ビートルズ A to Z 「C」の歌 | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

鳥肌音楽 Chicken Skin Music

WRITING ABOUT MUSIC IS LIKE DANCING ABOUT ARCHITECTURE.

Can't Buy Me Love


愛は買えないよ 愛はね
愛を買うことはできないよ

友よ 君の機嫌が良くなるのなら 僕はダイヤの指輪を買ってあげるだろう
君の機嫌が良くなるのなら 僕は何だって手に入れてあげるよ
僕は金にはこだわらないんだ 金では愛を買えないしね

君も僕を愛してくれるなら あげれるものはなんでもあげよう
あんまり物はないけど それでも全てをあげよう
僕は金にはこだわらないんだ 金では愛を買えないしね

愛は買えやしない みんなそう言う
愛を買うことはできないよ 

ダイヤの指輪なんていらないっていってくれたら 僕はうれしくなる
金じゃ買えないものが欲しいって言ってくれないか
僕は金にはこだわらないんだ 金では愛を買えないしね


「愛はお金じゃ買えない」という一般常識を歌にした「キャント・バイ・ミーラヴ」です。ちょっと恥ずかしい歌詞です。当然の事ながらレノン=マッカートニー名義とはなっていますが、ほぼポール・マッカートニーが作詞作曲しています。いかにもポールらしいストレートさです、ジョンだったらもう少しひねくれた歌詞になっているでしょうね。実際、カバー曲ではありますがひとつ前のアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』でジョンはお金と愛についてこんな風に歌っています。

Money


人生で一番のものはお金じゃ買えない
あんたはそういうけど 鳥や蜂にいうべきさ
金をおくれよ 俺の欲しいのはそいつさ
俺の欲しいのはそいつさ 俺の欲しいのはそいつ
俺の欲しいのはそいつ そうさ
俺の欲しいのはそいつさだけ

金がすべてじゃないって 確かに真実さ
でも金で手に入らないものは 必要ないかも
だから 金をおくれよ 俺の欲しいのはそいつさ
ほんのちょっとでいいんんだ 俺の欲しいのはそいつさ
俺の欲しいのはそいつ そうさ
俺の欲しいのはそいつさだけ
 
たしかに あんたの愛はすてきさ
けど 俺の支払いの足しにはならない
今欲しいのはお金さ 俺の欲しいのはそいつだけ
俺の欲しいのはそいつさ 俺の欲しいのはそいつ
俺の欲しいのはそいつ そうさ
俺の欲しいのはそいつさだけ


”君の愛は僕をドキドキ ハラハラさせるけど、支払いにの役にはたたない”というあたりは「キャント・バイ・ミー・ラヴ」とは正反対の歌という感じもしてしまいます。というかジョンが歌うこの歌にバック・コーラスをつけながらポールは「まぁ、ジョン、確かにそうなんだけど、あんた本気じゃないでしょ、素直になんなよ」ってなことを思ってアンサー・ソング的に「キャント・バイ・ミー・ラヴ」を作ったとは思えないでしょうか。

ただポールも全面的に”愛はお金じゃ変えない”と思ってはいないようで、2回目のサビの部分で歌詞カードなどでは

Can't buy me love, everybodey tells me so
愛は買えやしない みんなそう言う


となっているところを実際の歌ではこんな風に歌っています。

Buy me love, everybodey tells me so

単純に”Can't”を省略したと言えばそれまでなのですが、歌っている歌詞通りに解釈すれば

(金は)僕に愛を買ってくれるよ みんなもそう言ってるよ

ともとれるわけで、ジョンに反抗しているようで反抗しきれていないポールというこの時期の二人の力関係を表しているようで興味深い歌詞です。

まぁでも元の歌詞自体が”僕は金に執着しないから君がダイヤが欲しいと言えばいつでも買ってあげるけど、君はダイヤよりも(素敵な)僕の愛をで満足してくれるよね、そうでしょ、違うの?。”というヘタレな歌詞なので逆にこの一行が効いてくる感じもいたします。

PS.
”愛はお金じゃ買えない””ダイアモンド”から最初に思い浮かんだのは実は「Money」ではなくこちらの方でした。