気絶するほど悩ましいじゃなかった冷酷なほどに優しい | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

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7月も1週間が過ぎたというのにまだまだ鬱陶しい雨が降り続いています。こういう時には大好きなポップ・ソングを聴いて過ごすのがいちばんです。

NICK LOWE / CRUEL TO BE KIND


僕の心は痛みっぱなし
”おともだち”って そりゃないよ
愛することが私の誠意だって 
思いやりをもってよと 僕が言ったって
君のやることときたら 矛盾したまま
おまけに君の言い分ときたら

愛のムチなの 間違ってないわ
愛のムチなの 分りやすいでしょ
愛のムチ 愛してるの分るわね
冷たくするのが優しさなの

理解しょうとベストをつくしたけど
いつだって煙にまかれる
なんでだい 知りたいんだよ
またK.O.されるにきまってるのに 
地面から立ち上がってしまう
何度も何度も 説明してよってきいても
君の言い分ときたらさ 

愛のムチなの 間違ってないわ
愛のムチなの 分りやすいでしょ
愛のムチ 愛してるの分るわね
冷たくするのが優しさなの


何百回聴いたのか分らないけど、何度聴いても胸が高鳴り音楽っていいなぁと思えるナンバーです。今までの人生で聴いてきた曲のベスト10を選べと言われたらかなり悩むとは思いますが他の9曲がその日の気分で替わるとしても「恋するふたり」だけは必ずベスト10に入ると断言できます。そのくらい大好きな一曲です。

なんでそんなに好きなのかっていう理由を説明するのは難しいのですが、いろんな音楽の要素がてんこ盛りなのにもかかわらずキャッチーで分りやすい3分台のポップ・ソングになっているからです。ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、フィル・スペクター、バーズ、CS&N、エルヴィス・プレスリー(個人的に大好きなアーチストばかり)、そういった名前がこの曲を聴くと頭に浮かんできますが最終的には見事なニック・ロウ節になっているあたりがたまりません。


以下「恋するふたりCruel to be kind」がらみのよしなし事をいつものように綴ります。

Cruel to be kindというタイトルを聞くとエルヴィス・プレスリーの「冷たくしないでDon't Be Cruel」を思い出します。

Elvis Presley / Teddy Bear/Don't Be Cruel (1977)


アップした動画は1977年のコンサートのようですが観客の多さに驚きます、流石はキング・エルヴィスです。この年の8月16日にエルヴィスは亡くなっています。そう思ってみるとずいぶんと太って動きにもまったく生彩を欠いています。それにしても凄いパフォーマンスをやっていたんですね、タオルを一瞬クビにかけ汗を吸わせて客席に投げる、ファンにとってはたまらんでしょうね。

「恋するふたり」のビデオにニックの花嫁として登場している美女は実際にニックの奥さんであったカーレン・カーターです。ご存知のようにカーレンはアメリカ・カントリー界の名門中の名門カーター・ファミリーの一員で義理のお父さんはカントリー界の大物ジョニー・キャッシュ。ということで80年代ニックもカーター・ファミリーの一員だったわけですね、大鵬の娘と結婚した貴闘力みたいなもんですかね、さぞかし誇らしかったことでしょう。

Carlene Carter/I Fell In Love


まるでニック・ロウが作った曲のようですがトム・ペテイのハートブレイカーズのベーシスト、ハーゥイ・エプスタインとの共作曲です。この時期二人は恋仲だったようです、カーレン姐さんミスター・ベース・マンに弱いのでしょうか(笑)。

ビデオの中でニック・ロウのバックを努めているのはロックパイル(というか正確にはニックも含めてロックパイルですね)です。ドラマーのテリー・ウィリアムスのバスドラに「Textones」と描かれているのは何故なんでしょう?Textonesと云えばカーラ・オルソンのバンドを思い出すのですが何か関係があるのでしょうか??

Gene Clark & Carla Olson / Almost Saturday Night


ジーン・クラークとカーラのデュオ、カントリー界には男女デュオっていうのが伝統としてあるんでしょうか。先ほども名前を出したジョニー・キャッシュとジューン・カーターとかグラム・パーソンズとエミルー・ハリスなんてのが有名ですね。

「オールモスト・サタディ・ナイト」はジョン・フォガティの歌なんですけど見事にこの二人の手にかかるとカントリー・ミュージックになっていますね。

John Fogerty / Almost Saturday Night


最後に「恋するふたり」をニックとダリル・ホールが一緒に歌っている映像がありましたのでアップしときます→Nick Lowe & Daryl Hall, w/ T-Bone Wolk-Cruel To Be Kind