【読書日記】琵琶湖への旅のお供でした。-「偉大なる、しゅららぼん」 | ほぼ日blog~通勤読書で継続力を高めよう!~

【読書日記】琵琶湖への旅のお供でした。-「偉大なる、しゅららぼん」

おはようございます。
本日の1冊はコチラ↓


「偉大なる、しゅららぼん」 万城目学 集英社文庫


琵琶湖が舞台の小説。
それを聞いただけで興味が湧きますが、
実は、滋賀に行くということを話したら、
友人が薦めてくれた本です。

万城目さんの本は以前、
『鴨川ホルモー』を読んだことがあり、
これが(たぶん)2冊目だと思います。

「ホルモー」といい、
「しゅららぼん」といい、
意味不明な言葉ですが・・・

単純に読んでいて面白いです。
文庫版で約600ページありますが、
電車の中で読み終えてしまいました。

物語は地名も人物もフィクションですが、
実際にどこかありそうななさそうな、
ちょっとあってほしいような感じが、
読み手の心をくすぐります。

特殊な能力を持つ一族。
ただし、琵琶湖エリア限定。
しかもライバル一族までいる。

その一族の少年が、
特殊な能力を習得するために、
本家に居候をしながら高校へ通い、
歴史を絡めて問題が発展していく。

最初は何気ない描写で、
不完全に感じる部分が、
読み進めるうちにパズルのように
嵌っていく面白さ。

軽いタッチで書かれているので、
好みは分かれると思いますが、
私はとても好きでした。

自分だけが持つ特殊な能力。
それは誰もが一度は憧れて、
持った姿を想像したことがある
のではないでしょうか。

がんばったらかめはめ波が出るか。
どこかにゴムゴムの実はないのか。
みたいな感じで。

現実には、アニメとは少し違っても、
他の人とは違う能力を持っている人が
存在しています。

現実問題として、
仮に自分が特別な力を持っていたら、
良い面がある一方で苦悩も増えるだろうな、
とも勝手に思ってしまいました。

まぁ、今のところ持っていないので、
全くの杞憂でありますが(笑)

さて、話を小説に戻すと、
ところどころにメッセージ性のある言葉が
あるなと感じます。

これは、実際に湖西エリアに行き、
琵琶湖を渡って竹生島まで行ったので、
余計に感じることかもしれません。

例えば、私は京都からJR湖西線に乗り、
マキノという駅まで行きました。
このマキノも本書に登場します。

1時間に1本しかない電車。
京都から1時間の距離の場所なのに、
全然人がいる気配を感じない。

駅から出ているバスに乗り、
マキノ高原にある温泉に行くと、
それなりの賑わいがありました。
ただ、帰りのバスに乗ってみると、
乗客は私一人でした。

駅から歩いて10分ほどの場所に、
琵琶湖があって、その湖畔のホテルに
私は宿泊しました。

そこまで歩く中で、
誰ともすれ違うことはなく、
多少車が往来するだけ。

ホテルも素晴らしいのに、
残念ながら数組しか宿泊客もいない
ようで、レストランも閑散としていた
のが印象的でした。

こんなにいいところなのに・・・
確かに不便なところだけど、
住民も観光客も全然いない。

琵琶湖周辺のエリアは、
名古屋と京都の間に位置し、
ちょっとスルーされている印象を
行ってみると感じました。

この小説の中にこんな描写があり、
妙なリアリティを抱きます。

『最初の交差点角に、滋賀のあらゆる街に羽ばたいている、鳩のロゴマークを掲げたスーパーが、周囲と見比べても抜きんでて高い、五階建てでそびえていた。さすがにこのサーモンピンクの建物前だけは、歩道脇に自転車が並び、人の出入りもそこそこ多い。しかし、それを越えるとまたシャッター通りが続く。ときどき信用金庫、和菓子店、石材店、建築事務所が思い出したように、店を開いている。』(P27)

竹生島に向かうために、
JR近江今津駅を降りて今津港へと
歩いていくと、港はとても賑わって
いて人も多かったです。

琵琶湖クルーズの船は満席に近く、
月曜日の朝なのに人気があるんだな、
と思いました。
もしかしたら週末に行っていたら、
もっと賑わっていたのかもしれません。

ただ、近江今津の駅周辺も、
マキノほどではありませんでしたが、
閑散とした印象を受けました。
琵琶湖と反対側の商店街は、
ほとんどシャッターが下りている状態。

私も含め、ほとんどの観光客が、
竹生島へのクルーズ船に乗りに来て
いるような印象を受けました。

琵琶湖を船で渡ってみると、
天気もよかったせいか全然揺れず、
快適な船旅ができました。

湖も光を反射してキラキラ光り、
きれいだと思いながら竹生島へと
渡っていきました。

でも、船で流れていた放送によると、
琵琶湖の水質も悪化していて、
汚染による赤潮やアオコの発生が、
問題となっていると言っていました。

このあたりも、小説の描写がしっくりと
来る部分があり、万城目さんの表現力の
素晴らしさを感じました。

『「きれいです、あと、ちょっと汚いです」「汚い?」「結構、ゴミが捨てられています」水が引いた湖底には、プラスチック容器やら、金物やら、空き缶やら、さらには掃除機のようなものまでが、どこから流れてきたのかときどき岩場に引っかかるように散乱していた。一方で、きれいというのは、道からの光を側面に受け、壁が湖面と同じ透明度を見せつけるためである。』(P448)

この場面は、湖畔から竹生島までの間が、
モーセの十戒のように水が割れることで、
道が開けるというありえない設定ですが、
確かに実際はそうなんだろうと思います。

琵琶湖は透明度が全くないわけでなく、
それなりに澄んで見えます。
ただ、ごみも捨てられているのだろうし、
水質汚染もあるのだと思います。

そういったメッセージ性を随所に感じ、
かつ面白く読ませる万城目さんこそが
「偉大なり」というのが私の感想です。

ぜひ小説を読みつつ、
琵琶湖にも足を運んでみてくださいね!










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偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)