あの頃、ヤング・ミュージック・ショー | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

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WRITING ABOUT MUSIC IS LIKE DANCING ABOUT ARCHITECTURE.

4年前に出た時に読みたいなぁと思いながら、そのままになっていた本を図書館で見つけて借りてきました。40代以上のロック・ファンであれば「ヤング・ミュージック・ショー」(以下YMS)という響きにTVにかぶりついていた自分を思い出される方も多いのではないでしょうか。

$鳥肌音楽 Chicken Skin Music-僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」

80年代に入りMTVが一世を風靡してからはアーチストの歌う姿をTVで見るということはごく普通のことになりました。これはアーチストがPV(プロモーション・ヴィデオ)を作るのが一般化し放送できる素材が一気に増加したという要因もありますが、TV局側がロックの番組を放送することで充分な視聴率がとれるようになり、(放送したことについての)視聴者からのクレームもかかってこないそんな風にロックが若者だけの音楽ではなく一般大衆の聴く音楽へと変化したからです。まぁ単純にビートルズを聞いていた10代の人たちが中年になって社会の中枢を占めるようになってきたということだけなのかもしれませんが。

Kiss / God Of Thunder 1977/5/7のヤング・ミュージック・ショーより


それはさておき、この本にも書かれていますがKISSの武道館公演が番組が放映された77年ですら若者たちからの称賛以上に”公共の電波を使ってあんな騒音を流すのはけしからん”という大人たちからの苦情が山のようにあったといいます。そんな風にロックが市民権を全く得ていなかった70年代に唯一ロック・スターの動く姿を僕たちに提供してくれたのがNHKのYMSだったのです。この本に書かれている放映リストを眺めると71年の10月24日にCCRの放映から番組はスタートしたことになっています。当時僕は小学生でまだロックなんて聴いていませんでしたが翌72年中学に入りS&Gやビートルズから始まりロックを聴くようになります。そんな時に観たのがピンクフロイドのYMSでした。ほとんど理解のできない音楽だったのですがそのステージの映像を観ながらこういうものがロックなんだ、なんか分らんけど外人ってかっこええなぁ、やっぱ歌謡曲やフォークやなくてロックやでと思わせるくらいの意味不明な感動をおぼえました。その後エルトン・ジョンやパープル、EL&Pなんてのを見る頃にはもう歌謡曲やフォークは聴かないロック命の中坊になっていました。

だからYMSの放映リストを見ていると音楽を聴くのが楽しくて楽しくてたまらなかった時代の自分がフラッシュ・バックしてきます。YMSは86年まで全部で80回放映されました。その半分以上は放映後1年以内ぐらいに再放送がされていてそれを含めると全125回放映されたそうです。今回はその半分、第40回のデヴィッド・ボウイまでのリストをのっけておきます。僕にとっては中学~高校~予備校の時代にあたり小遣いも無く一枚のレコードを擦り切れるくらい聴いていた時代にあたります。TVにかぶりつきでYMSを観ていた時代です。

リスト中で青字にしているものは放映を見た回です。けっこう見たと思っていたのですが40回中22回、案外見てないですね。皆さんは何回くらいご覧になっているでしょうか?

NHKヤング・ミュージック・ショー放映リスト 1971/10~1979/3
01 1971/10/24 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(ライヴ&ドキュメント)
02 1972/07/05 ローリング・ストーンズ(69/7/5ロンドン・ハイド・パーク)
03 1972/05/07 クリーム(68/11/26ロイヤル・アルバート・ホール)
04 1972/08/25 スーパーショウ(69/3ステーヴン・スティルス、バディ・ガイ、レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、MJQ、ローランド・カーク他)
05 1972/10/08 エマーソン・レイク&パーマー
06 1973/03/17 ピンク・フロイド(71/10ライブ・アット・ポンペイ)

Pink Floyd - Echoes Live at Pompeii Part 1


07 1973/03/18 リンディスファーン(73/02/13NHKスタジオ)前座ジプシーブラッド
08 1973/08/05 レオン・ラッセル&ヒズ・ビューティフル・フレンズ(71米国TVスタジオライヴ)
09 1973/10/20 エルトン・ジョン(ロンドン・フェスティバル・ホール)
10 1973/12/22 キャット・スティヴンスとディープ・パープル(スタジオ・ライヴ)
11 1974/08/04 エマーソン・レイク&パーマー(展覧会の絵コンサート)

Emerson, Lake & Palmer / The Barbarian


12 1974/10/12 ロッド・スチュワート&フェイセス(英国エドモント公演)
13 1974/12/31 スリー・ドッグ・ナイト(クィーン・メリー号でのコンサート)
14 1975/03/15 ローリング・ストーンズ(ヴィデオ・クリップ集)

