1/8に放送された「新春放談2006」2日目です。
今回も2回にわけてアップいたします。
1月1日 第1回 の放送分はこちらからどうぞ
今週はいつもの前口上抜きで本題から入らせていただきます。
M1 「今日はなんだか」 SUGAR BABE "SONGS" '75
- シュガー・ベイブ SONGS 30th Anniversary Edition
Y だけども あの おかげでこの間ずーっと
O あーどうでしたか 自分で印象は
Y いや
O あんまり自分で「SONGS」について、ねぇ、
あのそういう懐古話をするっていう機会はあまりないんじゃないですか
Y すごーく自分であのはっきり感じたのは出来不出来がわりと激しい
O はぁ~ん
Y と思います。うん。
で「今日はなんだか」がね一番出来がね自分の中じゃ悪い。
O これねミックスが悪いの。
Y そうかな
O だってこれ一番ミックスしたよ。
Y そうですかね。
O 上手くいかなくて。
Y いやね、今だからえっとこれが
今だったらこの演奏でどうやったらいいか分かるけど、この時はこのビートっていうか
この曲をこのアレンジで本当に具体的に演奏するこのだんどりってのが
例えばピアノとかね(分かってなかった)。
あの例えば「SHOW」だったらね、全部要するにこうピアノ チャッチャッチャッとやれって言って
僕がジャーンとやってトレモロいれて、村松くんが勝手にやって
でベースがビーってやって、あのシンプルであのけっこうそれなりにしずまる。
あのこれが一番パターンミュージックじゃないんですね。
O うん
Y あのインタープレイがある程度必要な、
O なるほど
Y ビートっていうかな。シカゴのソウルじゃないですか。だからそれがやっぱりね
(注:シカゴ・ソウルだったのか。カーティス・メイフィールドあたりの影響ってことでしょうか)
そういうことどうやっていいかまだちょっとね 分かってないんですよね。
O 「今日はなんだか」の頃はね
Y 頃は。だから ドラムも、(上原)ユカリもやっぱりはねてるっていっても
それが本当はどういうアレかってのはやっぱり全員がそういった統一した
あれ把握できてないっていう、演奏がね、自分ではね。
O でも少しバラバラ感があったので
Y 逆にそれが
O うん僕はミックスしづらかったんですよ
Y でしょうね。うん。だからその
O で、思い、この曲にねみんな山下くんの当時の思いがあってシングルで切りたいっていうような
あのこうも言われていたんだけど、すごく上手くミックスできなくてっていう思いしかないんだけども
ちょっとバラバラ感がね。
Y あります、ね。
だからやっぱ下手なんですよ、こういうところにある人はね。
だから例えば「雨は手のひらにいっぱい」とか「DOWN TOWN」とか「蜃気楼の街」とか
パターンがわりとその複合的に成立しているやつはわりとそんなに感じないんだけど
やっぱり一曲、この「今日はなんだか」一曲はね
だからね歌がねどうやって歌っていいか全然分からないっていうんすか。
だからダブル・ヴォーカルになんかしなきゃいいのにしちゃったりして
それがね今から聴くとすごくあの感じるっていうか
で面白いことにあの一曲一曲やっぱりメンバーが微妙に違うじゃないですか。
まずドラマーがユカリと野口と2人いるんだけど
(注:野口が「SHOW」「DOWNTOWN」「SUGAR」残りの曲はユカリがたたいている。)
そうするとやっぱり大瀧さんのミックスってのはね、あのボトムの、あのなんてのかな
出し方があのあきらかに違いますね
O 違いますね。
Y うん、僕はそれがすごく面白かった。
O あの、ねぇ野口くんの場合はねーあの出てこない。あげてもあんまり出てこないから
ああいう中音をやるしかないんですよね。
Y そうですね。それがだけど「DOWN TOWN」みたいな場合にはこう妙な浮遊感が
O 浮遊感が
YO あった。
O のよ、そうそれが良くって。多分ね、あれがユカリでキックが強いと
ああいう風になんなかったのかと思いましたよ。
Y なん無いでしょうね。まさにそうですね。
O リミックスしてる時にねそれを感じました。
Y ほー
M2 「DOWN TOWN」 SUGAR BABE "SONGS" '75
シュガー・ベイブ SONGS 30th Anniversary Edition
Y 多分あれがもう いわゆる奇妙なあの時代にはない
O 不思議にね。
あの中音を、真ん中を膨らませるってことになったのは不思議でしたね。
Y だから逆にいうとあのライヴじゃああいう感じにはなんないんですよ「DOWN TOWN」やってもね
だからね通り一辺なね感じにしかならない。
O あーれ不思議だよね。
Y フッフッフツ
O 「ひょうきん族」の人がね、あの数ある曲の中からあの曲を選んだって言うのはね。
Y えームフフフ
