仕方ない物件が多いのは事実。

でも、マンションだと、
分譲型と賃貸型の構造や設備は、
極端に違うことはありません。
間取りなどの作り方は異なりますが。

ただし、世の中の傾向としては、
今も新築持ち家に住みたいという
ニーズが高いのも事実。

仮に、新築の供給が減って、
需要が高いままだとしたら、
新築の価格がさらに上がります。

こうして、新築が入手しづらくなると、
中古で購入する人が増えたり、
賃貸のまま住み続けたりする人が、
増えていくかもしれません。

このような政策は、
国民の利益につながりますので、
ぜひ実施していただいたいことです。

住宅問題に関心のある方。
ぜひチェックしてみてくださいね!









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