東武鉄道硬券に見る略字体 | 菅沼天虎の紙屑談義

菅沼天虎の紙屑談義

交通機関を利用する為の切符・・・一般の方々にとっては使い終わってしまえばタダの紙屑で、最後は係員に渡して終わりになるモノです。
そんな紙屑に夢中になってしまった大馬鹿モノの戯言にお付き合い下されば幸いです。

東武鉄道の硬券は「足利印刷株式会社 」の調製ですが、「州」の文字に略字体と思われる活字を使用した券が見られます。



越生線武州長瀬駅の例です。


     

   

「州」の点の部分を横棒に置き換えたような独特の文字が使われております。

表面と裏面では若干文字に違いがあり、左側の縦棒が表面の発駅部分に用いられている文字は直線なのに対し、裏面の発行箇所部分に用いられている文字は下部が左に曲がっています。





こちらは宇都宮線野州平川駅の例です。


     

   

「ゆき」券片の発駅部分は正しい「州」ですが、「かえり」券片の着駅の部分は独特の文字です。

裏面の発行箇所部分も独特の文字ですが、こちらは武州長瀬駅の券の発行箇所部分の文字とは異なり、左側の縦棒の部分が直線となっています。





同様の往復乗車券ですが、宇都宮線野州大塚駅の例です。


   

 

表面の文字の使用方は、野州平川駅発行の券と全く同一です。

こちらの券は裏面の発行箇所に用いられている文字が野州平川駅の券とは異なり、正しい「州」の文字が使われております。



この独特の文字は辞書で調べましても載っておらず、勿論パソコンで表示する事も出来ません。一種の略字体では無いかと思われますが、東武鉄道の券以外では見かけない文字で、印刷会社独自のものかも知れません。