O なーんかね面白い。
Y これはもうねだけど笛吹童次のね
O 「DOWN TOWN」はやっぱりね曲をすごく理解してできたんじゃないかって気がしましたね
誉められましたからね、山下プロデューサーから。
Y いやいや。大瀧さんて意外とあのなんてのかなあのロックンロールというよりは
リズム&ブルース、そういう感じが。
O うーんなんかこうあれですよね のぺっていうふうに上手くはできないんだよね
Y ガッツと
O 配置が
Y サザーンですよね
O なんだかね。やっぱりエルヴィスなんじゃないですか。
(注:もちろんエルヴィス・プレスリー)
Y 香りがある。僕それが好きなんですよね、ずっと
O まぁスタジオもほら、まぁよくなかったのと機材も不備だったってところがまた良かったんじゃないですか
Y 今から考えると本当サン・スタジオって言われるとその通りっていう
(注:元DJで弁護士のサム・フィリップスが経営していたレコーディング・スタジオ。トラック運転手
であったエルヴィスは53年母親のためにレコードを吹きこみそこから伝説がスタートした。
山下達郎の伝説は福生スタジオからスタートしたということか)
O ねぇ、今にして思うと
Y フフフフ
O サム・フィリップスだったんだなっていうのを後で思いましたね
Y これが本当のあの昔の東芝とかコロムビアとかのああいうソフィスケイトされた環境で
O んーそのエキスプレスの普通の
(注:60~70年代の東芝のフォーク、ポップスのレーベル)
あのカレッジ・バンドみたいな感じになってたんじゃないかっていう気はしますね。
Y 絶対あります。
O 今にして思うと。
Y 今にっていうか、僕
O シュガーベイブってのはわりあいなりやすい側面もあるからね。
Y 80年ぐらいにはもうそう思ってましたよ。
O うーん
Y そのでもソニーの当時のスタジオのあの録音屋ソニーのあの○○の機材でミックスするから
それが上手いことこうアーシーなところとソフィスケイトされたところが上手いこと・・・
O 上手いぐあいに
Y ミックスされてよくできてますよ
O これは本当に上手くいったなと思いますね。
トリがエレック・スタジオでね。ダビングは福生でミックスは六本木ソニーっていう
不思議な・・
Y 不思議です。
O テレコが全部違うわけですからね。
Y うん、あぁそうか。
O そういうなんか妙なものになったんじゃないでしょうか。
Y クフフフフ
O 普通ね今だったらね、同じテレコじゃなきゃとかさなんとかかんとかってやるんだけど
そーんな時代じゃないですからね。
Y これ不思議なことに11年目もそうだけど、今回も全部大瀧さんのミックスなんだよね。
O うん。
Y 当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
デモも大瀧さんのミックスじゃないですか。
O そうだよ。
Y だからテイストが全部ね同じなの。これがやっぱりだから不思議な統一感っていうかを出してますよね。
O 一応ねナイアガラレーベル30周年ってことで。
Y イヒヒ
M3 「雨は手のひらにいっぱい」SUGAR BABE "SONGS" '75('05)
シュガー・ベイブ SONGS 30th Anniversary Edition
Y 大瀧さんのマスタリングだからもとのアナログにものすごく近い。
O そうですね。今回はナイアガラ30周年は元のアナログをできるだけそのまんまに再現した
Y これは何を使ってマスタリングされたんですか
O あの-イチロクサン イチロクサンマルだ
Y イチロクサン、イチロクサンイチロクサンマルもあったの
O スルーにあげて、そんでそれをスルーにデジタル起こしをして
Y EQとかはしないの
(注:イコライジング。1つの音を高音域・中音域・低音域に細かく分けて、
それぞれの音域で音量調節していくこと)
O なんにもしてないです
Y あのデジコンとかそういうのも
O 何にもいれていない
Y えっスルーなの
O スルー
Y へぇー
O 「ナイアガラ・ムーン」もスルー
- 大滝詠一NIAGARA MOON
Y あぁそう、へぇー。うちのセットで聴きましたけど
そんなにNO EQだとはとても思えません。
O まぁね、前の「ナイアガラ・ムーン」もそう言われたんですけどNO EQです。
Y あぁそうですか。
それはだけど、あのだとするとADとか今のアナログの再生の環境ってのがすごく良くなってきてるんだ
O 良くなってるのとデジタルっていうのはいじるとキリがないっていうことで。
その代わり1ヶ月間くらい、毎日やるんですよ。
Y な、何を。
O マスタリングを。
Y へぇー
O デジタル起こし。
Y へぇー
O で、同じですよNO EQ。同じセット。で毎日やるんですよ。
Y へ
O 100個作るでしょ、100個違うんだ