The Rolling Stones / Angie


15 1975/05/10 ストローブス(75/4/14NHKスタジオ)
16 1975/08/30 モンタレー・ポップ・フェスティバル’67 解説:渋谷陽一
17 1975/10/04 シカゴ、ウェット・ウィリー、マーシャル・タッカー・バンド、オールマン・ブラザース・バンド

Marshall Tucker Band  / Take The Highway


18 1975/12/21 リック・ウェイクマン(ヘンリー8世氷上ショー)
19 1976/05/05 ベイ・シティ・ローラーズ
20 1976/06/20 イエス(76/7ロンドン・クィーンズ・パーク公演)
21 1976/08/28 スーパー・トランプ(76/5/26NHK101スタジオ)
22 1976/10/09 ロッド・スチュワート&フェイセズ(74/12/23ロイヤル・アルバート・ホール

Rod Stewart & Faces & Keith Richards / Dust My Bloom~Twistin The Night Away


23 1976/12/30 フリートウッド・マック、ロキシー・ミュージック(スウェーデン放送制作)
24 1976/12/19 ベイ・シティ・ローラーズ(76/12/19NHK101スタジオ)
25 1977/03/12 ローリング・ストーンズ(76/6パリ・アパトワール)

The Rolling Stones / Star Star


26 1977/05/07 キッス(77/04/02武道館)
27 1977/08/06 バスターとピーター・フランプトン
28 1977/09/10 ブライアン・フェリー(77/6/9NHK101スタジオ)
29 1977/07/08 グレッグ・オールマン(77/7/8NHKスタジオ)
30 1977/12/24 サンタナ
31 1978/01/02 パット・マグリン(NHKスタジオ)
32 1978/03/11 ボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズ(77/7/5レインボーシアター)
33 1977/12/05 フリートウッド・マック(77/12/5武道館)
34 1978/05/05 ロッド・スチュワート(76/12/24ロンドン・オリンピア)
35 1978/05/06 エレクトリック・ライト・オーケストラ
36 1978/08/05 レインボー(ミュンヘン・オリンピア・ホール)
37 1978/08/27 チープ・トリック、E.W&F
38 1978/09/02 ドゥービー・ブラザーズ(76サンフランシスコ・カウパレス)
39 1978/10/01 グラハム・パーカー(78/10/1NHK101スタジオ)
40 1979/03/26 デヴィッド・ボウイ(78/12/12NHKホール)


印象に残っているものをいくつか。
10のキャット・スティーヴンスとディープ・パープル。パープルは記憶にあったのですがキャット・スティーヴンスと一緒だったんですね。今だったら断然キャットを見たいと思います。

11のEL&Pはとにかくキース・エマーソンがかっこいいなぁと思いました。キーボードにナイフを突き刺すパフォーマンスとか週明けのクラスでロック好きの友達と「見たか?」「見た見た」「すげぇよな」みたいな会話をした記憶があります。

13のスリードッグナイトは以前にも書いたことありますが船上でのカウントダウン・ライヴ。年が変わる瞬間の曲はもちろん「喜びの世界」だったと思います。

14のストーンズも記憶に鮮明に残っています。この日は卒業生を送る会の日で送られる僕たちは会の行なわれている体育館にいなきゃいけなかったのですが、悪友とこっそり抜け出して放送部の部室に忍び込みTVを見ていました。「アンジー」以外にも水兵さんの格好で歌う「イッツ・オンリーR&R」もよく憶えています、最後に泡だらけになるアレです。

16のモンタレー。高校に入って聴く音楽の傾向が変わりつつある頃でした。ジミヘンやオーティスのパフォーマンスも凄いと思いましたが、これを見た後に買ったのは何故かラヴィ・シャンカールでした。

17ではシカゴもあったのですね。記憶ではサザン・ロックの3バンドだけだったのですが。冒頭グレッグ・オールマンが出てきてメイコンの街角で”Welcome to Macon Georgia”というシーンが頭に残っています。マーシャル・タッカー・バンドを見ながらトイ・コールドェルのプレイに”ホンマやギターを親指で弾いてるわ”と感心してました。

19のベイ・シティは客席のど真ん中に作られた円形のぐるぐる回るステージで口パクのライヴ。ファンの女の子が凄い数のキャンディ(ゼリービーンズだっけ)を投げ入れているのに妙に感動いたしました。

22のフェイセズ。フェイセズのメンバーとしてステージに立つテツを凄く誇らしく思いました。キースが登場した時は思わず”おぉおー”と叫びました。

24のストーンズはアップした「スターファッカー」のでかいコンドームが有名でしたよね。

26のキッス。なぜかいつもより早い土曜日の3時頃からの放送だったので、小松駅の近くにあった西友の電気売り場で見ていました。この電気売り場ではアリvs猪木も見たことあったなぁ。今は西友自体なくなってしまいましたけど。

見逃してしまってますけど39のグラハム・パーカーは見たかったなぁ・・・・

後半につづく。