Y 違うの、確かにね。
O なるんですけどそれがかなり違うものができるんです。
Y へぇ-
O で、その中で一番いいなぁと思うものを選ぶんですよ。
Y そんなに作ったんですか、じゃぁ。
O 作りましたよ。
Y それを聴いて・・・
O 1時間おきに録った。
Y ほうほうほう
O 何時がいいのかみんかな
Y うーん
O 11時半がいいんですよ夜中のね
Y フフフ
O あと昼間なら午後3時。
Y 横田基地の関係じゃないですかそれ
O いやそれはね誰だったけなオーディオ・マニアも同じこと言ってたよ
Y へぇー
O だからほらみんなが電気を使わなくなる時間ですよ。
Y ははぁようするに電気がキレイになるとか。
O うーん
Y 電源とかはどうしたんですか。
O 電源はまぁとりあえずちょっとしたものを
Y ちょっとしたものを
だからそういうところはあるでしょ。いわゆるケーブルとか引き直したり
O ありますあります
Y そうじゃなかったら絶対にこんなクォリティとれるわけがないもの
O だからその今のやり方を僕はあのあれです陶芸に例えていますね
Y ふーん なるほどね。
O えーえあれはだってほら、どういうものが焼けてくるかわかんないでしょ。
前にいったかと思いますけど、全くそのパターンです。
Y いやあの クセのないいい音をしてますよ。
僕は非常に好きですけどね。
M4 「過ぎ去りし日々」 SUGAR BABE "SONGS" '75
シュガー・ベイブ SONGS 30th Anniversary Edition
Y いわゆるそのほらレコーディング・エンジニアがね
マスタリング・エンジニアになっていくっていうそういう感じになってますね。
O なってるでしょ。やっぱりああいうエンジニアリングをやりたかったんでしょうねあの頃は自分としては。
ただあの頃そういうにそれこそあの一介のミュージシャンがねエンジニア何の学校も
何の教育も受けてなくてそういうことをやるってのはね前例もないし。
Y だけど向こうのそれこそデル・ファイとかね
(注:アメリカのインディーズ・レーベル。「ラ・バンバ」のリッチー・バレンスが有名)
O 向こうはね
Y ああいうところってみんなだって
O あれほらお金がないからだよ。だから自分でやってんだよ。
Y でもまさにね今はだってホーム・レコーディングの
O インディーズの人達はね結局自分で
Y みんな自分でやってるじゃない
O そうそうそう
Y そうすっともうプロのエンジニアが想像もつかないようなノウハウ
O ありますよ。
Y うーん。今までまったくありえないようなことをやってレコード作ってるわけでしょ。
それになんか感応してるっつか呼応してるっーかそういうことになってきましたね。期せずして。
O そういう時代っていうかね。
Y えーっと今度「トライアングル」はどうするんですか。
O 「トライアングル」は仮設のスタジオですね。
Y それはうちじゃなくて?
O えっと、自宅で仮設のスタジオを今、部屋を作ってやっていますけど。
まぁどういう風なものができるのか楽しみですけどね。
Y 3月20日ですかまた。
O 3月21日にえぇー出しますから。もう何があろうと。
「GO!GO!ナイアガラ」は9月21日にしようかなと思ってますけど。半年後。
Y サンニイイチにキュウニイイチね。来年の新春放談はその2枚でいけるかな。
O いけるんじゃないでしょうか。
Y あれはだけどリズムは全部福生で録ったんですよね。
あの時に僕は・・・
O 福生ですよ全部。
Y 「トライアングル」のレコーディングの時に電車のストで
O そうそう
Y 1週間。まる1週間閉じ込められて、
その時に僕はその時に大瀧さんのレコード・ライブラリーを聴かせてもらったんですよ
生まれて初めて「好きなだけ聴け」って。
O ねぇ、いかにも前聞かしてなかったていつも言うけども
Y いゃそれは遠慮してるんですよ、その先輩ですからね。
僕はそんなにずうずうしくありませんから。
O こう見えても、こう見えてもですか。
Y なんとなく「聴かして下さい」ってねなんかやっぱ言うのがね・・
O 聴いてなかったんだっけー
Y 全然
O そぉー
Y 部分的にはね
O あっそう。あんまりそんな印象がないんだよね。
Y 大瀧さんはだからほら自分じゃそんなにね、別に大して深いこと考えてないっていうか
それほど自分がアレだって思うけど。
でも大瀧さんはやっぱりねそういう意味じゃ僕より五つも上の御大なんですから。
それは21と26でしょ、やっぱりその頃の高校の1年先輩よりもはるかアレじゃないですか、
でもそれはねなかなかねやっぱり言えないすよ。
O そうですか、本当に?
Y えぇシャイなんですよ僕だって大瀧さんに負けず劣らず。
O こう見えてもフッフッフッ
Y お互いに一人っ子ですからね。
その2につづく。